似太郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 43ページ目

ヴィデオドローム(1982年製作の映画)

4.6

何度観ても思うことだが、クローネンバーグ作品は画面がやけに暗く引き締まっている。重厚というよりは端正。悪く言えば地味できっちり型という印象…。

少なくともデヴィッド・リンチや北野武みたいに奇を衒って
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シビル・ガン/楽園をください(1999年製作の映画)

4.2

一応、西部劇なのだがどこか清涼感を感じさせる作りでトビー・マグワイアを始めとする役者陣のフレッシュな魅力が光っていた。珍しい。

もしかすると、これは西部劇というよりも一種の青春群像劇なのかも知れない
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シービスケット(2003年製作の映画)

3.8

アメリカの大恐慌時代を舞台にした競馬の話らしく、どんなに感動出来るのかと期待して観たのだが…。ぜんぜんドラマが盛り上がらない上、ぎこちない演出だった。

まあ、脚本でソツなく纏めただけのアメリカらしい
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この世界の片隅に(2016年製作の映画)

4.2

原作漫画にあった悲壮感がないね。戦争を題材にしたアニメだから変に重苦しくするとマズイ…という意向が働いたのかな。要するにイマドキの観客に「忖度」したという事か。

たしかにアニメ映画としてのクオリティ
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人生劇場 飛車角と吉良常(1968年製作の映画)

5.0

何やら随分と辛辣なレビューが多いようだが、「一作目の『人生劇場・飛車角』と比べて明らかに劣る」とか「ヒロインのおとよのエピソードが盛り上がらない」だとかそんな偏見に満ちた愚昧な感想などこの際どうでもよ>>続きを読む

ワイルド・アット・ハート(1990年製作の映画)

4.3

鬼才デヴィッド・リンチ版『俺たちに明日はない』或いは『地獄の逃避行』?のような殺人鬼カップルの道程を描いたバイオレンス・ロマン。

全編、たしかに「狙い」の透けて見えるあざとい作りではあるが…。リンチ
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ディパーテッド(2006年製作の映画)

3.6

まるで小学校の学芸会みたいな作りでビックリした作品。巨匠でも外す時はとことん外す。それが本作でちゃんと実証されたね。

いつものスコセッシ作品にあるアンビバレンツな暴力性が本作では見事に空回り。大根役
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インファナル・アフェア(2002年製作の映画)

4.0

【善と悪は紙一重】

設定がややジョン・ウーの『フェイス/オフ』的で無理のある感じだけど、主演二人の重厚なオーラが素晴らしかった香港ノワール。極めて秀逸な潜入捜査もの。

特にトニー・レオンが渋い。燻
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ドッグ・バイト・ドッグ(2006年製作の映画)

3.6

🐶かなり昔、DVDで鑑賞した香港産バイオレンス。サム・リーがイカれた復讐鬼を熱演。

🐶全体的に安上がりな作りなので内容的に全くピンと来ない。観賞後は歯痒さたけが残る。ラストは結局何なの?と突っ込みた
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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

5.0

原題は、A BRIGHTER SUMMER DAY 。
日本語で訳すと「陽光眩き夏」といった所。タイトルからは想像も出来ない内容。

台湾が生んだ巨匠、エドワード・ヤンの一世一代の名作。主人公の少年が
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八月のクリスマス(1998年製作の映画)

4.3

ごくごく普通の庶民的なラブストーリーといった感じで、悪くない。小津安二郎を彷彿とさせる静的な画面構成も秀逸。

まあ内容はたしかにベタベタな感じで臭くもあるが…。その辺がどこか戦後の日本っぽくて親近感
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ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

4.4

個人的に韓国映画は好きなタイプのものと嫌いなタイプのものとでハッキリ二極化する。特に最近のベタベタな韓流ムービーは正直苦手で、観てて「?」となる事も多い。

ぱっと見、最近の日本映画と大して変わらない
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ハッピーアワー(2015年製作の映画)

