akubiさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

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ワンダーランド駅で(1998年製作の映画)

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みんな仮面をかぶって取り繕って、この容赦ない世界を生きている。孤独じゃないふりをしていてもときたま発作のように襲ってくる恐怖になすすべもないけれど。ありのままをうけいれて。海のように。たまには運命とい>>続きを読む

ステイ・コネクテッド つながりたい僕らの世界(2014年製作の映画)

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近くにいるほど遠い。そんな世界になってしまったことを嘆いても時は戻らないから。自由を手にした子どもたちはより窮屈に不幸せになってゆくようにみえてしまうけれど、われわれ大人もこの新時代を受け入れしかるべ>>続きを読む

つばさ(1927年製作の映画)

4.5

無声映画ってこんなにロマンチックだったけ。? 聴こえるはずのない彼らの会話がこころのなかに直接語りかけてくるよう。音楽も青空に架かる虹のように素晴らしく航空戦の迫力たるや。
戦中の恋と友情と誇り。シャ
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ある秘密(2007年製作の映画)

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隠されていた過去がぽろぽろと剥がれてようやく親の痛みをしる。真実はいつだって靄のなかだけれど、今目の前でふるえるちいさくなった親の肩をだく。自由と誇りもまとめて。さびしくて苦しくて弱い。ひとはほんとう>>続きを読む

トムボーイ(2011年製作の映画)

4.0

きらきらした水辺ではしゃぐ子どもたちのそばで笑いながらも零れてしまう、ロールの憂いがさびしい。のみこんできた苛立ちが弾けたこの夏。ロールの"挑戦"はこれから、こんどは誰かがそばにいてくれるかもしれない>>続きを読む

先生、私の隣に座っていただけませんか?(2021年製作の映画)

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彼にどうしてももう一度 心を動かして ほしかった。だいすきだった"先生"の頃みたいに。現実と虚構のあわいをふらふらと、まるで俊夫みたい。こちらはそとから、かなり笑わせてもらいましたけれど。漫画とリアリ>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

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まわりはわかってくれないみたいな多感なころ。"好きなもの"で繋がっているという偶然性に、恋をしていた。現実に向き合ってゆくべく砕かれてゆく理想。あのとき麦くんはちっとも間違っていなかった。なんて、ひと>>続きを読む

机のなかみ(2006年製作の映画)

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ひとの愚かで純真な気持ち悪さを描く妙。みんなじぶんのことばかりだしみんなずるい。けれど望がじぶんの望を叶えた瞬間、どうしてあんなにも美しかったのかな。無駄だったと思えたことがふと煌めくのはなんでかな。>>続きを読む

文学賞殺人事件 大いなる助走(1989年製作の映画)

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すべてが自虐と皮肉なユーモアに満ちていて可笑しい(まさかのご本人登場とか。ドタバタなセンセイ。敬意をこめて)。夢はみているときがいちばん愉しい。恋人と付き合うまえがいちばんこころ踊っていたように。(リ>>続きを読む

クリミナル・ラヴァーズ(1999年製作の映画)

3.8

穴に堕ちていったアリス。ついにふたりでは達することのなかった夢。恍惚の迸る赤に誘われ、男になれない理由をずっと探してた。それぞれがそれぞれに満たされたとき、滲んだ仕合わせに共鳴した心はどこをみていた?>>続きを読む

マミイ(1930年製作の映画)

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旅芸人一座のものがたりは目まぐるしい日々をのせて汽車でゆく。哀しみや憎しみや歓びをうたいながら。それはまるで人生のように。The Show Must Go On。
母と息子の親密さからほんのり薫る苦悩
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麗しのサブリナ(1954年製作の映画)

3.8

揺れて壊れて溺れてしまうから、わたしをきつく抱きしめて。これまでのわたしの愛が、幻になってしまわないように。
もう愛なんて信じない。感情も過去の自分も閉じこめて生きてゆく。
そんなふたりの不器用にすれ
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焼け石に水(2000年製作の映画)

