カツマ

キャロルのカツマのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
4.0
まるで過去を回想するかのように燻んだ風景画のような映像の中で、先の見えない恋へと落ちていく2人の女性。静かに情熱的な、ある恋の物語。

窓に映る景色の中の人物、縦に割る境界線が形作るアート。映像で人物の心の揺れ動きを再現した非常に芸術性の高い作品でした。ショパンの別れの歌からのラストシーンに想像が膨らむ。その先の物語は蛇足なのかもしれない。

エレガントで引き込まれそうになる魅力を放つケイトブランシェット、素朴ながら放っておけない美しさを内包するルーニーマーラ。2人の女優の魅力が重なり合い、美しい映像の中で脈打つことによって、この作品の世界観は完全に構築されていたと思います。俳優の個の力の融合と、映像で感情を魅せる可能性を高次元で結実させた作品。
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