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世界で愚かな人間が愚かな行為に生き、あるいは殺されている。それを愚かだと我々が思うことの愚かさ、ではなくその前にもっとそもそも愚かだったじゃないかと、救いのように突き刺してくれる。これで救われたとは思>>続きを読む
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寒々しく、寂寥とした旅。周りに遮るものがないその身体に、イメージが、夢が、記憶が、吹き荒んで冷却し、しかし止まることなく通り過ぎる。どうしようもなく残るのはこの生きている身体だけ。
結婚式を逆走して進>>続きを読む
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さすがに変映画すぎて声出たわ。へんてこ、現実に対する、へんてこ。世界は語られて初めて存在する、ではなくて、もう少し手前に生まれる。書くことで生まれる世界とその手前にもう存在している世界。そのどちらもへ>>続きを読む
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窓から覗き、絵画に閉じ込める。映画は窓かキャンバスか。太陽がいっぱい、よりも盗んだ男、ストーンズよりはビートルズ。救急車強奪の夢、後を追う心。世界を切り裂く建築映画。あるいはそれ未満。
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驚くほど丁寧で質の良い映画。俳優の演技、カメラワーク、編集、演出もさることながら、社会から追い込まれ死を決意し、その死からも見放された男と、社会から閉じこもり自分の世界でだけ生きる女が、漢江の無人島と>>続きを読む
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アマプラゴミ画質でも見られただけ良かった。バスガイドがキモおじに求愛されまくって何やと思ってると謎の(まじで謎の)遺産相続が持ちかけられそれを狙っていろんな人がどんどん押し寄せてくるというもうてんやわ>>続きを読む
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ぼくの心を離れない、ビエンチャンからタイ国境へ一直線に続く道、ノンストップのトゥクトゥクが全速力で走るあの土埃舞う舗装路の両脇に流れ出した赤土。『MEMORIA』の記憶が鳴らす音。新海誠の描く時間を超>>続きを読む
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尽くカメラが悪い。どこにも立していない。映画に対する反抗かとも思ったが、そんな気概もやはり感じられはしなかった。罪とは何なのか、正義とは、裁きとは─それを問うには、あまりにも稚拙だと思う。それを問うの>>続きを読む
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理想的だ。その生き方は、真剣で、小さく、尊い。派手でなくてもいい、功利的でなくていい、ただその掌の上に収まる生活を、大事に大事に、守り続けていくこと。たとえ世界が終わったとしても。
大きな災害が起きた>>続きを読む
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パリの街とアパルトマン、不在の猫を探して猫のように人々が動く。主人公のバカンスがワンカット一瞬で終わったのすごすぎて吹き出したのも束の間、帰ってきてからの物語の滑り出し方が、焦りやおどろおどろしさのな>>続きを読む
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ヒョロヒョロと手足を持て余すように気弱なのに顔立ちが異様にかっこいい岡田真澄とテレビで神秘的なキャラを演じた後の楽屋でガンマンのまねをするお茶目な丘野美子、それに平尾昌晃の最高のライブシーン(Luci>>続きを読む
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延々と続く田園風景にようやく台詞が差し込まれると着物姿の山本富士子と勝新、車降りると迎えるは花に囲まれた若尾文子様と川口浩、という冒頭でもう、惚れました。だいしゅき……。
そこに川崎敬三と野添ひとみが>>続きを読む
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モチーフの反復によるテーマの表出。これまでほどストーリーが強くない分、技法の精巧さに息を巻いた。寅屋で演説する寅さんの後ろで次々と流れるSE、徹頭徹尾ピエロとなるタコ社長、同フレーム内で舞台のように入>>続きを読む
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終わりから始まる映画を見たかと思ったら次は終わらない映画だ。終わらない映画。人が「いる」ことの意味を、あるいはある面での意味の無さを、関係の接続/切断や主体と客体のスイッチングによって試算するような形>>続きを読む
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終わりから始まる。これはいかに映画が現実そのものではないのか、一方で現実の見方そのものであるのかを知り、究め、体現している。きっかけをあたえる、とかではなく物の見方そのものの正しさを見られる側が直接問>>続きを読む
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暖かい色合いの一輪のひまわりと、枯れたひまわりの向こうを歩く家族らしき人影、の鬼カットバックというパキりオープニングからヴァルダの強さが溢れている。
幸せな家族の風景にゆっくりと差し込む不幸。いやこれ>>続きを読む
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花に嵐の喩えもあるが、愛の灯はイナズマでも散らない、たとえブレーカーが落ちたり記録が消えたりしたとしても。
カメラの(再)利用、現象の再現、反復。コロナ、布マスク、血、絶望、運命の出会い、搾取、死。口>>続きを読む
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終戦直後の日本でゴジラを使い戦争の再現をすること、「おれたちの戦争を終わらせる」と言うことや「終わった」と言うこと、”戦争の遺物”を”使いこなす”ことで戦いを遂行すること。あらゆることに欺瞞を感じたが>>続きを読む
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この前見たアニメの敵キャラの能力。自分と相手の力量を天秤にかけ、重かった方(力が大きかった方)がそうでない方を完全に従属させるという能力。戦いではなくそのための能力値で結果だけを決める。なんて明快で、>>続きを読む
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わからなさと、伝わらなさはちがう。
伝わらなさと理解できなさも、理解できなさと意味のなさも、見ていないことと存在しないことも。
前作『シャドウプレイ』同様細かく切り刻まれた編集はやはり混沌の様、そして>>続きを読む
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今泉の映画は見易い。そして気安い。
スクリーンの向こうへ続く地平、そして同時にスクリーンが堰をしているからこそのこちら側の安寧─それは『列車の到着』を観て驚き立ち上がった観客が、その足で生活に戻った時>>続きを読む