花俟良王さんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

花俟良王

花俟良王

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初恋(2020年製作の映画)

4.0

面白かった。

特に新鮮さは感じられない物語だからこそ引き立つキャラの良さ、大味と緻密の絶妙のさじ加減。

90年代のビデオ屋店員としては「これだよ、この三池崇史が観たかったんだよ!」心の中で拍手しま
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21世紀の資本(2017年製作の映画)

4.0

興味深かった。

絶対に原作は読まないだろうから映画ってありがたい。

なぜ格差社会が生まれるのかを、19世紀からテンポ良く、映画引用もたっぷりに教えてくれる。

そして映画ファンにとっては「あの作品
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前田建設ファンタジー営業部(2020年製作の映画)

4.0

面白かった!

「連続ドラマでいいのでは?」と思って見始めたけど、「マジンガーZ」と「見積り」という異常性が効いていて、普段は「王道」すぎるだろと思うような演出が、テンポの良さも相まって説得力を持って
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星屑の町(2020年製作の映画)

4.0

ムード歌謡好きもあるけど、まさか泣くとは(笑)

さすが愛された舞台だけあって市井の人に寄り添ってくれる。こういう映画も必要ですよね。

のんちゃんもいいけど、主役はあくまでオッサンたちというのがいい
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淪落の人/みじめな人(2018年製作の映画)

4.5

良かった…。

暗い世相の希望の光のように、疲れた心にスッと染み込み、人の心の暖かさを思い知る。

社会問題を描く新人作品に無償で出演したアンソニー・ウォンにも敬意を。

踊ってミタ(2020年製作の映画)

3.5

わかっちゃいるけど面白く観ましたよ。

気心知れた飯塚監督の元、岡山天音と武田玲奈が好演。流石に2人の魅力的な見せ方を分かってる感じ。加藤小夏の凛々しさもいい。

踊りは演技を超えた説得力がありますね
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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

4.0

面白かった。三島も学生運動も、なんなら討論内容が分からなくても面白いと思う。

違う考えの人間同士が熱を持ち、言葉を駆使し、敬意を持って対峙する緊張と共鳴は、今の時代にも意味を持つ。

傾聴しても論破
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プロジェクト・グーテンベルク 贋札王(2018年製作の映画)

4.0

なんとなーくどこかで見たシチュエーションが多発して展開は分かってしまうかもだけど、スケールの大きいメロドラマサスペンスを堪能。チョウさんも思いの外若々しく嬉しい。

ただ「後半を活かすための前半」のテ
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.5

いいねいいね、豪華キャストによる想像以上に本格なミステリー。

近年、大掛かりなどんでん返しやぶっ飛んだ展開がなきゃミステリーじゃない、という風潮に飽きてきてたのですが、本作は由緒正しい雰囲気と手際の
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.5

あらゆる技術を駆使してワンカット風に見せてくれる。人としては戦争の恐ろしさを、映画好きとしてはワクワクと感嘆。凄いなあ。照明弾が照らす廃墟の町の恐ろしさと美しさ(音楽が盛り上げる!)も特筆。

コリン
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ベル・カント とらわれのアリア(2018年製作の映画)

3.5

観る人の価値観や、何を観たかったのかによって感想が左右される作品だろう。

個人的には、ここで描きたかったのはストックホルム症候群的なことではなく、押し潰される声。そしてその声を違う形(通訳やオペラ)
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彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド(2018年製作の映画)

4.0

凄かった。

第一次大戦時の記録映像をリマスター・着色・コマ数補正だけでなく音声(読唇術で抽出&新録!)までも追加してリアルに蘇らせた。

誰もが私達と同じ平凡な人たち。だからこそ戦争の無意味さが際立
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.0

この時代色々情報が入ってきて驚きという意味では先行組には劣りますが、相変わらずポン・ジュノの計算かつ完成された画面に時を忘れました。黒澤のアレも意識してるんだろうな。いやはや面白かったです。

ラストレター(2020年製作の映画)

4.0

岩井節とも言える歪な展開を堪能。

相変わらず下の世代に優しいが、その優しさはこの時代に「字を書いて伝える」「会って伝える」ことの何たるかを教えていた。立派な大人だ。

演者の演技は偏ることなく青い世
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ティーンスピリット(2018年製作の映画)

4.0

あえてコッテリさせない腹八分演出に評価が別れそうですが僕はこのセンス好きです。

田舎のエルさん魑魅魍魎の世界に飛び込む、ということでライトな『ネオン・デーモン』みたいと思ってたらちゃんと決勝でネオン
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マザーレス・ブルックリン(2019年製作の映画)

4.0

才人、エドワード・ノートン劇場を堪能。

物語は地味だけど、公民権運動の50年代を舞台にし、障がいを持つ主人公をもの凄い演技で演じ、なぜ今この映画なのかを明白にさせる。まさにノートン入魂の作品。

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岬の兄妹(2018年製作の映画)

4.5

数多ある低予算の日本映画のスタッフ・キャストはもちろん一生懸命やっているはずだ。ただこの映画を観て思うのは志の高さ、向き合い方の違いだ。

原作ものでも地方自治体ものでも2匹目のどじょうでも監督の芸術
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キャッツ(2019年製作の映画)

2.5

‪設定、メイク、動作、縮尺…、色々なルールが分からなかった。もちろん技術も演者も一流。でも歯車が噛み合わないとこういうことになるんだなあ。

そもそも「舞台版はみんな見てるでしょ?」というスタンスが不
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君はひとりじゃない(2015年製作の映画)

