コミヤさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

許されざる者(1992年製作の映画)

4.7

2回目。
セルジオ・レオーネのドル箱3部作観賞後すぐに観たからか、本作の多面的な語り口に対する味わい深さが半端なかった。イーストウッドが軽く引くぐらい人命軽視的なキャラクターとして描かれたドル箱3部か
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ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(1999年製作の映画)

4.0

『パリ、テキサス』、『ベルリン、天使の詩』と続けてヴィム・ヴェンダースの有名な作品を観たら、本作にも人の歴史から忘れ去られそうになる人々の記憶を永遠に封じ込めようとする一貫したテーマのようなものを感じ>>続きを読む

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

4.6

人間として生きることを肯定してくれる映画は否が応でも肯定したくなる。他にも言及されている方がいたが、是枝監督の『空気人形』を連想した。有限の命を生きること、その先には死があるということを肯定的に捉えて>>続きを読む

パリ、テキサス(1984年製作の映画)

4.3

初ヴィム・ヴェンダース。
男が茫漠とした荒地をさまよっている。手に持っていたポリタンクは空になり、彼は水を求めて歩き回る。寂れたバーに辿り着き、店内の冷蔵庫から氷を両手で掴み、むさぼり食う。オープニン
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この空の花 長岡花火物語(2012年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

大林監督のメッセージを代弁する過剰な台詞回し、ジャンプカットなどでひたすら間を詰めまくったスピーディーな編集、教育番組のドラマのように歴史に埋もれそうな出来事を説明するためのテロップなど通常の映画文法>>続きを読む

ゾンビ/ディレクターズカット完全版(1978年製作の映画)

4.5

めっちゃ愉快で元気出た。パイ投げや"血圧ゼロ"とかに笑った。基本的にゾンビが弱い。そして可愛い。ヘリコプターの羽に頭ちょん切られて自滅するやつはギャグとして受け止めた。掴まれても普通振り解ける程なので>>続きを読む

スクール・オブ・ロック(2003年製作の映画)

4.4

初めて教室で音楽が生まれる瞬間に泣く。こういうのは無条件で泣く。ラストのライブでのカタルシスが生徒達のそれぞれの人生にも接続されていたら大号泣だったと思う。語弊があるかもだけど、少年少女の学園バンドモ>>続きを読む

HOUSE ハウス(1977年製作の映画)

4.7

初大林宣彦。

悪趣味変態エログロナンセンスジャンルミックス映画。前日に観た『時をかける少女』が全くハマらなかったので心配したけど、びっくりするくらい面白かった。謎のスイカ屋を経て"HOUSE"へ到着
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

3.7

かなり前に鑑賞。
あまりハマらず。。
靴紐結んで外に出よう、そして踊ろう
とは今は言えない、、

グッド・タイム(2017年製作の映画)

4.3

ほとんど『アンカット・ダイヤモンド』。人生の不可逆性。

Mommy/マミー(2014年製作の映画)

4.3

初グザヴィエ・ドラン
"wonderwall"のシーン観れただけで満足。
『おやすみプンプン』雄一おじさんのお言葉を思い出す。

"でもボカァね!!その自由の先に本当の幸せがあるなんて思わない!!なぜ
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ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

3.7

シネフィルwowowプラスで発見。
ガンツ カタストロフィ編。特に物語に関係してこない生物たちが気持ち悪くて最高。ドヤ顔の象みたいな奴が好き。Alain Goraguerさんの音楽がカッコいい。

フェイシズ(1968年製作の映画)

4.5

初ジョン・カサヴェテス。
登場人物たちが物語に全く従属されていない。自由に動き回る彼らをカメラは執拗に追い、フェイシズの題名の通りとにかく顔がクローズアップで強調され、それによって本性が暴かれる。即興
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コンテイジョン(2011年製作の映画)

3.9

多少大衆の反応が大袈裟であったり、逆にもっと危機管理意識持てよと思ったりもするが、クラスター、フェイクニュース、都市封鎖、仮設病棟、地面に掘られた大量の墓地などまさに現実で起こっていることが描かれてい>>続きを読む

カリスマ(1999年製作の映画)

4.3

「世界の法則を回復せよ」

手のみ照らされ顔は影で見えない照明や景色が反射する窓が禍々しい車演出で早々に異世界へ。そこではカリスマと呼ばれる一本の木を巡って様々な思想が対立している。カリスマは森の木を
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トウキョウソナタ(2008年製作の映画)

4.7

ポン・ジュノおすすめ日本映画3本のうち1本。久しぶりの黒沢清映画。

さりげない台詞、動作で人間性や人間関係を提示する語り口、有機的な視線の移動など映画のお手本のよう。時々挿入される笑いポイントは笑っ
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.5

初ヴィクトルエリセ。
wikiによれば、政府の検閲避けるために説明を排した象徴的な物語になっているそうで、この一回のみではそれぞれの象徴が何を意味しているのか理解しきれなかった。
子供が通過儀礼的に現
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アリス(1988年製作の映画)

4.3

初ヤン・シュヴァンクマイエル。ずっと観たかった。60日無料キャンペーン中のシネフィルwowowプラスで発見。
ストップモーションアニメと実写を融合。アヌシーでアニメーションとして最優秀賞を受賞している
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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

