水の踊る音。子どもたちの泣き声。食器の賑やかな合奏。はためくぴかぴかのシーツと女たちの笑い声。毒も死も憂鬱もだけれど、ときまた風にのってやってくる。
『愛は放っておけ』
俯瞰すればするほどそれはたより>>続きを読む
「カビリアの夜」をベースにしたミュージカルの映画化。まったくちがうものになっているけれど、だけどもだから、最高だった。音楽と踊りがユニークですばらしいのはいわずもがな、彼の撮るミュージカルもひと味もふ>>続きを読む
母親を信じきっている(信じようとしている)彼。彼のせいいっぱいの「助けて」は、誰にも届かない。母親にむかったあの純真な愛は、これからもきっとあばれてしまうのだろう。
望遠鏡でみる土星のわっかみたいに、>>続きを読む
くりぬかれた兎の目玉。パンツ丸見えの女の子。いつも監視されているようなたくさんの"目"。連れてこられた田舎町はへんてこりんがたくさん。大人たちの陰鬱が溢れて満ちているみたい。
「哀しみで頭がいっぱいな>>続きを読む
爆竹大好きいらずらっこのカンカン。自分は湿気た爆竹みたいなプティカンカン。ヴァカンスにゆけない牧場主の子どもたち。村に漂う閉塞的な気だるさがなんだかおかしくてここちよい。
ぽこぽこと現れる牛の死体。詰>>続きを読む
「自尊心は生まれながらにみなもちあわせているものじゃない。育てるものなんだ」マティアスのくるしみが痛いほどわかる。そう。わかってる。だれかのせいにしたいだけだってことも。
「でもどうすればよかったの!>>続きを読む
さいこうに愛おしいうそ。「ヨンサメカ」。
旅行用の貯金をはたいて彼女を"しあわせに" しようとする健気なホッピーさん。ちゃんとカメたちを愛するホッピーさん。こちらがわから観ていれば、彼女の気持ちなんて>>続きを読む
彼女が「彼らはわたしの一部」というようにじぶんをつねにスクイーズしてわたしたちに分け与えるように生きているようにみえる彼女。痛々しくてでもきっと"それ"を吐きださないと生きられない。だからこそ彼女のう>>続きを読む
最高にロマンチックでキュートなファンタジーにぽろぽろと泣いてしまった。愛もかわらずのチャーミングな人びとが拗らせる愛おしい日々。
わたしもいつも他人より1テンポ笑うの速いから。きみよりきっと1日長くと>>続きを読む
密やかな青春の終わり。喧騒とばか笑いの陰で、いつでも追いかけてくる憂愁の足音。陽にやけてゆく父親とそのへこんだおでこの下にある目にぼくはもう映っていない。
このいつまでも青空を覆う灰色の重たげな雲みた>>続きを読む
むせかえるようなスパイスと雑踏と祈り。変わらずに続けてゆくということ。
この切りとられた映像を眺めれば、それがどんなに尊いことだろうと知る。けれどそれが、完璧な美しさだ、とおもうにはわたしには煩悩が多>>続きを読む
ひとが、乗り越えられないものはないと。ゆきばの失くした迷子の感情がたえず、あばれてしまうことがあったとしても。そんな壮大なメッセージを謳いながら、観ているわたしたちをも突然つきはなす。この喪失感はあの>>続きを読む
眠れなかった夜にラジオから流れた宣戦布告と同時に彼らの闘いもはじまった。追体験がどんなにかつらいことだったろうと、それもふくめてしばらく泣いてしまった。
絶望感や焦燥感が夜にまざってセンチメンタルがお>>続きを読む
あの濃密な色気を孕む視線につかまってしまえばなすすべもない。目線が絡まる瞬間わたしたちは共犯者。酒と煙草と男を覚え、演じていたわたしがわたしを浸食する。
lust と caution 。欠けていたのは>>続きを読む
世紀末にみる夢の欠片たち。涙が雨となって流れ怒りは雷となり雪が哀しみとなっておりてくる。この大地を覆う真っ白な哀しみ。ひとの孕む哀愁がじんじんと凍みてくる。翼をもつきみたちや言葉をもたないきみたちは、>>続きを読む
土のなかのビー玉。切手。記念写真。おばあちゃんの声。閻魔さまにあげる小判。
大切にしまっておいた(秘めておいた)思い出の欠片を見せてもらった。そしてそれはまるで、じぶんの家族の軌跡を教えてもらったよう>>続きを読む
愛し合うってこんなに痛いの。??
