akubiさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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草の上の月(1996年製作の映画)

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脆いあやうさを帯びた鬼才。不器用で愛おしい超マザコンの変人。ロバートEハワード。彼の作品は読んだことはないけれどもし知っていたらその秘めたロマンチックにわたしだって虜になりそう。こんな変人好きにならず>>続きを読む

ルクス・エテルナ 永遠の光(2019年製作の映画)

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恍惚をまえにわたしは怖気づいた。そしていまや世界も怖気づいてしまっている。鑑賞や観賞における陶酔感はやはり、それなりの理由がきちんとあるのだなとおもい、おそろしくも歓びそしてさびしくもなった。あたらし>>続きを読む

バンド・ワゴン(1953年製作の映画)

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曇り空がなかなか晴れない日々にはこんなハッピィなミュージカル。
わかち合ってうまれる奇跡で彼らのとげとげしていた虚勢がとけていった。エンターテイメントという名のもと、わたしたちはひとつになる。哀しみも
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七年目の浮気(1955年製作の映画)

4.0

出版社勤めの真面目なおとこのとまらない妄想。理性と欲望のあわいをひとり闘う滑稽な愛おしさよ。彼の場合いちばんの敵はその豊かすぎる想像力なのかもしれない。なんてめちゃくちゃ笑っちゃうとびきり可笑しい最高>>続きを読む

シングルス(1992年製作の映画)

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日記を読んでいるような、恋愛におけるそれぞれの哲学(詩)がやわらかく紡がれる。You rock my world。なんてあまいノスタルジーにひたって、可笑しい。Forget the logic。回り道>>続きを読む

グッバイガール(1977年製作の映画)

3.5

こんなにもmessな人生(そうしているのはどうやら自分みたい)。宇宙みたいな子どものあたまの中。しあわせが怖くてふるえる日々。ロマンチックすぎないどしゃ降りの夜のgood-bye。きっとこれくらいがち>>続きを読む

オーロラの彼方へ(2000年製作の映画)

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バタフライエフェクト。。!! 苦しいのはいやだ(内容をまったくしらずにみた)。とおもっていたけど最後は優しさにしっかりとつつまれた。
タイムパラドクスものはコメディとしてつくられていないとちょっと苦手
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愛に関する短いフィルム(1988年製作の映画)

4.7

ひとつ屋根のしたの宙ぶらりんな情愛。小さなレンズのむこうがわの憧憬。女はただひたすらに無垢な愛も在るのだとしった。不透明な白でない、彼の愛は紅色。思い出を紡ぐ水晶玉にあの日の夜をとじこめて。囁いた恋に>>続きを読む

終わりなし(1984年製作の映画)

4.0

「あなた 冷たい人ね。自分の不幸しか考えない」
「そうね。そのとおりだわ」
その大層な大義はけっきょく誰のため。??長いものに巻かれてまるめこまれ、ちいちゃくなってもまだ、わたしたちはやっぱりどこまで
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殺人に関する短いフィルム(1987年製作の映画)

4.7

ざらりとした画面にがさがさした感情が、ひりひりと痛い。ひとは限りなく残酷になれるし果てしなく優しくもなれる。やさしいものには生きづらいこの世界。死んで当然なやつなんてこの世にはいない。なんてそんなふう>>続きを読む

偶然(1982年製作の映画)

4.0

確固たる意志が在ったわけでもなかった。雲が風で流れてゆくように、その一瞬の 偶然 に、身をゆだねた。何気ない話から忘れていた過去を思い出すみたいに。ただどの 未来 できみがより穏やかな顔をしていたかを>>続きを読む

サスペリア(1977年製作の映画)

4.3

リメイク版のほうがストーリーとホラーが強めだったけれど、このオリジナルの美しさは無二のもの。魔女のそばにいようともこの世界にまだとどまっていたいくらい。躍るシーンがひとつもないのが残念だけれど。踊らさ>>続きを読む

Pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち(2011年製作の映画)

4.0

言葉にならないことばを身体で紡ぐダンサーたち。放たれた美しい "言の葉" はひらひらと舞ってその波動でわたしたちをふるわせる。
人生に正解なんてないように、語られたものがたりに答えなんてない。けれどそ
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カラー・オブ・ハート(1998年製作の映画)

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完璧に"しあわせ" だった町がこわれてゆく。「幸福」以外の感情が存在しなかったら(知らなかったら)世界はこんなにもモノクロなのか。なんて。知らなかったほうが幸せだった。それでもいいじゃない。歓びを知っ>>続きを読む

海辺の家(2001年製作の映画)

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やわらかい夕陽が壊れかけていた絆をあたためた。あの橙に抱かれて踊るふたりをみつめ、たくさんの愛をもって建てられたあの家は、波がはしゃぐ賑やかな響きとぴかぴかの朝日に包まれて、とても嬉しそうだった。
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

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男たちのあまりに塵のような描かれかたにすこし同情しちゃうのだけど。こんなにも簡単に犯してこんなにも軽く燃やしちゃうんだろな。過去もさ。史上最高の復讐。たくさんの破れていったPromising youn>>続きを読む

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)

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劣等感を植えつけられ薬漬けにされ制御され働かされ消費させられつづけ夢を与えながら夢をみるために眠ることすらかなわないジュディ。
自己肯定感をうばわれてきたものにとって「自分を大切にする」ことほどむずか
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イースター・パレード(1948年製作の映画)

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すれ違う4人の恋。イースターパレードという時間にむかってすすむふたりの愛。タップと歌とくるくるひらひらまわる華やかなドレスに夢見心地。ケーキみたいでおなかがすいてきちゃった。

