カツマ

イレブン・ミニッツのカツマのレビュー・感想・評価

イレブン・ミニッツ(2015年製作の映画)
4.0
好き嫌いが分かれる作品でしょうが、個人的にはかなり好みでした。サスペンスというのは何が謎なのかが分かっていると大体オチが予想できて詰まらないのですが、こういった『何が謎なのか』が分からない話は好きです。もはやサスペンスというジャンルではなくて、迷宮ドラマという名が相応しいかな、と。

14人の登場人物がたったの11分間に起こした行動があのとんでもないラストシーンへと導いていく。全く関係無さそうな登場人物達それぞれの視点から描かれ、それが徐々に繋がっていくだけの話ならスッキリするのですが、そんな単純な話でもない。
最後まで何が起きるのか全く想像が付かないので、濁流に流されるが如く混沌の中に呑み込まれていくような作品です。

エレベーター内の映像、不穏な音像、謎めいたラストカット(空に映る何かの所在)など、徹底してアート性に富んでおり、ベテラン監督が新しく獲得した奇妙なセンスが炸裂しまくっています。何が伝えたいのかもよく分からず、未来を想像することすらシャットアウトさせる、レールの先は闇の中。その闇が心地良いかどうかは完全に個人の趣味の世界になりそうです。
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