故ラチェットスタンクさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

彼女と彼女の猫 -Everything Flows-(2016年製作の映画)

2.6

『リメイクの意義って何でしたっけ?』

新海誠的な優れたレイアウトがあるわけではなく、99年版特有の深みを感じるモノローグやノスタルジーは完全に喪失されていて、良くも悪くも癖のない大衆向けの落ち着いた
>>続きを読む

HELLO WORLD(2019年製作の映画)

3.0

『キラキラ系』

ラストで急に日本アニメらしい2D作画になるのは「精神と器」が同調したから、と言う解釈で良いのだろうか?

ツルンとしたCGらしさ強めのアニメーションが展開されるが慣れて仕舞えばそれほ
>>続きを読む

サマーゴースト(2021年製作の映画)

3.7

『新海誠?』

オレンジがかった色彩とか
抑え目で控えめな演技とか
ダウナーな物語進行とか
時間が止まったような(文字通り停止することもあるけど)ノスタルジーとか
凄く新海誠的に映った。

若者は辛い
>>続きを読む

マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル(2022年製作の映画)

3.7

冬の兵士さん『文字通り「一本」取られた。』

配信企画としては、ベストアプローチではないでしょうか。
薄味のホッコリ人情噺なので物語としてはそこまで映像化の意義は感じず、ヨンドゥの話なんかもvol.2
>>続きを読む

ゴジラ(1954年製作の映画)

4.1

『亡霊の産声』

特撮の微笑ましさもそこそこに、構成の上手さに度肝を抜かれる。

状況を動かす当事者(政治家)たちから、見極める批評家(ここでは研究者たちの事であるが)、語り伝える報道者から、被害を受
>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

4.1

『パワー!ハッッッ!!!』

画面から溢れ出る熱気に圧倒され続ける3時間
主食だけを詰め込んだような驚異的カロリーのビジュアルをたらふく身体に叩き込まれる快感

・水と火の旋回
・縄の端と端がグッと引
>>続きを読む

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

『虚しさに包まれたなら。』

セラピーのフェーズ4、最後の最後にようやくフェーズ3までの作品群への明確なアンチテーゼを掲げてくれて嬉しい限り。
立派に「エンドゲーム以後のヒーロー映画」としての存在価値
>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.8

『私たちは大丈夫か?』

んー…難しい点もありますが、動きと音を駆使した「アニメーションの快楽」を2時間に全搭載した娯楽大作としては傑作です。それも圧倒的傑作。

「君の名は。」「天気の子」と比べてよ
>>続きを読む

バーバリアン(2022年製作の映画)

3.4

『田舎の地下室、男女2人、何も起きないはずもなく…』

水面下で話題になってたので観てみたけどあんまり「感想言うぞー!」って感じの映画じゃなかった。
とことん簡素な田舎のモダンホラーという印象。最終的
>>続きを読む

マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ウェアウルフ・バイ・ナイト(2022年製作の映画)

2.8

『プロモーションフィルム』

クラシックホラーとして楽しめば良いのか?
何がしたいのかイマイチよく分からず。
単純にルール説明が弱い上に簡単に基礎設定を破ってしまうので気持ちが乗る前に物語が展開してい
>>続きを読む

劇場上映 ゴーゴー 日本アニメ(ーター)見本市(2016年製作の映画)

4.1

『インモラル』

プラットフォームがとことんマニア向けにこだわって作って良い分、妥協ゼロの表現、イマジネーションの飛躍を観れて楽しかった。

「Sex And Violence With Mach S
>>続きを読む

巨神兵東京に現わる(2012年製作の映画)

3.9

ナウシカの前日譚、と括ってしまっていいのか分からないけどとにかく庵野さんらしい有機的で退廃的な空気が漂っていてよろしい。
息が詰まる。

ELEVATED(1996年製作の映画)

3.8

箱型の限定空間を上下に重心移動させる発想ひとつで、20分間も間隙なく展開を繰り広げてるのがすごいです。

ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)

4.1

『愛あるレイプ』

未完の完。
ホドロフスキーの想い描いたポールと同じように、その身が滅ぼされることで遍在する概念となる。
革命的価値観に我々は直ぐには追いつけないが、先の未来の中でその価値観の欠片を
>>続きを読む

バッドガイズ(2022年製作の映画)

3.3

『カタルシスとは…』

筋書きは信じられないぐらい単純で普段察しの悪い私でも直ぐにツイストが読めてしまったのだけれど、あえてそうしているのだろう。

悪役の挙動・台詞、主役の行動内容、人物造形の全てが
>>続きを読む

劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥(くら)き夕闇のスケルツォ(2022年製作の映画)

2.7

『プログラムピクチャー』

前作よりは日常描写がほぼなくなり、筋書きが単純で、かつ物語が比較的前に進んでいたので見やすかった。
「プログレッシブ」としては偉い。

相変わらずアクション以外のシーンは観
>>続きを読む

四畳半タイムマシンブルース(2022年製作の映画)

3.9

『晩夏の時間旅行』

ディズニープラスの方で本編+追加シーンを観れるので是非に。

入り組んだプロットに湯浅正明さんのドラッギーさが加わるといよいよ頓珍漢な作品へと変貌するであろうため夏目監督の控えめ
>>続きを読む

夏へのトンネル、さよならの出口(2022年製作の映画)