4.7

ここ最近の濱口竜介ブームを引き起こした「火種」とも言うべき5時間超えの大作。全員、ど素人の役者を起用した反商業主義的な作風の邦画。

そのあまりにも映画美学校的な濃ゆい映像で癖のある女優さん達の「訳あ
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マイレージ、マイライフ(2009年製作の映画)

3.7

公開当時、劇場で観た記憶。

こういうアメリカのエリート・ビジネスマンの裏事情みたいな内容はちょっと日本の観客には理解し辛いものがある。悪い意味で「大人」なんだよな〜。その手の中産階級の人なら同調出来
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有りがたうさん(1936年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

YouTubeで鑑賞。それもニ、三回区切って観た。戦前の清水宏監督によるほのぼのロード・ムービー。原作は川端康成。

若き日の上原謙演じるバス運転手「有りがたうさん」と地方の人々の交流を暖かく描いた作
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ゴースト・ハンターズ(1986年製作の映画)

3.5

ウーン…これは頂けない。😓

作り手のジョン・カーペンターの悪ふざけ的なノリが一気にピークに達したC級馬鹿映画である。もはや怖くも何ともない。👻

たしかにチープで可愛らしく憎めない作品ではあるが、終
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クリスティーン(1983年製作の映画)

4.4

スティーヴン・キング原作ものでは成功した方だと思う。鬼才・ジョン・カーペンターらしくハッタリの効いた見世物感満載のホラー映画という感じかな?。

『アメリカン・グラフィティ』にしろ『タッカー』にしろア
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スリー・キングス(1999年製作の映画)

4.0

ノンポリなように見せかけて意外と社会派な内容の戦争映画。ふざけたブラック・コメディ的な前半からシリアスな後半まで目が離せないデヴィッド・O・ラッセルの佳作。

全体的にイーストウッドの『戦略大作戦』の
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特攻大作戦(1967年製作の映画)

3.8

💣ロバート・アルドリッチ監督の戦争娯楽巨篇。タランティーノの『イングロリアス・バスターズ』なんかにも影響を与えてそう。

この際、戦争の悲惨さとか残虐さとか一切無視して無骨な兵士たちによる攻防戦を楽し
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俺たちに明日はないッス(2008年製作の映画)

4.0

🌊なかなか気合の入ったSEX描写で、ポルノ映画並みとまでは言わないが、タナダユキ監督らしい抒情的な世界観を堪能出来る。

🌊剥き出しな青春。パンクな青春。そういう輩に希望を託してる気がする。小品ながら
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カケラ(2009年製作の映画)

3.3

🍑そういや、安藤モモ子監督っていまどうしてるんだろ? 『0.5ミリ』撮った後ほとんどウワサを聞かない…。

🍑主演の満島ひかりの終始キーキーした演技がとてつもなくウザいが、観ておいて損はしないガーリー
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ブレードランナー ファイナル・カット(2007年製作の映画)

5.0

個人的には「最終版」より「ファイナル・カット」の方が残酷シーン盛りだくさんで良い出来だと感じる。フィリップ・K・ディックの原作小説をメカニカルな映像で構築したリドリー・スコットの代表作。いわゆるサイバ>>続きを読む

2001年宇宙の旅 新世紀特別版(1968年製作の映画)

5.0

てっきり楽しい宇宙旅行の映画かと思ったらぜんぜん異なる神話的スケールのSF映画だった。人類誕生と「性」の秘密に迫った極めてエロティックな作品。

本作に於いてキューブリックは敢えてストーリーを説明する
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ああ爆弾(1964年製作の映画)

4.5

通常のミュージカル映画とは一線を画す、何が何だか分からないが凄まじいテンションの持続。辻褄の合う展開が一つとしてない。(笑)。マトモな創作意欲があったらこんなもの作らない。

