まっつんさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

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“Life is such a wonderful thing!”
セバスチャン・J・クリケットの美しい一言が、このおとぎ話の全てを物語っている。
思えばデル・トロは常に「ありのまま」に生きる生命へ
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

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3時間12分かけてガバガバの倫理観を持つ家族の大騒動と反捕鯨メッセージを見させられるとは。
一作目でも顕著だった「映像は最高、脚本は最悪」というスタンスがより先鋭化してしまったイメージ。
よくも悪くも
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

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静謐に、だが確かにコロナ禍のいまを写し込んだ、時代に添う映画というフォーマットが故に実現し得た傑作。
熱くもなく、何かを過剰に背負うでもない、平熱のボクシング映画があったってよいではないか。勝敗のカタ
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ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

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2023年一発目は愛憎入り混じるライアン・ジョンソン監督作からスタート。
イーロン・マスクをモチーフにしたと思しき大富豪をただの馬鹿と喝破し、手痛い仕置きをかますパンク精神には賛辞を贈りたい。高橋ヨシ
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

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空間と時間感覚を完璧にコントロールし、それらを適切な配分で繋ぎ(つまりは編集の間が完璧)提示してくれる。
俺が映画に求めているのはコレなんだよ!といった塩梅。
動的なカタルシスの連べ打ちにはただ平伏す
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マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル(2022年製作の映画)

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大好きなGotGの番外編。過不足なく各キャラクターを描き、ホッコリとするエモーションへと持っていく構成の妙は流石の一言。
てらさわホーク氏の提唱する「家系映画」路線は加速化しているものの、なんとなく見
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DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン(1983年製作の映画)

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後のシン・ゴジラ、シン・ウルトラマンに繋がる萌芽はここにあったことを今更ながらに確認。
同人作品でこれほどのクオリティを誇るとは、凄まじい。
終盤のバトルシーンは近年の下手な特撮作品(今年あったなぁ、
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ブロンソン(2008年製作の映画)

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暴力によってしか自己表現ができない男の浮遊する魂の物語。「有名になりたい」という漠然とした目標に突き動かされるように動く彼の人生には、その実、それ以外には野心や目的はない。おそらくは彼としては有名にな>>続きを読む

スキャンダル(2019年製作の映画)

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愛聴しているpodcastで数年前に取り上げられていたが、出演者の方が本作と同じような経験をしたことがあるという話をされていたことを思い出し、その時の心痛やいかばかりかと思いを巡らせたところ。
社会派
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エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE(2019年製作の映画)

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鑑賞をずぅっと先延ばしにしていたが、ベター・コール・ソウルのフィナーレを目前にしてやっとこさ観了。アルバカーキ・サーガらしい時制の入り乱れるストーリー・テリングとジリジリとした溜めのある演出、美しい撮>>続きを読む

愛がなんだ(2018年製作の映画)

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病身の床の中で。悍ましいまでの傑作。
誰かを愛しているという執着は、ともすれば「錯覚」とも読めるもので、結局は自分という捉えどころのない何某かを探し求める旅路として「愛」を描くという、『桐嶋、部活やめ
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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

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チャドウィック・ボーズマンという屋台骨を喪ったことに起因する歪な構造は目につくものの、それ以上に真摯かつ誠実に紡がれる「喪」の物語(シュリ一人の弔い語りと言ってもよい)として、共感とそして涙なくしては>>続きを読む

窓辺にて(2022年製作の映画)

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“好き“という得体の知れない情動について只管に描いてきた今泉監督が今作で描いたのは、“好き“という情動を理解し得ない(かのように見える)男の姿。市川茂己というある種の冷血漢を演じるのは、容姿は淡麗であ>>続きを読む

アムステルダム(2022年製作の映画)

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豪華俳優陣のアンサンブル演技は堪能できるが、観念的かつストーリーに大きく関与しているとも思えない、愛についての(ともすれば衒学的な)考察や講釈をうだうだとした独白で垂れ流されるのには思わず閉口してしま>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

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アクションの設計、周到に積み重ねられる意味付けや象徴性の付与、何より演出の質のいずれもが凄まじいハイレベルであり、間違いなく“面白い!“のだが、現インド政権が推し進めるヒンドゥー至上主義という社会背景>>続きを読む

ぼくらのよあけ(2022年製作の映画)

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SF的なセンス・オブ・ワンダーは目を見張るが、ストーリーを詰め込み過ぎというか、只管にあらすじばかりを追いかけさせられるような感覚を覚え、残念に感じたところ。
ナナコの造詣は、当初は代理の母のように思
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四畳半タイムマシンブルース(2022年製作の映画)

