カツマさんの映画レビュー・感想・評価 - 33ページ目

未来よ こんにちは(2016年製作の映画)

4.0

世の中上手くいかないことばかり。愛されたいと思っても、仕事に打ち込みたいと思っても、そこにあるのはドラマチックな奇跡ではなくて、いつもと変わらない日常。そんな人生を力強く生きていこう、そう思わせてくれ>>続きを読む

プールサイド・デイズ(2013年製作の映画)

3.9

ひと夏の思い出とほんの僅かな冒険。閉ざされた場所から飛び出せば、そこには新しい出会いと自分を肯定してくれる人達がいる。プールサイドに落ちていた少しの勇気を手に少年は前を向く。

母親の恋人から10点満
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シチリア!シチリア!(2009年製作の映画)

3.2

ジョゼッペトルナトーレ監督が自らの父親の人生をベースに故郷シチリアへの郷愁をたっぷりに詰め込んだ一大絵巻物語。監督自身の生き写しとも言うべきキャラクターも主人公の次男として登場するあたり、自伝的な作品>>続きを読む

イレブン・ミニッツ(2015年製作の映画)

4.0

好き嫌いが分かれる作品でしょうが、個人的にはかなり好みでした。サスペンスというのは何が謎なのかが分かっていると大体オチが予想できて詰まらないのですが、こういった『何が謎なのか』が分からない話は好きです>>続きを読む

すれ違いのダイアリーズ(2014年製作の映画)

3.8

素敵な、とても素敵なラブストーリーです。例え会ったことがなくても離れていても恋に落ちることがある。その人のことを想うことで力が湧いてくるならば。

水上の分校という舞台が透明感溢れるこのお話を瑞々しい
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ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)

4.0

かなり見応えのある作品。原作は実話ベース、監督はスピルバーグで脚本がコーエン兄弟と、揃えるべき下地は揃っているところへ主演がトムハンクスという完全無欠の布陣。

重い物語を少しでも綺麗に見せようとする
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メニルモンタン 2つの秋と3つの冬(2013年製作の映画)

3.7

日常に落っこちていそうなドラマを独白のナレーションと何人かの登場人物の視点から描いた作品。カウントされ続けていたタイトルのナンバリングが途中で減り始めた時にこの映画の真価が発揮され始める。

男と女の
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鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)

3.2

まずこの作品はアメリカ産のハリウッド映画ではなく、イタリア産のサスペンスだということ。そこを忘れずに観ていくと面白い。終盤までずっと奥歯に物が詰まっているかのような感覚で観ていましたが、色んな意味でラ>>続きを読む

ムアラフ 改心(2007年製作の映画)

4.3

イメージフォーラムで開催中のヤスミンアフマド特集にて鑑賞。何て素晴らしい作品なのでしょう。公開を控えるタレンタイムへの期待が否が応にも高まってきました。

過去のトラウマから宗教に懐疑的になっていた教
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わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

4.2

ケンローチが渾身の力を込めて送る重厚な一撃。主人公ダニエルブレイクの視線から社会の裏側を悲痛なまでの現実味で描き出す。映画化した意義を十二分に感じられる圧倒的な力作です。

心臓発作で一時的に働けなく
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SOMEWHERE(2010年製作の映画)

3.9

ソフィアコッポラもスター監督の娘。もしかしたらこの映画の娘役のクレオには自分を重ね合わせた意味もあったのかもしれない。そんなことを想う父と娘の物語。

セリフが少なく、静止画のようなカットが何度も登場
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シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年製作の映画)

3.4

物語、映像、音楽と三拍子揃いながら、そこに美味しそうな料理に誘発される食欲まで加わって、王道のパターンを爽快なスピード感でお届け。とてもスッキリさせてくれる作品。

SNSを最大限物語に導入してあるあ
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永遠の僕たち(2011年製作の映画)

3.9

エンドロールで泣ける映画は素晴らしい。この映画もそういう作品。全てが詰まっていたあのラストシーンに想いを馳せる。

両親を亡くした青年と余命3ヶ月の彼女。10代の青春の持つ甘酸っぱさをいっぱいに詰め込
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ハッピーエンドが書けるまで(2012年製作の映画)

3.8

劇中歌で使われているエリオットスミスやナショナルが文学的なこの映画にはピッタリ。弟くんの彼女がプレゼントするCDもブライトアイズだし、徹底して文系の恋愛観を貫いた作品。とても不器用だけど、一途でロマン>>続きを読む

マネー・ショート 華麗なる大逆転(2016年製作の映画)

3.8

華麗なる大逆転というサブタイトルが付いているが、全く華麗な話じゃない。市場が崩壊へと突き進むことを察知した人達の嘆きまで聞こえてくる。何故崩壊は起こってしまったのか。それを予見することのできた実在の人>>続きを読む

サンドラの週末(2014年製作の映画)

3.8

どんなに今が辛くても前を向いて生きていければきっと歩いていける。そんなことを思った作品。人間の醜さと素晴らしさの両方をリアルに描いており、綺麗事を排除した現実的な目線が魅力的でした。

人間はたったの
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間奏曲はパリで(2013年製作の映画)

3.5

イザベルユペールは相変わらず美しい。歳を重ねてなお美しさが増している気がします。そんな彼女の主演パワーを感じつつ、夫婦の揺れ動く関係に焦点をあてた、正に間奏曲。

畜産を営む夫婦の妻ブリジットは夫のこ
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ピエロがお前を嘲笑う(2014年製作の映画)

3.0

まず邦題が軽くネタバレしてます。ラストはあまり予想せずに素直に騙された方が楽しめるはず。

ストーリー云々以上に秀逸なのがロイヤルブラッドを使ったりと音楽面での貢献度の高さ。デジタル音も多様しており、
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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