いまにも弾けそうな石榴のように裡にだきしめる想い。
うまくゆくはずなんてなかった。不完全な美しさに、惹かれてしまったから。
五月蝿い情熱は、ひとを狂わせる。愛おしくも>>続きを読む
泣き叫ぶ花嫁。引きずられてゆく白馬。人差し指の折れたなにも掴むことのない右手。どうにもならないことが、この世界には多すぎるよね。ふるえる足で地面を踏みしめ、痛みにたえてゆかなければ、どこへも進めないな>>続きを読む
世間知らずのふるえる子羊。世間知らずがゆえのこわいもの知らず。悪名が独り歩きして逃げることしかかなわない。
だったらどうすればよかった? なんてもう問いかけない。善と悪の線引きが難しいのは今もほんとう>>続きを読む
『嫌い。でも大好き』痛めつけ痛めつけられている男たちを可笑しそうに見つめながら、彼女の言葉は零れる。優しくされることになれていないかわいそうな唇が、月さえも眠りにつこうとしてしているあの空の下、ちいさ>>続きを読む
ついていないと思っていたのは、自分の運命を信じていなかったから。あるいは自分自身を。生まれながらに持ちあわせている四つ葉のクローバーの隠し場所もとっくにわすれてしまったし。
彼は悪魔か救世主か。ナイフ>>続きを読む
すこしでも幸せになりたくて、だれかを羨んで、自分のことを嫌いになって、けれどだれかに大切にしてほしくて。満月から滲みでるさびしさをだきしめる。胃のなかのものをいくら吐き出したって、胸と頭のなかのぐちゃ>>続きを読む
言葉にならない自分の声。ひとが帰ってしまったからっぽの部屋のいつもよりうるさい静けさ。親しかった友人に距離を感じてしまう自分を疎ましくおもうこと。永遠にうまらない理想とのギャップ。はじめて使うテーブル>>続きを読む
覚悟をきめた共犯者のような、"全員" でついた嘘。いちばん大きくて強い愛をくれたのはナイナイ。こころのよりどころは、場所でなくて ひと なんだよ。みんなの故郷はずっと、ナイナイだったんだよ。
偽物み>>続きを読む
日の出とともに目覚めてその陽光を頬にうけて散歩する。人生も世界も、果てしもなく美しいと信じている人びとがいた。わたしはちっとも勇敢でないからノマドな暮らしはできないけれど。彼女もまた"とらわれていた">>続きを読む
さびしさと孤独に、のまれそうになりながらひっしで駆けだした。そこに満ちていたすべての音と空があまりに美しくて、絶望はいつだってわたしたちを追いかけてくるけれど。この果てしもなく広い世界にあっても、だい>>続きを読む
屋上のシーツのはためきが、心臓のたかのりのようで、ぼくはきみをみつけたあの瞬間、息ができなかった。はじまりもおわりも。あの日はたしかに下弦の月が空にあわくうかんでいた。
恋。家族。友情。死。騒がしいフ>>続きを読む
最初の20分くらいで、もうすでにきみのとりこだったよ。きみは苦しみを、優しくて煌めく夢のような詩にする。ママは独りで哀しみと苦しみを抱えこんでいる。きみのいまのせいいっぱいの青春と、いつか思い出すだろ>>続きを読む
違う次元に囚われていた言葉が、孤独な少年の悪戯な優しさととけあう。瞼でしかできない会話でも、ふたりはゆっくりとそれぞれのからっぽを満たしてゆく。
柔らかくて可笑しくてさびしい。あしたもし晴れならば、朝>>続きを読む
痛い青春は、早ければはやかったほうがいい。わたしの 青春 が聴こえたときにそうおもった。
気づかれることのない地下室で、ひっそりとたたかう彼らの足音。
出発の合図が聴こえるか??
街のネオンや青空が目>>続きを読む
静謐な余白に、身をゆだねる。心地よくて、気だるくて、あたたかくて、さびしくて。ときたま憎らしい。そっか。よくしっていた。それがとても、居心地がよいことを。あなたの腕のなかにいるみたいに。はるか昔からず>>続きを読む
審査員を頼まれた眠うい映画祭。理不尽なくらい少ない報酬。なぜだか怪我の絶えない毎日。ほんものの愛の前で完敗。自虐的すぎて、笑える。まんまとしてやられてる。酒と煙草で会話するあなたの映画を観て、わたしは>>続きを読む
『愛している』がぜんぜん特別なんかじゃない。おっぱいとすらっとのびる脚を追いかける男たち。
浮気現場を目撃して「おんぶさせなさいよ」とせまる女。でも、きみのことはなんでもわかるよ。という男は(女だって>>続きを読む
彼を厭う理由はきっといろいろあるのだろう。そしてそれを想像してわかりみをおぼえる自分を、鬱陶しくおもうのだけれど。苦しさばかりが目についてしまうこの世界においてもやっぱりあたたかな灯りは揺るがない。わ>>続きを読む
哀しみを酒でながしこみ、辛くないふりをして笑っても嘘なんてつけやしない。完璧にくるってしまえたらどんなに楽だろう。ぽろぽろと剥がれおちてゆく自尊心をしかたなく抱きしめ、すべてから逃げるようにはしゃいで>>続きを読む
夢のなかにはいる前の、真夜中の静寂がいちばん美しかったという現実。
もう二度と、やりなおせないから愛おしいんだよね。
あたるはあたるで、「愛している」をまだ言いたくないのは、夢 のつづきをもう少しみて>>続きを読む