一色町民さんの映画レビュー・感想・評価

一色町民

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蛇の道(2024年製作の映画)

4.0

 とにかく、柴咲コウのクールな無表情が不気味。この演技トーンは全てが明らかになる最後まで変わりません。その大きな瞳が最重要パーツとして映し出されてるんですよね。特別愛想の良い顔立ちをしてるわけでもない>>続きを読む

変な家(2024年製作の映画)

3.5

原作は未読です。ツッコミどころ満載ですが、それがかえって面白かったです。

 身も蓋もない話ですが、この“変な家”を売りに出している動産屋は、この家の異常さを知っているでしょ!と思うのですよ。オカルト
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.0

 「ガメラ」や「デスノート」など大ヒット作を撮った金子修介監督ということで、原作がシッカリしている上、テンポも演出も良く、本格的ミステリーとして楽しむことが出来ました。
 
 本作は、東昇(岡田将生)
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コットンテール(2022年製作の映画)

2.0

 「ぐるりのこと。」(2008年)の夫婦コンビふたたびということですが、16年ですか、二人ともいい年になりましたね。
 タイトルの「コットンテール」は、主人公・兼三郎(リリー・フランキー)の奥さん明子
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

 身体は成人女性なのに、頭の中身は胎児。人為的に蘇生されたベラ(エマ・ストーン)が、家という小さな世界から大きな世界へと羽ばたく中で、様々なモノやことを覚え経験していきます。性の悦びを知り、美味しい食>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

4.2

 ヤクザの成田を演じる綾野剛の肩の力の抜け具合が、意外にいい感じに映画をまとめていて、力の抜けた“ゆるゆる感”が妙に心地良かったです(笑)。そして、中学生合唱部の部長で変声期に悩む聡実くんを演じた齋藤>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

 ハッキリとは語られませんが、インテリで裕福だったのだけど、挫折したのか、父親との確執もあって、あえて今の生き方をしている“節”があります。悪夢を見たりすることもあります。姪っ子のニコ(中野有紗)や彼>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

5.0

 7年間ぶりの国産ゴジラ映画です。ハリウッドとの関係もあるでしょうが、あまりに「シン・ゴジラ」の評判が良すぎて、下手なものを作るわけにはいかなかった東宝サイドの思いがあるように思います。本作は、東宝ス>>続きを読む

バカ塗りの娘(2023年製作の映画)

4.2

 まず、タイトルがいい。パンフによれば、“バカ塗り”は津軽塗のことを指す言葉で、完成までに四十八工程あり、バカに塗って、バカに手間暇かけて、バカに丈夫と言われるほど、“塗っては研ぐ”を繰り返す。“バカ>>続きを読む

ゆとりですがなにか インターナショナル(2023年製作の映画)

4.0

 ドラマを見ていないと楽しめないディテールとか笑いが多かったので、時の経過もありで、主人公たちの成長(しないところも含め)などに胸熱になること多々なので、ドラマ未見で低評価の方もあると思います。私は、>>続きを読む

BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

4.9

本作はいわゆる“お仕事映画”的な側面もあって、仕事を描いた映画というのは面白いですよね。辞書編纂の「舟を編む」飛行機・飛行場を描いた「ハッピーフライト」フラダンサーの「フラガール」南極観測隊の「南極>>続きを読む

1秒先の彼(2023年製作の映画)

4.0

オリジナルの台湾映画は観ました。オリジナルで感じたストーカー的なキモさを、男女逆転で解消しています。この男女逆転以外は、ほぼほぼオリジナル通りです。
 
 1秒速い彼・ハジメ(岡田将生)と、1秒遅
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TAR/ター(2022年製作の映画)

5.0

 はっきり言って、本作は1度の鑑賞だけでは理解が難しいです。1度だけでは捉えきれない多くの情報が盛り込まれていて、一見関係のない情報が実は密接に結びついているのですよ。一見すると実話かと思わされるくら>>続きを読む

せかいのおきく(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

中心人物の仕事は下肥買い(くみ取り業)なんです。今思うと、江戸時代は“循環型社会”だったんですね。

 矢亮(池松壮亮)と相棒の元紙屑拾い・中次(寛一郎)、彼のことを想う身分違いの女・きく(黒木華)の
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AIR/エア(2023年製作の映画)

5.0

ナイキのCEO役も演じ本作の監督も務めているベン・アフレックは、監督としてはどちらかというと職人的な監督だと思います。もちろん作品ごとにテーマ性はあるんだけど、「ゴ―ン・ベイビー・ゴーン」も「ザ・>>続きを読む

わたしの幸せな結婚(2023年製作の映画)

4.2

 原作小説もコミックも未読です。
 正直『キラキラ映画』に多少SFファンタジーが入っているのかなと思っていました。実際、場内は女性客ばかりで、彼女に連れてこられた男性が少々、当方のようなオッサン一人は
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.0