3.2

『トンネルを抜けた先は、』

ポスト・エヴァンゲリオンで有象無象に作られたような自己憐憫青春逃避劇だが、思っていたより良かった。
①台詞の少なさ
②物語の小ささ
③情景描写の巧さ
という3点がかなり機
>>続きを読む

地下室のヘンな穴(2022年製作の映画)

3.8

『電子ペニス!』

愚行記録御伽話として非常に良かった。
一応SFっぽいプロットとして、「穴の下に降りると時間が経って若返る」というコンセプトがあるが、穴の仕組みを解明したりするよりは「使用→効果」と
>>続きを読む

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

4.1

『アツイ』

パスタ食べるシーンと寝てるシーンとセックスするシーンが沢山ある。三代欲求全部乗せ。

何日も跨いで飲む食う寝る諸々をするキャラクター達とは違い、3時間延々と見せられる観客としては段々ゲン
>>続きを読む

ブロンソン(2008年製作の映画)

4.4

『その男、凶暴につき』

めっちゃ素晴らしいです。
ほとんど完璧な映画!
レフン監督とは「ネオン・デーモン」を観てしばらく疎遠にしていたのだけれどようやくヨリを戻せた。嬉しい。
取り敢えずトム・ハーデ
>>続きを読む

最強殺し屋伝説国岡 完全版(2021年製作の映画)

3.4

「俺に付いててよかったでしょ」

"密着!?殺し屋ドキュメンタリー"と言うコンセプトはそもそも大発明。「現代日本に殺しを仕事にする人がいたら?」というお題に最大限応える大喜利はやはり上手いし、現代人の
>>続きを読む

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.6

ネット民のノリを持ち込むあたりに大衆性が削がれてしまう点はある気がするが、これはこれかあと言う感じ。

「ジョジョの台詞振ってくるのウザい」「千鳥のネタ振るのつまらん」「"人が一番怖い"とか言うやつ嫌
>>続きを読む

ある用務員(2020年製作の映画)

3.9

前半の任侠劇と後半の逃亡劇、統一感はあるのに全く別の映画みたい。
プロットの断捨離と段落分解の妙

本間さんは阪元裕吾作品のベストキャラクター。昭和の音割れする劇演技よりも令和の事務的演技の方が今の世
>>続きを読む

アンラッキー・セックス またはイカれたポルノ(2021年製作の映画)

3.4

諦観した皮肉と悪意がたっぷり。
思想はあるようだけど掴み所がない。
何から何まではぐらかされているような印象はツイッターに似ている。

自己検閲に対して「表現の不自由」的に皮肉る心意気は買うけれどワン
>>続きを読む

MEMORIES(1995年製作の映画)

4.1

一本目が今敏さん特有の映像の飛躍満載で素晴らしかった。
回想と共に感情がシフトする。序破急の段落分解が秀逸すぎる。

二本目は素直にお間抜け愚行記録として楽しめればいいと思う。
能天気な男を迎え撃つ世
>>続きを読む

龍の歯医者 特別版(2017年製作の映画)

3.5

からっきし意味がわからなかったので見直して加筆していきます。

一応林原さんのキャラクターは「フリクリ」でいうところのハルコになるのか?得られない煌めきを追い続ける。
榎戸先生の脚本、今回も「生」が前
>>続きを読む

リズと青い鳥(2018年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

「リズと青い鳥」の立場について多分起こるだろうな〜とぼんやり思っていた視点の逆転がきっちり起こって「やっぱり!」となった。
思えば冒頭に希美の後ろをついていくみぞれは非常に動物的な動き。

間と余韻で
>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.7

『シュール・ジャパン』

いかにもガイリッチー的な不条理コメディードミノ倒し群像劇として良かった。
ファーストクラス級の親切が過ぎる交通整理で126分の尺も併せて大衆映画としては非常に優しい。折角R1
>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.2

3秒だけ「アキラ」

以下追伸:

脚本は少々いただけない点が目立つ。(物語全体として俯瞰して観ろということではあるかもしれないが)ジュープと主人公たちの物語が明らかに乖離しているし、終盤での動機も「
>>続きを読む

プレデター:ザ・プレイ(2022年製作の映画)

3.3

『爽やか系』

良かった〜!

オリジナルより更に明確に「狩人」と「獲物」のモチーフが剥き出しになっているので、自然ドキュメンタリー的で広大な風景画にも納得できる。画一枚一枚の広さが狩人の「環境に合わ
>>続きを読む

プレデター(1987年製作の映画)

4.3

『脳みそは筋肉という命題は真だ。』

アクションホラーとして立派に成立している。
高い森に囲まれた閉塞感×暗器多めの不意打ちのダブルコンボで飽きさせない展開の連打。

知的な対策も多く採られるので筋肉
>>続きを読む

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

3.8

『まえうしろとうしろまえ』

リー・ワネルとジェームズ・ワン、死霊館コンビの映画は基本的にどれも苦手科目なのだが、その中では一番まとまっていて良かった気がする。
それでも未だ苦手科目だけど…

広々と
>>続きを読む

モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

3.8

『白旗掲げて駆け抜けろ』

素晴らしい。
①朝鮮と韓国の国家関係や国際情勢を背景に据え
②国民性や文化間の隔たりにより形成される人格や判断への批評性を兼ね備えつつ
③しかしカーチェイスや格闘戦、逃亡劇
>>続きを読む