主演の伊藤雄之助のギョロ
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「エロ事師たち」より 人類学入門(1966年製作の映画)

5.0

やっぱり今村昌平が描くド助平の連中は愛嬌があって大変よろしい。主演の小沢昭一が『競輪上人行状記』と並ぶ怪演を披露していて凄いの一言。

冒頭からシネスコいっぱいに駅を写し撮った長回し映像からグイグイと
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現代性犯罪絶叫篇 理由なき暴行(1969年製作の映画)

4.3

これはある意味、暴力的で陰惨な『ストレンジャー・ザン・パラダイス』という印象を受けた。最下層の青年三人組が小田急線に乗り網走まで逃避行する過程を淡々と綴ったロード・ムービーのような感触がある。

若松
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S.W.A.T.(2003年製作の映画)

4.0

ハリウッド映画の十八番である豪快なポリス・アクション。役者が無駄に豪華で全員ドヤドヤしてる辺りが本作の特徴かも。

脚本が良く練られている為、単細胞なアクション映画とは違った「硬さ」があり秀逸。さすが
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ハードエイト(1996年製作の映画)

4.2

PTAの商業デビュー作は(完成度は別として)非常に風格のあるマフィア映画だった。如何にもシネフィルらしい趣向を感じさせる演出なのだが、シネフィル特有の青臭さというよりも寧ろ「若渋」という印象さえ受ける>>続きを読む

ポルノ時代劇 忘八武士道(1973年製作の映画)

5.0

原作・小池一夫、作画・小島剛夕コンビによる劇画を奇才・石井輝男カラーで染め上げたセックス&バイオレンスの連べ打ちでとことん魅せる異色時代劇。

いわゆるポルノ映画とかブラック・コメディとかそういった一
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白い町で(1983年製作の映画)

4.5

かなり大昔にレンタルビデオで観て以来、引っ掛かる作品。8ミリフィルムを手にした男の心象風景を淡々と綴ったもの。内容はともかく、雰囲気そのものを楽しむには最適なロード・ムービーの秀作。

初期ヴィム・ヴ
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カリスマ(1999年製作の映画)

4.2

✉️冒頭「世界の法則を回復せよ」と書かれた置き手紙を見た瞬間、主演の役所広司が突如異世界へとワープし一本の樹木「カリスマ」を守る為に謎のテロ組織と対峙するサイコホラー。

あまりに重層的な観念を導入し
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スペース カウボーイ(2000年製作の映画)

3.8

【老後の人生は宇宙に託す】

手堅く律儀な演出でさすがはクリント・イーストウッドだけはある。主人公を含め、老人だらけの『ライトスタッフ』という感じのSFアドベンチャー。

映画の完成度では『ライトスタ
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アポロ13(1995年製作の映画)

3.8

この映画は小学生の頃、日曜洋画劇場で観て「さすがハリウッド映画は基礎がしっかりしてる!」と感心した作品の一つ。

オーソドックスで手堅い演出や役者の演技のアンサンブルなどが…当時のメジャー系日本映画の
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ケーブル・ガイ(1996年製作の映画)

4.3

📺⚡️主演のジム・キャリーのオーバーアクトな演技を逆手に取って気色の悪さを助長するサイコ・スリラー風コメディ。被害者役のマシュー・ブロデリックの終始おどけた演技がなかなか良い。

TVオタクのいじめら
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暴行(1950年製作の映画)

4.6

未だに日本未公開、DVD化すらされていないという不遇な作品でアイダ・ルピノ監督による女性ならではの不安神経症にフォーカスを当てたサスペンス。今ならYouTubeで簡単に観ることが出来る。

やはり女流
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ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年製作の映画)

4.5

「あのゴダールがもしポルノ映画を撮ったら?」という身も蓋もないコンセプトで進行していく初期黒沢清監督によるエッチな学園コメディ。原題は『とっても恥ずかしゼミナール』。

悪ふざけ感満載な作風はのちの『
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