4.4

自分たちが生きる時代がどうあるべきかについて本気で考える熱。
保守、革新という主義の違いはあれど同じ人間として表する敬意。
異なる思想の架け橋としての有効性があるかもしれない言葉。
劇中で言及されるこ
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.3

映画館で観ないといけない映画。配信に対する抵抗。
予告編でも印象的な戦地を味方の流れに対して垂直に走る終盤のショットだけでも劇場で観る価値あった。その走るという行為が攻撃中止伝達という非暴力的な目的と
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生きる(1952年製作の映画)

4.5

「椅子を守ること以外何もしてない、地位を守るためには何もしないのがいい、それでいいのか?」
胃癌を宣告された男が天使と悪魔との交流を経て、真の意味での人生を生きる。悪魔からは酒や賭博、女遊びなどの瞬間
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隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)

4.2

傑作ではないと思うけど楽しかった。登場人物について色々話したくなる。
三船敏郎が戦闘態勢に入った途端に血が沸き立つような興奮が起こる。馬に乗り、両手持ちした刀で颯爽と敵兵を倒すシーンのあまりのカッコ良
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娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

「ただ外で遊んでただけなのに」
罪のない生命が知らない大人が始めた戦争によって失われていく。撮影を続けるには精神的ストレスや葛藤も尋常じゃなかったと思うけど、世界そして娘にこの現実を伝えるために全てを
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新聞記者(2019年製作の映画)

3.8

国会議事堂を前に走るシム・ウンギョンというラスト間近のショットなどに映画的必然性が無いように、撮りたい画や主張を押し出し過ぎてる気がする。新聞社での動と暖かみ、内閣情報調査室での静と冷たさの絵的な対比>>続きを読む

永遠と一日(1998年製作の映画)

4.4

現段階ではよく理解できなかったけど『リアリティのダンス』的な精神性を感じた。他者との相互作用の繰り返しの中で獲得した自分なりの"言葉"=思考は、過去の出来事に対する意味をも変えることもできる。願いは叶>>続きを読む

霧の中の風景(1988年製作の映画)

4.7

初アンゲロプロス。
雪を見て静止する警察官、急に店の中でバイオリンを演奏する男、車で引き摺られる馬などちょくちょく虚実入り混じった変なことが起きる。それらは子供の視点を通じた世界のファンタジー的解釈な
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カリートの道(1993年製作の映画)

4.3

誰も信頼できない世界において唯一信じられる自分の信念の前に、残酷な世界の本性が立ちはだかる。ギャングとしては優し過ぎたカリートの道は楽園まで届かなかった…
ビジュアル的にはアル・パチーノの史上一番かっ
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ミッドナイトクロス(1981年製作の映画)

4.6

これまで観たデ・パルマ作品の中ではべスト。
デ・パルマ作品は世界の残酷な仕組みを知った男女がその仕組みから逃れようとするも…という話が多いように思えた。
"叫び"が秀逸なギャグから悲哀のラストへ繋がる
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ファントム・オブ・パラダイス(1974年製作の映画)

4.4

誇張抜きで体感45分くらいだった。特に前半部のテンポは異常。逮捕!→終身刑!→脱獄!→顔プレス!→ファントム化!のシークエンスのあまりに大胆すぎる抽象化とスピード感に笑ってしまった。主人公のファントム>>続きを読む

アンカット・ダイヤモンド(2019年製作の映画)

4.3

初サフディ兄弟。ライド感が楽しい。順番通りのギャスパー・ノエと言うか。アダム・サンドラーを初めてしっかり観た。クズだけど可愛くて憎めないキャラ。好きになった。

動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)

4.3

初ヴィターリー・カネフスキー。現実と虚構、炭鉱町、家出など寺山修司を連想した。カネフスキーの自己投影として少年を描く。少年は火に惹かれる。大人は分かってくれないから彼は家を出る。少女は守護天使のように>>続きを読む

スカーフェイス(1983年製作の映画)

4.6

序盤の銃撃戦前、拷問に使用するためにわざわざチェーンソーを登場させるという過剰演出でこの映画相当面白いのではないのかと興奮し、それが最後まで持続した。ここぞとばかりに使用されるクローズアップが堪らん!>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.3

町山さんのトークショー付き先行上映にて。
地獄の追体験からの救済。セッティングがまあ長いけど崖のシーンからずっと楽しい。この時のお爺ちゃんがビョルンアンドレセン。嗚咽の途中でシーンが移行するなど編集が
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フルスタリョフ、車を!(1998年製作の映画)

4.5

初アレクセイ・ゲルマン。たまに出会えるこんなの観たことない!っていう映画だった。画面では常に変なことが起きている。最初から情報過多でこのテンションについて行けるか不安になり、やはり少しだけ食傷気味にな>>続きを読む

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

4.5

映画が暴走するオープニングは何回でも観たい。劇場で観たかった。『ファイトクラブ』の元ネタっぽい。サブリミナル男性器!大胆な場面の移行と省略でフィクション度が高くなる。私があなたで、あなたが私で、もうよ>>続きを読む

キックハート(2012年製作の映画)

4.4

YouTubeにて。湯浅政明の短編。
M男とS女による愛のプロレス。だから彼らにとっては性行為そのもののような。そんなのあり得ないでしょという表現ばかり。アニメーション以外に置き換えられない魅力に溢れ
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