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森見登美彦氏の小説、それをもとにしたアニメーションともに私の人格形成に少なからず影響を与えた『四畳半神話大系』と、中学生の頃に妹ときゃいきゃい喜びながら鑑賞した、愚にもつかない内容ながらきわめて洗練さ>>続きを読む

アテナ(2022年製作の映画)

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折しも、イタリアで極右政党が政権を奪取したその日に鑑賞してしまい、作品のテーマ、そして描かれる顛末と現実との共時性があまりにも強すぎて思いのほか喰らってしまった。政治的な見解、人種や貧富の差からなる格>>続きを読む

沈黙のパレード(2022年製作の映画)

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きわめて”映画的”であった『真夏の方程式』に比すれば、随分とテレビドラマ的(もっと言えば火曜サスペンス風)な作りに回帰してしまったなぁという印象。それは絶望的なまでにダサい音楽使いや、ところどころでイ>>続きを読む

ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

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問題作。どうしちまったワイティティ。
冒頭のゴアの受難と「神殺し」となるに至る過程の描写は、クリスチャン・ベールの流石の演技も相まって素晴らしい。
神とは如何、そして彼らの存在意義とは何かを突き詰める
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ビースト(2022年製作の映画)

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思わぬ拾い物、とまでもいかない、まぁ凡作なのであるが、基本的にワンシーン・ワンカットで撮るという姿勢には長回し好きとして好感を持ったところ。尺もちょうど良い。

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

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うおお、面白い、面白いぞ!
『ベター・コール・ソウル』が去って不感症となった僕の心に火を灯してくれた大変な秀作。

見る/見られるという関係性にある暴力性を曝露し、それは我々が享受する映画というフォー
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さかなのこ(2022年製作の映画)

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沖田修一のフィルモグラフィでは、傑作『横道世之介』に近い作風か。しかし、いちばん連想したのはクリント・イーストウッド監督作『15時17分、パリ行き』。人生というけったいなうねり路を、優しく緩い紐帯で繋>>続きを読む

プレデター:ザ・プレイ(2022年製作の映画)

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映画館でかからないのが本当に勿体ない、紛う方なき秀作。
テレンス・マリック作品のように、全てのショットがバチッと決まった一枚絵となっており、また黒みが強くエッジの立ったシーンも多いため、これを映画館で
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ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2021年製作の映画)

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シリーズを通して語られてきた(とはいえ、〜ワールドシリーズになってからは若干薄味になりつつはあったのだが)遺伝子操作に係る倫理的な課題にはなんら真摯な回答の設けられない、何なら、それを肯定化さえしてし>>続きを読む

グレイマン(2022年製作の映画)

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各所からの激賞を聞きつけて鑑賞したが、うーむ、意外としょっぺぇな。随所に印象的なアクションシーンはあるし(プラハの一連のシークエンスは素晴らしい)、その点に於いては及第点は取っているんだろうけど、アク>>続きを読む

X エックス(2022年製作の映画)

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うーん、悪魔のいけにえの直截なフォロワーであることを隠さないところは抜けがよいのだが。はっきり言ってそれ止まり感が拭えない。
老い(≒死)と性(≒生)の関係と対比は面白く興味深いものであったが、個人的
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

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我々の愚かしさ、自己中心性を「みんなクソだよな」と涙ながらに吐き捨てつつ、それでも誰かを愛したい(愛してみたい?)と疾走するラストシーンの美しさったら。エンドクレジット、黄昏に向かって歩きゆくゲイリー>>続きを読む

恋は光(2022年製作の映画)

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兎に角もう、西野七瀬が良すぎる。二階堂ふみ以来に恋をしてしまいそうなレベル。映画自体は音楽が五月蝿く、かえって情感を消してしまっていることを除けば、500日のサマーのような趣もあり、まぁまぁ好き、とい>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

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もしかすると、映画史に燦然と輝く一本となるやも。
「映画というフォーマットはいつか死ぬかもしれない、だが、それは今日ではない」と大見得を切り、映画の持つ「動」的な、つまりは極めてプリミティヴな面白さを
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カモン カモン(2021年製作の映画)

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監督がインタビューで述べているように、「明白さとの闘い」の系譜にある作品であろう。
相互不和を取り除かんとばかりに、じっくりと少しずつ分かりあおうとする人々の様は、もどかしくも映るが同時にとても美しく
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

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炸裂するサム・ライミ節に陶然としつつ、ワンダ・マキシモフが辿るあまりにも哀しき独り路に引き裂かれそうになりながらの鑑賞となった。どうにか彼女を救いたい。

スパークス・ブラザーズ(2021年製作の映画)

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音楽ドキュメンタリーのお手本のような出来栄え。エドガー・ライトの作家としての重要性が俄然高まって見えた一作。何を撮らせても巧い。