marikabraunさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

Beau(原題)(2011年製作の映画)

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ママの恋人、強迫観念。ホアキン主演の新作がはやく見たいな

ナイン・マンス(1976年製作の映画)

4.5

70年代の女性映画として私の中で外せないひとつになった。初っ端から面白すぎて口角が緩む。食事の誘いをきっぱりと断られているにも関わらず教えてもいない家の前で勝手に待ち伏せて「俺だ」じゃないんだよ。だけ>>続きを読む

アダプション/ある母と娘の記録(1975年製作の映画)

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多用されるクローズアップに隠せない嫉妬と羨望。歪なシスターフッドとでも呼ぶべきか、名付けがたい関係性。女だけではただ歩くのも食事するのもほうっておいてくれないのかと思う瞬間が生きているとたびたびあるの>>続きを読む

赤い砂漠(1964年製作の映画)

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裕福そうな身なりをした子連れの女性が、見知らぬ男性の食べかけのパンを売ってとせがみ貪り食べる冒頭から様子がおかしくて心掴まれる。加速するテクノロジーと、自然を破壊して有害な煙を吐き出す工場都市の無機質>>続きを読む

666号室(1982年製作の映画)

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ゴダールとアントニオーニが印象深い。「映画は見えないものまで映像にすることができる」「1分より長いと真実を言わざるを得ない」時代は移ろいテレビからインターネットへ。これを配信で観た自分に若干の後ろめた>>続きを読む

コックと泥棒、その妻と愛人(1989年製作の映画)

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我がもろもろの罪を消したまえ、と天使の歌声。七つの大罪が渦巻いて、赤と緑の補色のように相反するものがぐちゃぐちゃに混在した料理は胸焼けするほど下品で悪趣味でグロテスク、なのにどこか美しいと感じてしまう>>続きを読む

カルネ(1994年製作の映画)

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ボウゥン、とかズガァアン!みたいな音と共にパン&ズームするのずっとおもしろい。これしきで感受性は傷付けられない。馬刺しも美味しく食べます。

ふたりの女、ひとつの宿命(1980年製作の映画)

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嫌がる夫と親友に自ら代理出産を頼んでおきながら、真夜中に全裸で泣きながら床に転がるブルジョワ女の幼児退行ぶり、赤子の産声と嗚咽の交わるシーンなど普通に地獄だった。なんだお前。不機嫌そうに花を鋏で切り落>>続きを読む

SKIN 短編(2018年製作の映画)

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屈強な男性の登場にフィジカルな暴力を予測した自分ごと恥じたくなるような、斜め上ゆく制裁。教えとも言える。子は親の鏡。

Munchausen(原題)(2013年製作の映画)

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必ずしも本人に悪意がある訳ではなくても、毒のように相手の体を蝕み、殺してしまうのが虐待なんだよ。家族であれ恋人であれ、他者との境界を乗り越えていないか、自分自身の混乱を理解して手綱を締めるよう努めなく>>続きを読む

TDF Really Works(原題)(2011年製作の映画)

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人生でもっとも無駄な2分間を過ごした気がするけど、アリアスターが楽しそうで何より。Knock Knock🎶

レイダース/失われたアーク《聖櫃》(1981年製作の映画)

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瞬きのLOVE YOUと痛くないところにするキスが可愛らしい。何度も観てるはずだがインディこんなサイコパスだったのかとずっと笑ってた、溶けていく最後はさらに声出して笑った。

セイント・フランシス(2019年製作の映画)

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痛みを伴いながらなんとも軽やかな34歳と6歳のシスターフッド。経口中絶薬を実際に使うシーン初めて見た。日本ではようやく認可が下りたばかり。生理がなければ私たちは生まれてすらいないのに、なぜ穢れのように>>続きを読む

パッション(1982年製作の映画)

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思想のない光。惜しげもなくさらされる裸体、女の身体がどれも客体に過ぎないのが段々むかついてきて「何を見てる?」「宇宙の傷口を」じゃあないんだよインテリエロ親父が、とか思ってしまう。史上最も美しい背中こ>>続きを読む

ゴダールのマリア(1984年製作の映画)

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ひとり部屋のなか爆音クラシックで踊るの最高。と思いきや前半はミエヴィルが監督なのか。
処女懐妊とかもっともらしい理由をつけて好みの女性を隅々まで撮りたいだけだろ…と邪推してしまうほど、ゴダールの一貫し
>>続きを読む

右側に気をつけろ(1987年製作の映画)

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詩と音の洪水と、ジャックタチへの愛と。死について。『中国女』を思い出させる列車のシーン、車窓からの景色と手錠にかけられた手のコントラストが美しい。

中国女(1967年製作の映画)

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五月革命前夜、両親が不在のあいだ家に集まり、マオイズムに傾倒するブルジョワの若者たち。討論に明け暮れる姿は羨ましいとすら思うけれど、彼彼女らの革命はあまく燃え切らない。個人的に好きなのは教授に言い負か>>続きを読む

ロング・グッドバイ(1973年製作の映画)

4.5

なんだこれ、すごく良い。人間は猫のしもべと言わんばかりのオープニングから既に素晴らしくて好きな映画だと確信した。ぶつくさ言いながら独特なマッチの点け方で呼吸のように煙草を燻らせ、猫に甘く犬に嫌われる私>>続きを読む

モンパルナスの灯(1958年製作の映画)

