乙郎さんさんの映画レビュー・感想・評価 - 68ページ目

マドモアゼル(1966年製作の映画)

4.0

前半は少々退屈だったが次第にひきこまれ後半は一気に観た。まず、ジャケットの画像のインパクトが抜群で、シャイニングやサイコの名場面に匹敵するほどだと思う。観てみるとジャンヌ・モローはトウが立っていてそれ>>続きを読む

バウンス ko GALS(1997年製作の映画)

4.0

90年代中盤ごろの空気がパッケージングされた映画。といっても、コギャルも東京もかなり誇張して描かれているのだけれども。ただ、ぼくはこの映画がとても好きだ。序盤の、全く新たな思考回路を持った新人類として>>続きを読む

ヴァンパイア(2011年製作の映画)

1.5

正直に言えば、感想が生まれなかった。一回見ただけじゃわからない部分があるからかもしれないけれど、ちょっと期待しすぎたかな。これなら岩井俊二が撮らなくてもいいと思った。部屋の中に風船があるところや血液を>>続きを読む

サウダーヂ(2011年製作の映画)

4.0

監督さんおよび脚本家さんのティーチイン付きで鑑賞。物語が始まらないがゆえのひりひりしたリアル感。映画的な物語が始まってくれたら救いになっただろうけど、それがないために、閉塞感が一層感じられる。正直に言>>続きを読む

さらば愛しき大地(1982年製作の映画)

4.5

『サウダーヂ』関連作ということで鑑賞。確かに、いくつかのキーワードが重なる。田舎の鬱屈、薬物など。こちらはストーリーの流れが一本なので見やすいが。思ったのは、主人公が堕落するのに理由がないということ。>>続きを読む

シャ乱Qの演歌の花道(1997年製作の映画)

4.0

騙されたと思ってみてほしい傑作。滝田洋二郎監督なので演出は安定しているし、プログラムピクチャーとしてのツボを完全に押さえている。特につんくのキャラクターが、見方によっては最低なのに憎めなくてよい。あと>>続きを読む

avec mon mari アベック モン マリ(1999年製作の映画)

4.0

夫婦の微妙な関係を描いた作品。ある人物の美点が時には欠点に、またその逆にもなりうること。人物同士の優勢/劣勢は簡単にひっくり返ってしまうことを描いている。ので、ポップな外観に比べ、観客にとって容易に消>>続きを読む

先生を流産させる会(2011年製作の映画)

3.0

第一の感想が、絶対に教師にはなりたくない、だった。ミズキを演じる女の子の存在感が見事で、画面に登場するだけで禍々しさが充満する。内容としても、想像力の欠如が生む事件を淡々と描いていて底冷えがする思いだ>>続きを読む

鬼火(1996年製作の映画)

4.0

とてもロマンチックなヤクザ映画だった。原田芳雄演じる刑務所帰りのヤクザの、純粋でユーモアがあって、同時に粗暴なところがチャーミングだった。片岡礼子も好演。また、北村一輝もデビュー作からヤバい空気出して>>続きを読む

僕等がいた 前篇(2011年製作の映画)

1.0

原作既読。ところどころきらりと光る演出はあったが、全体的には普通のラブストーリーといった印象。中盤のくっついたり離れたりが変わり映えしなくてだれた。学園映画は難しい。

僕等がいた 後篇(2011年製作の映画)

2.0

前編に比べると楽しく見ることができた。つまりは、過去の呪縛から解き放たれるまでのお話であり、そのテーマ自体は非常に興味を引くところであるので。あと、後編の前半辺りは演出も決まっていたと思う。ただ、本来>>続きを読む

桜蘭高校ホスト部(2012年製作の映画)

1.0

原作及びアニメ版ファンとして。序盤は楽しくなりそうだった。役者さんの演技が本当にマンガ的なんだけれども、笑えたし。おそらく、アニメ版最終回がひな型になっているんじゃないかと思うけれども、ちょっと脚本に>>続きを読む

アフロ田中(2012年製作の映画)

1.0

悪くない。原作未読だが、おそらくだいぶマイルドになっているのだろう。それでも、確かにテンポは悪いんだけど、その分行動にやきもきさせられるので映画に参加している気分になった。あと、結婚式のシーンから後は>>続きを読む

麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜(2011年製作の映画)

1.0

序盤はかなり面白かった。やはり阿部ちゃんの存在だけで映画としての土台があるように思える。ただ、終盤に謎が解き明かされていくにつれて、なぜだか興味を失ってしまった。うーん・・・。

おとうと(1960年製作の映画)

4.0

個人的な経験が映し出されるようで、興味深かった。あっけないラストがびっくりしたが、これがなんとも言えない余韻を呼んでいる。あとは、岸恵子の記の強い女性役がはまっていて、これもよかった。

東京オリンピック(1965年製作の映画)

4.0

スポーツにあまり興味のない人間が楽しめるのか不安だったが、杞憂に終わった。突如かかるスローモーションに選手の心理状態が現れているようで、編集技術に惹かれ、興味深かった。あと、例えば完全に勝負を降りて何>>続きを読む

細雪 ささめゆき(1983年製作の映画)

4.5

豪華絢爛な着物や日本の美しい風景。これはまさに失われた日本の姿。でも、かかる音楽は完全に80年代。ちょっとバブルを感じる映画。ラストが原作と違うように思えた。この映画の基本構造は失われるものと変わりゆ>>続きを読む

RIVER(2011年製作の映画)

