朝霧にすいこまれてゆきそうな船の上から、まさに魅惑の地の遍歴がはじまる。
悲しき人間の歴史は未だ哀しみをはらみ 、もう一度バベルの塔からやりなおしたらあるいは。そんな疑問を投げかけられてもあっさり、ギ>>続きを読む
"落穂拾い" をする人びと、片隅の日陰で生きる人びとを、今度は彼女が彼女のカメラで優しく掬いあげる。落穂拾いが日々の糧になっているひと。そのものが趣味のひと。環境のため、或いは芸術のたねとするひと。>>続きを読む
わたしたちは水を纏ったいっこの骨。この乾いた大地でとりわけ美しく輝く星たちに彼らが魅せられるのは、必然だったのだろう。この力強い星たちの叫びが、彼らに希望を与えていたのにちがいない。
つねにその郷愁を>>続きを読む
かつて彼の地に暮らすインディオたちは、地球という星と調和し、洪大な水を湛えた海と対話し、その郷愁から身体に宇宙をしるした。
そして今わたしたちはノマドたちのうたと地球の生きている音に、耳をすませる。小>>続きを読む
ダゲレオタイプのように、ゆっくりと時間をかけ街にじっくりとその歴史を刻んでゆく人びと。その場所は人びとの生活と大切にしたい記憶も、ともにあることをしった。桜雨のように訪れる陰鬱をもやさしく抱きながら。>>続きを読む
アートはだから、論争をよびうるたしかなイメージ。その刹那リアリティを忘却の彼方へと閉じこめるファンタジー。この映像集もその予告編もふくめて。なんだったんだ。? 夢を見ているのかとおもった。
目が覚めて>>続きを読む
人間を服従させるために人間のつくりだした暴力なき支配は結局、その野蛮へと還ってゆく。弱いこころは、美しくそして賢いものを閉じこめ制そうとする。
彼女の叫びが怒りが、抵抗が、痛々しく刺さるけれど、彼女た>>続きを読む
夜明けの祈りの聴こえるころ、命のはじまりと絶望の叫びが共鳴する。その美しい歌に護られていた場所が穢される。
それは、誰のためのなんのための祈りであるのか。信仰に殺されたその清らかな心たち。けれどやはり>>続きを読む
荒れていた自分の思春期を重ねて、どうしてこんなにもなにもかもに腹が立っていたのだろうと可笑しくおもうけれど、あの頃はどうしようもなかった。さびしくて苦しくて、世界なんて壊れてしまえばいいとおもっていた>>続きを読む
自分が受けた痛みをなぜまたくりかえし与えてしまうのか。とりわけ愛すべきひとに。希望と絶望がひとしくやってきて、そのことに気づくころにようやく、あの頃の痛みのわけをしる。
はたかれた頬や蹴られた太ももの>>続きを読む
ネオンサインにとけるメランコリー。あなたに恋をしたのはゆめのなか。??まぼろしみたいだったあの夏、わたしはどこか違うところへ行きたかった。
気がついたら大切なものをうしなってわたしは、なにを手にいれた>>続きを読む
こどもたちを型にはめこんで、まだ子供だなんて戯れ言で無理やり自分たちの常識とやらを押しつけるのは何者か。
彼らの「なんでもないよ。だいじょうぶ。」の陰にある声に、もっと耳を傾け寄り添わなくては。
ま>>続きを読む
深い海を湛えたような彼女の瞳に映る世界はすべて、生命の力に満ちていた。彼女の解き放つ言葉はすべて、その終わりの向こうがわの美しい地平線から届く、あまりにも早い諦観の瞬きだった。
そして彼女の語る夢があ>>続きを読む
抑圧された人生において、自分を信じて書き続け描きつづけた夢。けれど独りよがりになっていたら、大切なことを見失ってしまうから。もう一度、静かに自分に問いかけてみる。
Everybody's got a >>続きを読む
愛すべきひとたちで彩られた世界。見方を変えればいつだってそんなふうに感じられるはずなんだ。わたしたちは自分の手で世界を覗くレンズを汚してそれを嘆いている。
まさに人生を愛おしくおくるためのあたたかく爽>>続きを読む
彼のうたが、崩れ落ちた日常をやさしく撫でるようにあの空にひろがる。
あの刹那、ひとびとは無意味な憎しみも忘れてたったひとつを願っていた。
ハイスピードなストーリー展開と彼らしい力強くさびしげな画のア>>続きを読む
悪魔に土下座してまで、夢中になれることが、目指すべき場所があるということがどんなに尊いことだろう。
クレイジーでいないと続けられない。綺麗ごとだけじゃあ生き残れない。泥水すすって生きてるやつを嗤うな。>>続きを読む
ひと昔まえは、ひとはこんなふうに素直に生きていたのかもしれない。芸術を愛でるのもひとの欲望で、れぞれの愛しかたが在る。服を纏えば勝ち気になって、夢だったらよかったのにとおもうような出来事の寄せ集めの、>>続きを読む