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気品と色気のある美男美女はそれだけで眼福…。しか感想がなかった前半から怒涛のラスト。生きている間は絵が売れないと言い捨て、その瞬間まで今か今かと忍び寄る画商の姿はまさに死神だった。現代でも誰かの訃報と>>続きを読む

ポゼッサー(2020年製作の映画)

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先日ポゼッサーTシャツ来てるお兄さんとすれ違って羨ましかった。息子クローネンバーグも悪くない。暗殺者として他者の振る舞いを真似ることも、我が家でよき妻よき母を演じることも同等になっていたタシャにとって>>続きを読む

あのこと(2021年製作の映画)

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今日でも中絶禁止法が新たに成立してる。自らの身体についてのあらゆる可能性、あらゆる自由を選択する権利を持てないことがいかにおそろしいか。先日、目の前にいた知り合いではない男性がおすすめの映画を聞かれ、>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

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芸術と作家の人格は分けて評価すべきと言う人がいるけれど、私はそう思えない。学びを得るためどんな作品にも広く触れるようにはしているものの、人の感情を動かすものを作るなら、芸術家である前にまず人間であれよ>>続きを読む

私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

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オルガの猫背と歩き方がうちの兄にそっくりで不安になった。彼女の佇まいがほとんど映画の魅力だな、と思ったら『ゆれる人魚』で好みだった俳優、しかも人魚姉妹揃って出演してた。喫煙というゆるやかな自殺から具体>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

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大人になるにつれて、自分が生きる粗くぼやけた世界の解像度が少しずつきめ細かく、深く広くなっていく。後から思えば、あの時のあなたは海に溺れてしまいそうだったのかも知れないと、いつも何かが少し間に合わない>>続きを読む

夏時間(2019年製作の映画)

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広い庭のあるいい家。実際に重ねた歳月と生活感はどれだけセットを組んでも真似ができない、かなわない。決して仲が悪い訳ではないのに親戚がひとところに集まると妙な居心地の悪さを感じたことや、薄いベールに護ら>>続きを読む

《ジャンヌ・ディエルマン》をめぐって(1975年製作の映画)

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今年のアケルマン映画祭で新たに公開された作品のなかで、正直一番面白かった。確信をもとめて演出の意図を執拗にたずねる熟練女優のセイリグと、それに応える若きアケルマン。余白も大切だけど、激しい対話によって>>続きを読む

ノー・ホーム・ムーヴィー(2015年製作の映画)

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荒寥とした地でびゅうびゅうと吹きすさぶ風に激しく揺れる孤木。この映画を見終えてから、その木に覚えがあることに気付く。タイトルはNo Home/Movieなのか、それともNo/Home Movieか。愛>>続きを読む

ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

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手持ちのDVDを見返したけれどやはりべらぼうに面白い。あれほど「女」としての策略や抑圧を拒絶していながら、気づけば所有欲にまみれ自分が軽蔑した元夫のように成り下がっている。支配と依存と隷属と搾取はどれ>>続きを読む

東から(1993年製作の映画)

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共産主義が崩壊してまもない東欧をさまよう横移動と長回し、女性たちのポートレイト。説明も字幕も廃しているので言語の分からない異国を旅している気分になった。そこに住んで生活することと旅行者として滞在するの>>続きを読む

(2021年製作の映画)

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いつぞやのmubiにて。チリの歴史には明るくないのだけれど、シュヴァンクマイエル育ちの私にとっては大好物なビジュアルでした。

アメリカン・ストーリーズ/食事・家族・哲学(1988年製作の映画)

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同じくニューヨークを舞台にした『家からの手紙』と対をなす始まり。ユダヤ系移民が語る身の上話と寸劇。人生を無理やり笑いで乗り切ることも必要、なのだろうけど笑えない。躁鬱すぎてどう見たらいいか分からなかっ>>続きを読む

故郷の便り/家からの手紙(1977年製作の映画)

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ニューヨークに足を運んだことがない私が持つ煌びやかなイメージとは違う顔をした、70年代のニューヨーク。不景気によって停滞した空気と寂れた街並み、並んでいるだけで絵になる車たち、不躾に向けられたカメラに>>続きを読む

エル プラネタ(2021年製作の映画)

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見えづらい貧困。SNSによって見栄で破滅している人間ってどのくらい居るんだろう。誰もが無意識に飾って生きていて、何に心が華やぐか、優先順位はそれぞれの自由だけれど、それは他人に迷惑をかけなければの話。>>続きを読む

ブルース・ブラザース(1980年製作の映画)

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軽々しく景気よく、全てをめちゃくちゃにぶち壊していくので楽しかった。絶対に死なない兄弟と豪華な顔ぶれ。洋楽のレジェンドにスピルバーグにツイッギー、レイア姫が謎のやばい女やってて笑う。

第三の男(1949年製作の映画)

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オーソンウェルズの登場シーンはずるい。光に浮かび上がり闇が覆い隠す、あんなの追い掛けずにはいられない。地下水道の追走劇やラストの並木道、白黒だからこその映像的な魅力にあふれてる。サスペンスには不似合い>>続きを読む

赤い靴(1948年製作の映画)

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バレエか愛か、どちらかひとつしか選ばせないなんて、ただのマッチョイズムな所有欲だろと終始むかついてた。どんな時代も当然に自分が自分でいられる相手、いさせてくれる相手と一緒に居たいものですね。