 スティーブン・スピルバーグ監督の自伝的作品。ということで、巨匠はいかにして巨匠となったかを期待して観ると、少々肩透かしを食らうことになります。
 “家族”を焦点にして描いてるから、スピルバーグの凄さ
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ちひろさん(2023年製作の映画)

4.0

 原作は、「ショムニ」で知られる安田弘之の同名漫画安田弘之の同名漫画を「
愛がなんだ」「街の上で」の今泉力哉監督、「ナラタージュ」「花束みたいな恋
をした」の有村架純主演で実写映画化したNetflix
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ウインド・リバー(2017年製作の映画)

4.8

本作は実話に基づいて制作されたそうですが、人間ドラマの迫力と一級品のサスペンスにも仕上がっており、胸突き刺さる感動さえ呼ぶ脚本が見事です。

 冒頭の一連のシーンが非常に上手いです。
 女性が夜の
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8年越しの花嫁 奇跡の実話(2017年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

 実話の映画化ということです。実際の結婚式場の「YouTube」で公開され大反響を呼んだとたのがきっかけということは知っていたし、8年も待った婚約者もすごいなと思いつつ、どうせ『お涙ちょうだい映画』だ>>続きを読む

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.1

娘を無残なレイプ殺人事件で失った母親が、犯人逮捕を望んで過激な行動を起こすことが事件の発端になっていますが、少女殺しの犯人を捜す物語かと思いきや、単純なサスペンス劇には終わらず、人間臭さがにじみ出>>続きを読む

あん(2015年製作の映画)

4.8

 河瀬直美監督は、日本ではイマイチ有名ではないのですが、海外ではネームバリューのある監督なんですね。で、本作は、今年のカンヌで、オープニング上映されるという栄誉に浴した作品です。
 また、奈良を舞台に
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鍵泥棒のメソッド(2012年製作の映画)

4.8

 実際のところは知らないでも、記憶喪失がどういうものかは誰でも知っている。メロドラマからコメディまで含め、繰り返し取り上げられたモチーフです。しかし、あまりにも繰り返し取り上げられてきたために、『記憶>>続きを読む

運命じゃない人(2004年製作の映画)

4.5

 同時多発の人間交錯ドラマは、タランティーノとか、アレハンドロ・ゴンザレスとかが得意としているけど、本作は、クライムサスペンスではなく、ゆったりした感じがいいし、ヤクザが出てきて、監禁されたり拳銃が出>>続きを読む

スウィート・シング(2020年製作の映画)

4.1

ストーリー的に途中は観るのがしんどくなりますが、それでも観る価値があるのは、多分、映像と音楽のセンスの良さと、ビリー役のラナ・ロックウェルの存在感なのかなと思います。
フランソワ・トリュフォーの傑
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

4.3

 本作の登場人物は、大きく「時代劇最高!キラキラ映画なんてくだらない!」な、主人公ハダシ(伊藤万理華)チームと「キラキラ恋愛映画最高!」な花鈴(甲田まひる)チームの2チームに分けられるのですが、明確な>>続きを読む

痛くない死に方(2019年製作の映画)

4.0

 前半は、末期ガンの父親の介護に明け暮れる娘(坂井真紀)夫婦のエピソードが中心で、担当した河田(柄本佑)は、病院のカルテを見て末期の肺癌だから痛みのケアをすればいいと安易に考えてしまう。しかし、患者は>>続きを読む

神は見返りを求める(2022年製作の映画)

4.4

 吉田恵輔監督の前作「空白」でも、加害者、被害者双方の苦悩が痛いほど伝わってきたけれど本作では、YouTuberのことをディスっているようにも見えて、普遍性のない一時的なコンテンツへのリスペクトも込め>>続きを読む

川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

4.8

荻上直子監督作品というと「かもめ食堂」(2005年)を筆頭に、とにかく癒やされる作りとなっている作品が多い。本作もほのぼのとした雰囲気なのだけれど、これまでの作品と決定的に異なるのは、今作には色濃く>>続きを読む

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

2.5

本作の監督リューベン・オストルンドは、痛烈な風刺劇を得意とし、「フレンチアルプスで起きたこと」(2014年の)では、雪山で休暇を過ごす夫婦を題材にその関係性の脆さを描き、続く「ザ・スクエア 思いやりの>>続きを読む

少女は卒業しない(2023年製作の映画)

5.0

 朝井リョウの原作は未読です。
 原作がいいのかもしれませんが脚本が実に事細かく丁寧に書かれていて、シーンの入れ替えのリズムも抜群で、何度も涙する上に、懐かしい一瞬を思い出してたまらない切なさに浸って
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