4.5

ずっと気になってた作品を観れた。

冒頭の人を食ったエピソードが全てを物語る。

否定するのかと思いきやユーモアを交え想像以上の大きさで肯定してくるラストが素晴らしかった。

カランコエの花(2016年製作の映画)

4.5

39分の中に冷静を装いつつもエモーショナルなシーンが詰め込まれている。

青春は残酷だ。君たちは悪くない。術を知らないだけなのだから。

だけど、経験と知恵を積んだはずの私たち大人はどうだろう。

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カツベン!(2019年製作の映画)

3.5

成田凌の好演はもちろんだが、高良健吾のヒールっぷりにも拍手を送りたい。井上真央の堂々とした演技もいい。みんな演技の幅を広げている。

ただ、丁寧に説明してくれるかわりにテンポが悪く感じた。前半はそもそ
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ラスト・ムービースター(2017年製作の映画)

4.0

『ラッキー』『さらば、愛しのアウトロー』と並ぶべき名優勇退作品だが、本人とのシンクロ度は本作がダントツだろう。過去の映像がバンバン出てくる。説得力が半端ない。かつてのセックスシンボルが老いた老体を晒す>>続きを読む

9人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019年製作の映画)

4.5

面白かった!

現代ならでは出版ビジネスの怖さ脆さと二転三転するミステリーの醍醐味、そして本・文学への愛情で目が離せないし、「こういうことだったのね」からの展開に唸った。

日本のビジュアルはダヴィン
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アナと雪の女王2(2019年製作の映画)

4.0

エルサをカッコよく見せようという意気込みがビンビンに伝わってきました。実際カッコいい。

クリストフのソロパートは往年のロックMVのパロディ大会でかなり笑える。

お姫様映画の主人公から「元カレ」とい
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マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

4.5

良かった…。

とにかく主演2人が素晴らしいし、ローラ ・ダーン、レイ・リオッタ、アラン・アルダら脇役とランディ・ニューマンの音楽も画面を豊かにする。アダム・ドライバーの歌声もいいじゃないか。

酸い
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アイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.5

もはや横綱相撲に違わないが、潤沢な予算と無理のない若返りCGが彩るひたすら続く豪華な画面に時を忘れた3時間半。

老境に達したスコセッシがチョイスしたのはドゥーワップの名曲『In the still
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ラスト・クリスマス(2019年製作の映画)

4.0

ただのラブコメかと思いきや、いやー、観て良かったよー。泣いちゃったよー。

由緒正しいクリスマス映画として分類できるけど、現代の価値観に刷新されている。

不穏なSNSに毒された心を一瞬でも浄化させて
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荒野の誓い(2017年製作の映画)

4.5

この重厚な西部劇には、現在の社会の問題と解決のヒントが隠されているように感じました。

キャストの熱演に加え、マックス・リヒターの個性的な旋律もハマった秀作です。

テリー・ギリアムのドン・キホーテ(2018年製作の映画)

4.0

紆余曲折ののち、『未来世紀ブラジル』の盟友ジョナサン・プライスと受難男アダム・ドライバーコンビで遂に完成した現代の寓話。

企画当初(『バロン』直後)は想定されていたであろうトチ狂った豪華さはないもの
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ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

4.5

超面白かった。批判する人とは期待してたものが違うんだろう。

そもそもキューブリックの『シャイニング』は孤高の作品なのだから、アレをそのまま求めたら絶対悲惨なことになる。

でもネトフリドラマの『ザ・
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ゴーストマスター(2018年製作の映画)

4.5

想像を超える面白さ!そして愛!映画への愛!俺たちはトビー・フーパーに顔向けできるのか?と世界の映画人に問う。

ホラー愛溢れる脚本はもちろん、緩急ある演出と編集、特殊効果、音楽と、バランスを維持させた
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テルアビブ・オン・ファイア(2018年製作の映画)

4.0

面白かった。

『ブロードウェイと銃弾』を引き合いに出したいけれど、こちらは背負ってるものが断然違う。

優れた脚本はもちろん、主演のカイス・ナシェフ(『パラダイス・ナウ』の人)の飄々さが効いてる。
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EXIT(2019年製作の映画)

3.5

細かい事は気にしない大風呂敷とコメディ要素をどう取るかで評価も変わるでしょうが、ボヤきながら生き抜く彼らを応援せずにはいられないポップなパニック映画。

最近めっきり減った「ジェットコースタームービー
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殺さない彼と死なない彼女(2019年製作の映画)

4.5

想像を遥かに超えて面白かった。

かつてを思い出し、応援し、泣いた。主要キャラの演者陣が素晴らしく、無理なく作品世界に没頭できた。

画面の隅々まで行き届いた監督の思い、奥華子の寄り添うピアノ。

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宮本から君へ(2019年製作の映画)

4.5

評判通り手に汗握り観ました。

真理子哲也監督により主演二人の極限の演技が見れた気がします。飛鳥山での蒼井優の罵倒は本当に恐ろしかった。

北区民としては都電の王子駅から少し離れた場所に暮らす2人が、
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影踏み(2019年製作の映画)

3.5

泥棒と幼馴染みの刑事の物語かな、と観出したら15分で新たなフェーズに突入。さらに後半主題が移行。

群馬を出ずに物凄い情報量の人間ドラマが繰り広げられる横山秀夫原作ミステリー。

期待を超えてくる滝藤
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