4.5

男に狂わされてゆく3人の夢物語。この愛に囚われ逃げだすこともかなわない。
おかしくて、笑っちゃったから泣けてくる。窓の外からみたらこんなにも滑稽なのに。へんてこりんなダンスみたいにね。服従に抗うには消
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いぬ(1963年製作の映画)

4.5

まるで"いぬ"のようについてくる影。涙のように溢れでる血。信じきれなかった罰なのだと。?  あのどしゃ降りみたいに永遠と止みそうにもない哀惜でずぶ濡れ。信頼と愛は見紛うことのない光と影のようにははかれ>>続きを読む

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

4.0

エッフェル塔に見下ろされ、からっぽの愛や哀しみや憂いを孕む絡まり合うことのないふたりの会話のような言葉たちは、煙草の煙のように吐きだされ漂ってはすぐに消えてゆく。どっちが臆病だって。?もうほんと、勝手>>続きを読む

気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.7

不毛な日々を漂うならば
退屈な世界にさようなら
不自由な自由よ万歳!陰鬱な詩が窮屈な世界からわたしを解き放つ。今日みたいな秋晴れの空の下でそれはそれはこころ踊る。男がみるのは夢ばかり。だれもが気狂いな
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ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)

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彼女の妄想か、あるいはわたしの。??
それともこれは現実。?? な悪夢をぐるぐると。わたしはまだ信じちゃいないけれど、この世界にはほんとうに 悪魔 みたいなものが蠢いているんだよね。今もどこかでだれか
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タクシデルミア ある剥製師の遺言(2006年製作の映画)

3.8

誇張された本能と欲望のごった煮。ひとがその体から出しうるありとあらゆるものが迸り、最期にはからっぽ。
それぞれの世界の中心に在る、神秘の瞬間 へとたどり着くまでのある一族の長い旅のおわりとはじまり。そ
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スリ(掏摸)(1959年製作の映画)

4.0

強くなれた気がした。?? なにかを成し遂げたと、そんなふうにおもった。?? とからっぽの心はおもう。ものや金でしか、愛を量れない。
「一生は無理よ。愛すふりなんて。」
なんて、なすすべもなく真理を受け
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バーバー(2001年製作の映画)

3.5

欲と野望と陰鬱が渦を巻き、弱者は搾取され不確かな日常にしがみついてはいるけれど、未確認で不確定なものはふいに現れ、わたしたちを拐ってゆく。そんなことにようやく気がついた。無口な男はどこまでも頑なに、無>>続きを読む

刑事ジョン・ブック/目撃者(1985年製作の映画)

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アーミッシュとともに過ごしたあの密やかだけれどゆるぎなくゆったりとながれていた時間は、時や不条理に追われている事実を忘れさせてくれたよう。けれどそこに絶えず覗いている彼らの抗えない"おきて"という名の>>続きを読む

泥棒成金(1954年製作の映画)

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なんの説明も言い訳もしないクールな男。理由は明確にはなったけれどどうしたって拗らせちゃった感が否めない。
富裕層の退屈な憂鬱が夜に漂い、明けた青空にアイロニーが木霊する。そして女は狡猾よね。ってやっぱ
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陽のあたる場所(1951年製作の映画)

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完璧すぎる暗闇に堕ちてゆく。あの湖はすべてを受け入れ、アビだけがいまだその泣き声を、あの陰鬱な空に響かせている。 
馬鹿なひと。愛には溺れて。自分の過去まで、沈めて逃げてしまいたかったのね。彼が完璧に
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

5.0

わたしたちは完ぺきにはお互いのことは分かりえない。ただ、わかることも、あるかもしれない。抗えない(抗えなかった)死の気配をつねに感じながら。煩い沈黙を流して。やるせない日々を嘆いて。
「わたしたちは生
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悪魔の発明(1957年製作の映画)