4.4

エドワードヤン監督が遺した伝説の傑作として噂だけは聞いたことがありましたが、劇場で観れる日が来ようとは。236分(約4時間)休憩なしという怒涛の時間的ボリュームもさる事ながら、登場人物の多さと個々のエ>>続きを読む

人生スイッチ(2014年製作の映画)

3.8

バラエティ豊かな6編を収録した短編映画集なのですが、この6編の濃さが半端じゃない!一気に墜落していく運命。ハッピーかバッドかというよりもブラックエンド。だが痛快でどこか胸のすく、そんなバカバカしさを通>>続きを読む

マジック・イン・ムーンライト(2014年製作の映画)

3.0

エマストーンがひたすらにキュート。古めかしいラブストーリーで、ウディアレンが彼の王道を貫いた作品だと思いました。

人生を達観しているコリンファース演じる主人公のセリフはいちいち正論なんだけど、正論ば
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キャロル(2015年製作の映画)

4.0

まるで過去を回想するかのように燻んだ風景画のような映像の中で、先の見えない恋へと落ちていく2人の女性。静かに情熱的な、ある恋の物語。

窓に映る景色の中の人物、縦に割る境界線が形作るアート。映像で人物
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ナイトクローラー(2014年製作の映画)

3.9

これはジェイクギレンホール、完全に当たり役ですね。無表情で不気味さを感じさせ、感情を読み取らせない。正に怪演。

サイコな役どころだけど、ある意味パパラッチをやるには最適過ぎる才能の持ち主。善悪で言っ
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ラビング 愛という名前のふたり(2016年製作の映画)

3.9

真実の愛は人種も法律も越えるのか。明確なメッセージ性と深い愛で結ばれた純粋なラブストーリーを重厚な作りで再現した力作。

1958年当時、異人種間の結婚が違法とされていたバージニア州にて人種の壁を越え
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ラブ&マーシー 終わらないメロディー(2014年製作の映画)

3.0

ビーチボーイズのブライアンウィルソンがペットサウンズという難産により精神が崩壊し、長い年月をかけて再生していく過程を映画化したお話。

若かりし頃のブライアンをポールダノが熱演しており、しかも非常に似
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汚れたミルク/あるセールスマンの告発(2014年製作の映画)

3.5

あるサラリーマンが巨大企業に立ち向かった闘いの記録。この問題はまだ終わっていない、現在進行形の物語。

1977年から始まったネスレボイコットの中の一つの事例を事実を基にして映画化。自らの手で商品を販
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タイピスト!(2012年製作の映画)

3.9

往年の名作への憧憬も感じるキュートなフレンチムービー。シンプルでベタなんだけど、2人のなかなか接近しない距離にヤキモキしたり、思いがけず濃厚なラブシーンにフランス映画らしさを感じてしまったりと大好きな>>続きを読む

ラブ・アゲイン(2011年製作の映画)

3.8

LA LA LANDの余韻から未だ抜けられずエマストーンとライアンゴズリング共演作ということで鑑賞。ドタバタ群像劇系のラブコメですが、ちょっとしたサプライズもあり、物語はしっかり一本の線になっている印>>続きを読む

神のゆらぎ(2014年製作の映画)

4.0

世の不条理、運命の悪戯。神の揺らぎというタイトルは秀逸。神が生んだ歪みを描いた。

いくつかのエピソードが絡み合い一つの地点に向かって収束していく。どのエピソードにも共通しているのが、この後に何か良く
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サンバ(2014年製作の映画)

3.2

最強のふたりの監督主演コンビということですが、コメディタッチなのはタハールラヒムが出てくるシーンのみで、他は移民問題を絡めたシリアスな内容。オマールシーが繊細な役どころを上手く演じている。
ただ、表向
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ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

5.0

現実と非現実の狭間で揺れる夢のような現実的な物語。今まで観てきた映画の中で最もロマンチックな作品でした。

オープニングから一気に心を持っていかれ、そのまま絵の美しさとセンスに心を揺さぶられ、最後には
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裸足の季節(2015年製作の映画)

4.2

壁に閉ざされた家、決められた未来、自由だったはずの日常が突如終わりを告げる。保守的な北トルコの村を舞台にした5人姉妹達による自由への渇望と戦いを描いた物語。

5人それぞれの選択肢があり、違う葛藤を抱
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天才スピヴェット(2013年製作の映画)

3.4

ジャンピエールジュネ作品はミックマック以来とかなり久々に観ましたが、彼の作品の持つコケティッシュなキュートさがやっぱりこの作品でも満開で、最後にはあったかい気持ちになれました。

スピヴェットは天才具
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消えた声が、その名を呼ぶ(2014年製作の映画)

3.5

舞台は第一次世界大戦下のオスマントルコ。家族と引き離された父親の苦闘と旅路の物語。前半と後半で2部構成のような形を取っていて、戦争に巻き込まれ凄惨な光景を目の当たりにする前半部から、家族を探す旅に出る>>続きを読む

アリスのままで(2014年製作の映画)

4.0

若年アルツハイマーを患った女性アリスが無くなっていく記憶の中に大切なものを見出していく。彼女を大きな愛で包む夫の存在、そして3人の子供達によって彼女が理想的な母親だったことが分かる。1人の女性の聡明な>>続きを読む

未来を生きる君たちへ(2010年製作の映画)

3.8

戦争は復讐が生む負の連鎖の連続。そしてその果てに待つのは普通の生活を望んでいたはずの罪のない人達が傷つく姿。それを子供たちの世界の小さな戦争と紛争地帯での終わらない負のスパイラルを対比させて描いた作品>>続きを読む