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.0

帰路についたときに瞬くネオンをみつけて、ふたつの感情のあわいにいた。ほっとする? さびしい? 会わなかった時間がひきのばされたみたいに彼らの間によこたわる。いつまでもぴかぴかの歓びを携えるのはルーシー>>続きを読む

tarpaulin(2012年製作の映画)

4.0

拗らせちゃうひとびと。のびつづける素麺。宙に浮いたゆきばのない言葉たちはじっとりとした湿気を孕み、彼らの上に重たあく纏わりつく。

たけしくんのTシャツのなかの猫が逃げたがってるみたいで可笑しかった。
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こっぴどい猫(2012年製作の映画)

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ひととひととの絶妙な距離感。ささいな喧嘩。奏でられる勘違い。とっぴょうしもない日常が可笑しくて、どこかずれてままらない不器用なひとたちの愛おしさがあふれる。
好きだとか嫌いだとかの向こうがわ。長く一緒
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.8

なにかになりたかった。なんでもいいから。わたし以外のなにか。逃げだしたかった。ここから。世界を逆さまにみたって目を回してみたってなにもかわらない。斧をふりまわしたあのひとのことを考える。なにひとつうま>>続きを読む

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

5.0

彼の囁きは、呪いか祈りか。信じるべきはなんなのか。たしかなものはなにもない。水がどこにもみあたらないみたいに。蜃気楼のような幻みたいに。
渇いた大地を歩む足音。完璧な暗やみ。わたしたちを惑わすものは、
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魚が出てきた日(1967年製作の映画)

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絶えず悩まされる歯痛は忘れてはいけない罪みたい。林檎をたべてしまったアダムとイヴみたいなパンツいっちょうの男ふたりのいざこざが可笑しい。
"あんなもの" をつくってしまったこれは、欲にまみれた人類の阿
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ワイルド わたしの中の獣(2016年製作の映画)

3.7

自分のこころの闇のほうへ、手をのばす。雨の日は嬉しい。傘で顔をかくせるから。見たくないものを、見なくてすむから。
迷子のきみは、まるでわたしだった。きみに会うまで知らなかった。空がこんなにも広く明るく
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ピクニックatハンギング・ロック(1975年製作の映画)

3.6

岩間で戯れる裸足の天使たち。彼女たちの笑い声がくすぐったくあの叢をころがってゆく。瞳で交わされる密やかな約束。傷ついたその翼でだれもみな此処で懸命に生きていた。仄暗くゆらめく闇を孕んだ美しい絵画のよう>>続きを読む

ある愛の風景(2004年製作の映画)

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画面にあらわれる黒い靄はまるで彼らの心を浸食する闇のよう。感情の糸がぷちんと切れてしまった音が、聴こえた。自身も被害者であっていいはずなのに、なにが正しかったかなんて考えてしまう愚かさ。

レコードジ
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美しい人(2005年製作の映画)

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どこか遠い場所で吹きはじめた風がここまで届くみたいに、密やかにでもつながっているわたしたち。となりの芝があおくみえる?それとも水をあげる?誰かの犠牲のうえに誰かの幸せがあって、わかっているのに毎日の陰>>続きを読む

パーム・スプリングス(2020年製作の映画)

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ロイの"今が最高"という思いがすこし哀しかったけれど今が一生続いてほしいと願うのも、新しい自分に生まれ変わりたいと思うのも、どちらも自由だし素敵だとおもった。どのみちいつかうんざりしてしまうことだって>>続きを読む

ガープの世界(1982年製作の映画)

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「lust」にとらわれた(嫌悪する)ジェニーのことが小説をよんだときからすきだったけれど、映画もやはりわたしには「ジェニーの世界」だった。あとロバータもだいすきだったな、となつかしく想いながらもこの2>>続きを読む

ホット・チック(2002年製作の映画)

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ほんとにばかばかしくて最高。大笑いしちゃった。そんで不覚にも泣いてしまうthe コメディ。
20年前というだけあって今だったらきわどいような場面もあるし、あのタキシードのまま赤いヒールはいてプロムクイ
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式日-SHIKI-JITSU-(2000年製作の映画)

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まだ大丈夫かどうかを確認するための屋上なんて、もうもっていなくていいんだよ。綺麗なものをかぞえてたしかめる。
誕生日の前の日が一番幸せだったことを思い出した。
「嫌いにならないで。そばにいて。」それが
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自分の事ばかりで情けなくなるよ(2013年製作の映画)

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いつだって女が涙を流す。誘ったほうのきみは、ただおこってばかりいる。なにがいけなかった。??あのころのことをいくら考えてみたところで、答えは同じところへ戻ってゆく。きみと出会えてよかった。わたしは幸せ>>続きを読む

ライク・サムワン・イン・ラブ(2012年製作の映画)

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気まずい沈黙に纏わりつく腐りかけの嘘。車のなかのその濃密な空気に息がつまりそう。嘘をつく罪悪感と毎夜訪れる孤独が月にかかる天秤のように揺れていた。ひとりぼっちの外側に溢れていた騒がしい 音 がすきだっ>>続きを読む

モーヴァン(2002年製作の映画)

3.8

まるでこころの隙間に入りこんでうちがわから蝕んでゆく、美しくて儚い幻想を生きているような虫のように。残酷な無関心。静謐な好奇心。この世の出口でないどこか別の場所をもとめて。
「Be brave. 」だ
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マレーナ(2000年製作の映画)

3.6

きみはいつも目を伏せて、とても悲しそうな顔をしている。ほんとうの彼女を知っているのはぼくだけ。切られてゆく髪の毛。殴られた頬。すりきれた膝。絶えず求めてきたくせこんなときにだれも助けにいきやしない。こ>>続きを読む