4.5

発明家たちの憂鬱。史実とおとぎ話が彼らのいざこざとはあべこべに愉快なワルツを踊る。20世紀、人びとの憂うため息が今も聴こえる。想像力(創造力)はどこまでも。ひとの欲も果てしもない。気球は希望の光へと向>>続きを読む

ほら男爵の冒険(1961年製作の映画)

4.5

人類の歩み(想い)は地面から青空をこえて宇宙へ。真空で響く行進曲。宇宙の片隅でうたう詩。ブルースハープなおしゃべり。腹のなかで奏でるワルツ。血気盛んな紅い煙に巻かれちゃってさ。
遊び心がリズムにのって
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シンドバッドの冒険(1972年製作の映画)

3.8

冒険を求めて海へでて、危険そうとわかっていても好奇心のほうが勝り、生きとし生けるものに助けられ旅をするシンドバッド(まるで海賊王をめざすあのこのみたい)。そして語られる千夜一夜物語。きっとこれはすべて>>続きを読む

鳥の島の財宝(1952年製作の映画)

3.5

幼いころ眠る前に読んだ、やさしいけれどそこにきちんとした教訓を孕む絵本を読んでもらっていたようなここち。海のなかの髪の毛の揺らめきや水中散歩がとても素敵。(どんなふうに撮ったのだろう。完璧な半重力。)>>続きを読む

ハロルドとモード/少年は虹を渡る(1971年製作の映画)

3.8

はりぼてみたいな上流階級の一人息子のハロルド。囚われた過去から自由を愛するモード。ほんとうは望めばなんだってできるんだ。檻のなかでもがくだけじゃない。空はこんなにも青くて広いのだから。彼のほっぺたが桃>>続きを読む

彗星に乗って(1970年製作の映画)

4.0

未知の惑星が地平線に顔をのぞかせる。天変地異が起きようともあいもかわらず人びとは争い続ける。地球の最期には人類はついに欲をすてる。?そんなファンタジーを夢みる。いつだって愛は蔑ろ。でも "理想" を追>>続きを読む

前世紀探険/前世紀探検隊(1954年製作の映画)

3.5

ジュールヴェルヌの世界に焦がれた少年たち。洞窟をぬけるとそこは氷河期だった。川をのぼりながら時間をも遡る浪漫あふれる不思議歴史大冒険。
第三期の空にうかぶ夕陽が眩しかった。
彼らの冒険のきっかけが恐竜
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ホンジークとマジェンカ(1980年製作の映画)

3.7

年代記には記されることのなかった愛に関するおとぎ話のクロニクル。
誰しもが持ち合わせている3つの心。天使と悪魔と無邪気な無関心。良心の境目はそれを見定めるのはむずかしい。雨の境界線や虹のはじまりがあや
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クラバート(1977年製作の映画)

4.2

ぽこぽこと動くアニメーションが可愛くて懐かしくてやさしい。水のなかの揺らぎ。お魚の煌めき。夕日のあたたかな朱。満月の灯り。たくさんの蓮にまぎれて彼らは愛を、その泉にうかべた。
「愛ほど強い魔法はない。
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潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ(1993年製作の映画)

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老いてゆく虚しさ。抗えない時の流れ。少しの孤独をかかえ暇をもてあますじいさんたちの不毛な日々。若かりしころならおおよそ交わらなかったであろうふたりのかみ合わない会話がキュートでおかしい。
それぞれが抱
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ファンダンゴ(1985年製作の映画)

3.5

まるで人生みたいな砂漠を進むずっこけ5人組。それぞれに秘めた恐怖が顔をださないように必死で「ばか騒ぎ」。
夕陽で滲んだ彼の初恋。肝だめしのスカイダイビング。まにあわせの草の指輪。なにかに繋がれながらも
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羊飼いと風船(2019年製作の映画)

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ときたままじりあう幻想が、雲の隙間から射すあたたかな陽光を映す雨上がりの水溜のように美しくてさびしい。転生をしんじて背中の黒子をゆめみてる。天を仰いでばかりいて大切なひとの幸せを願うひまもない。
いっ
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