注: この作品はやわらかなコメディです。
孤独な身体は孤独な鹿の皮を纏い、空っぽになったこころはその穴を埋めるべく欠片をとらえる。
旅する鹿革のジャケット。いつまでも縮まらない人びとのこころの距離。>>続きを読む
自己中に散らかり不器用に絡まる運命。痛みにたえ、寂しさにたえ、あらゆる喪失の先にあるわたしたちの道。
あなぼこだらけの床にも愛はしずかに積もり、ときに慈しんだ愛を燃やし、見ないようにしてきた世界をしか>>続きを読む
とてもいい薫りのする映画だった。珈琲、美味しそうなマフィン、古道具。物語る絵画たち。さびしげに踊るように響くフィンランド語の心地よさと、差し込むやわらかい光であたたまってそれはより、芳醇になる。
ばら>>続きを読む
雨の音のとてもよく響くからっぽのビルのなか、男は語りはじめる。
息が顔にかかったと錯覚するほど生々しく、壊されてゆく工場とはうらはらに、彼らは優しく撫でるように、過去をほどいてゆく。それが激動の時代の>>続きを読む
地球のような月が夜空を覗いて、星たちがあまりにも美しいけれど、此処はまちがいなくわたしたちのいる星。いまでも毎日のようにひとのあたたかな血が流れ、尊い命が消えてゆく場所。
どうしてこんなにもひとは愚か>>続きを読む
子どもを前に、こんなにも"大人" は儚く無力なのか。何十年も寄り添った親友よりも子どもの話を完璧に信じ、彼の話を聞こうともしない。対称的に付き合いの浅いナディアの反応がとても印象的。
一度まわりはじめ>>続きを読む
どうしようもない母親。どうなりようもない人生。逃げるようにどこへ行くにも走り続け、がらくたの寄せ集めみたいな日々で不器用に踊る。終わりを早めてしまうことも叶わず、一度はまってしまったら沈んでゆく沼の淵>>続きを読む
罪悪感と後悔が彼の吐き出すたばこの煙と混じりあい、少年は苦しそうに目を細める。たばこをすうことが、まるでなにかの罰であるみたいに。
正しい ということがなんであるのかを知らずに生きてきた少年はやがて>>続きを読む
虚構の憎しみと途方もない虚無。霞んでゆく自分という輪郭。その青い瞳の奥に愛がおちてゆく。
なにがほんとうか、いったい何を信じればいいのか。あなたと出会ったことも、この世界もすべて、嘘だったらよかったの>>続きを読む
醜い自分が剥き出しにならないように。そんなふうにしか生きられないのだろうか、わたしたちは。そんなはずはないと空を仰いでも、ただ地を這い血を吸うあの鼠たちの画が目の前にやきついている。
なんでも神さまの>>続きを読む
意識がいくつもの夢を通過する。信仰という名の支配。 祝福されない愛。空回りする社会。自由はどこまでも不自由だと思うのはすでに囚われているからなのだろうか。勝ちとり身につけてきたのは、とどのつまり不自由>>続きを読む
漂う倦怠と孤独。また独りになるのが怖いからと目をそらそうとしたって、すぐに息苦しさは追いついてくる。ふとした瞬間に自分がばらばらになってしまうのを恐れているみたいに、いつも わたし を演じてた。
虚し>>続きを読む
ときにひとりよがりな アーティスト という言葉にこめられた皮肉と愛。
ニューヨークが美しく煌めくその刹那が人生とかさなり、才能に恋をしてしまうというどうしようもない哀しみが、にじんだ。
アーティストと>>続きを読む
よくかんがえると(いやよく考えなくとも)すごく気持ちがわるいことなのに、こんなに愛おしく思ってしまうのはなぜだろう。
忍ばせている足音とは真逆に、人肌恋しい彼の孤独がことことと、悲しげなオルゴールのよ>>続きを読む
疾走感と漂う倦怠感の妙。泳いでいないと死んでしまうお魚みたいに。
月夜に抱かれてぼくは忘れられないキスをした。人魚みたいな君は美しくとても儚くて、あの海にとけていってしまうのかとおもった。けれど結局泡>>続きを読む
選択肢が多すぎると、迷子になっちゃうね。好きになっちゃいけないひとを好きになってしまうのはなんでだろうね。ないものねだりと幸せ探しの日々。からっぽはうまらないから、楽器のように素敵な音色を奏でられたら>>続きを読む
罪悪感かほんものの愛だったか、なんてもうどうでもよいのよ。ほんと傲慢なのねわたしたち。
すべて幻想だったの。それはひとの抱く、あわい希望のひかりだから。愛に自由なんてないのよ、はじめから。
なんて鞭う>>続きを読む
残酷な夢の魅せた夢。美しくもおそろしいあの夜の夢。
こわくないこわくない。きっとだいじょうぶ。そのときになったらきっと、天使がささやいてくれるから。
守られているような、ほうり出されたような開放的な春>>続きを読む