センチメンタリスさんの映画レビュー・感想・評価

センチメンタリス

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聖なる証(2022年製作の映画)

3.0

食べるということを巡る物語。

信仰が抑圧する”食べる”という行為をイギリスから来た女性看護師の具な観察によって浮き彫りにしていく。
最後のシーン、女性看護師がアナの家を燃やすシーンがあるが、あの炎は
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時の面影(2021年製作の映画)

5.0

作品の良さは改めて記すまでもないので、割愛しますが、見終わった後に残る温かい気持ちは多くの人が感じたところではないでしょうか。

「対象の発見とは実際は、再発見である。」

Die Objektfin
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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

3.0

芥は、革命は大いなる詩であると言った。

西脇順三郎の『詩情』という文に次のような言葉がある。
「人生の通常の経験の関係の世界は
あまりいろいろのものが繁茂してゐて
永遠をみることが出来ない。
それで
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近松物語(1954年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

溝口健二というと、黒澤明、小津安二郎と並んで、三大巨匠と言われることがある。黒澤明の作品はほとんど見ておらず、小津の作品は、秋刀魚の味や東京物語、麦秋辺りを観たくらいである。溝口作品は、本作が初見であ>>続きを読む

コン・エアー(1997年製作の映画)

3.0

昔から何度も何度も放送されてる作品。

怪物みたいな極悪犯罪者たちが護送機に一同に会する中で、ニコラス・ケイジ演じる、半ば正当防衛といえる事件で懲役を食らった仮釈放の身の元軍人。妻と娘が待つ家に帰る途
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劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

5.0

映画の内容については、実際に見てもらうこととして。アニメシリーズにも通底してるテーマみたいなものについて書いてみたい。とりわけ今回の映画については後半にそのコントラストが色濃く出ていたように思う。>>続きを読む

東京物語(1953年製作の映画)

5.0


これは、どこかの家族の一週間くらいの日常を切り取って映画にしたような、そういう作品じゃないですかね

子供から見た年老いた両親、孫から見た祖父母、そして年老いた両親から見た子供と孫

年老いてゆく老
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

5.0


娘を嫁にやる
話としてはただそれだけなんだけど

映像についてはほんのり緑がかった色味と、ところどころ挟まれる軍艦マーチが相まって娘を嫁にやる話が進みゆく寂しさにどことなく爽やかさを添えている

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パフューム ある人殺しの物語(2006年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます


禁忌を犯してまで手に入れた究極のものが、実は自分の望みを満たすものとはならないという話だが

終盤のシーン、究極の香水によりエロスに酔いしれている民衆は彼を天使だと讃えている
これは人間の前に遣わさ
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容疑者Xの献身(2008年製作の映画)

5.0


なんとも美しい映画だった

人生に意味を見いだせず、自らの生に幕を下ろそうとしていた孤独な男

ある日、突如目の前に現れた”それ”に男の人生は色付けられ、ささやかではあるが水水しい明日の訪れを約束し
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泥の河(1981年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます


本作のように、言葉にしづらい映画というのは名作のひとつの特徴かもしれないが

ストーリーは、戦後十年ほど経ったころ、子供たちのひと夏の出会いと別れを描いたものである

ただ、それだけである

川べり
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IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017年製作の映画)

3.0


ピエロというのはなぜ恐いんだろう

あの白塗りの、口紅が耳まで裂けるように引かれた顔が大人の足を一歩踏み出すのを躊躇させるのだろうか
いや、もっと何か他にそうさせるものがあるはずである

ピエロに出
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ブレイン・ゲーム(2014年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます


未来に確実に病で苦しんで亡くなる人間を、その苦痛を取り除くため、病が発症する前に殺して回る、予知能力を持った犯人

同様の能力を持ちFBIに協力して犯人を追い詰める、アンソニーホプキンス演じる医学博
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ジョーカー(2019年製作の映画)

5.0


コメディアンにはふたつある

自らの悲劇を世界の喜劇にする役者
彼をピエロと呼ぶならば

世界の悲劇を自らの喜劇にする役者
彼をジョーカーと呼ぼう

「この世界はすべてこれひとつの舞台、人間は男女を
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グラディエーター(2000年製作の映画)

5.0

この映画は、わたしの大好きな作品の内の一つであるが、それ故に言葉にするのは非常に難しい。
言葉にならない感情がどっと波のように押し寄せてきて身体中を駆け巡るそんな映画である。
映画中に流れている音楽は
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ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)

5.0

登場人物は、ノーベル賞を受賞した経済学者であるが学問という分野にさえ、その創造性がときに芸術と呼べるものとして生まれることは少なくない。

ラカンの有名な言葉に、「芸術とは、無に形式を与えることである
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奇蹟がくれた数式(2015年製作の映画)

3.0

映画の内容と評価については、多くのレビューがあるのでそれに譲るとして、映画の登場人物である数学者という人種について私なりの思いと、数学者に少しでも興味を持って頂けることが映画へのキッカケになりはしない>>続きを読む