1.0

ちょっとつらい。大林監督は東日本大震災を受けて表現の使命感を感じたにも関わらず被災地へ向かわないことは表現者としての「正気」だと述べた。園子温監督は被災地で撮影を行ったが、そこには明らかな緊張感が感じ>>続きを読む

ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)

4.5

「王の孤独」「歴史の反復」「カウンターカルチャーの敗北」そういった言葉で形容することは可能だろう。けれども、観終わった後の感覚はそんなクリシェでは形容できない、いや、したくない。それくらい、言葉になら>>続きを読む

生きてるものはいないのか(2011年製作の映画)

4.0

個人的に好みだなー。笑いを誘うセリフ回しに、唐突に挟み込まれる「死」。一番最初に起こる異変がある人物に起こることで、通常ならこっちの方向に進むっていうのが絶たれる。それでもなおお話は続く。ひたすら不条>>続きを読む

トガニ 幼き瞳の告発(2011年製作の映画)

4.0

実際にあった児童虐待の事件をもとにした映画。非常に世間に与えた影響も大きかったらしい。はたして同じ状況におかれた時、ぼくはこんな風に行動できるだろうか。与することはないにしても、無視したり逃げたりする>>続きを読む

ヤング≒アダルト(2011年製作の映画)

3.0

2012.3.9
映画として駄目だからこの評価なのではない。ただ、『マイレージ・マイライフ』にはかすかにあった希望もなくなってしまったような気がした。ここまで来るとちょっと笑えないと思う。

2012
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黄金を抱いて翔べ(2012年製作の映画)

3.6

やばいのを観た。エンターテイメントの魔力に溢れている。取りつかれそうな勢い。それこそ『太陽を盗んだ男』の頃にあった日本的大型エンターテイメントの系譜が、ようやく復活したように思う。また、ぼくは映画の中>>続きを読む

紀子の食卓(2005年製作の映画)

3.0

園子温監督作。のちの映画にもつながる要素があって面白かった。だが、まだ試行錯誤の時期という印象。一般的な映画なら欠点となる部分も多いし、特にお父さん絡みのエピソードはいくらなんでももっとうまく構成でき>>続きを読む

エクスペンダブルズ2(2012年製作の映画)

3.0

好みの作品ではないのだけれども、それでもアクションを見せられると問答無用で上がる俺がいる。特にJCVDのアクションはやはりスクリーン映えする。あと、オープニングでタイトルが出るところの中学生感はたまら>>続きを読む

最強のふたり(2011年製作の映画)

4.0

面白かったなぁ。いくらでもお涙頂戴にできる題材なんだけど、不謹慎とも言えるくらいのジョークで包んでいたのが好印象だった。思うに、この行き過ぎとも言えるジョークは照れ隠しなのだ。だからラストの彼の笑顔に>>続きを読む

屋根裏部屋のマリアたち(2010年製作の映画)

3.0

フランス映画を観るときに知っておいたほうがいいこと:フランス人はいっつも恋愛のことばっかり考えている! この映画、確かにハリウッド映画の文法からは明らかに外れたことばっかりやっているんだけど、それもメ>>続きを読む

裸のランチ(1991年製作の映画)

3.0

この作品を理解できたわけではない。おそらく、語り手は信頼できない。本来主軸に置く部分が不安定で迷子になっても仕方ない作品。けれども、その迷子になっている状態も楽しめるのはなぜか?たぶんだけど、このチュ>>続きを読む

トータル・リコール(1990年製作の映画)

3.5

自分にとって80年代頃の、テレビ放映の多い作品はひとつの基準みたいなものなんですね。改めて観ると本当に、エンターテイメント映画にこれ以上の要素が必要かってくらい詰め込まれていて楽しい。特殊メイクもそう>>続きを読む

ロンゲスト・ヤード(1974年製作の映画)

4.5

あえて欠点から。終盤の歓声が音量でかすぎてスピーカーの音が割れていた!ブルーレイで見返したくなった。しかしながらそれは、ラストの試合の高揚感が規格外だったことを表しているのかもしれない。試合に入ってか>>続きを読む

東京プレイボーイクラブ(2011年製作の映画)

4.0

あらはあるけれどチャーミングな作品。この映画は定型的な登場人物が袋小路に迷い込むというのが主なプロットなのだけれども、観ていて「なんでこんな行動するの!」と思っていらいらすること請け合い。ただ、この映>>続きを読む

アルゴ(2012年製作の映画)

4.0

70年代の映画を感じさせる骨太さに、確かな腕を感じるサスペンス。そして『電人ザボーガー』にも通じるエンドロール(本当にそっくり!)。ぼくはこの映画に、人質救出作戦というシリアスな場に娯楽を持ち込み、そ>>続きを読む

悪の教典(2012年製作の映画)

4.0

まず伊藤英明がはまり役。彼の演技は残念ながら自然体とはほど遠いのだが、そこがハスミンの常に演技しているようなところに一致した。あと、学園祭の準備中という現実から浮いたところで広げられる殺伐には本当に参>>続きを読む

愛と誠(2012年製作の映画)

4.0

すごいなあ。日本の劇画史に残る傑作『愛と誠』を映画化する際に『ウエストサイド物語』を三池車掌の進行で経由したら、まさか『愛のむきだし』に到着なるとは・・・。しかも、プロットとしては『僕らがいた』ともそ>>続きを読む

戦火の馬(2011年製作の映画)

4.0

演出は本当にスムースで気持ちいい。ただ、そのひっかかりのなさが眠たくなったりするけれど。ジョーイが象徴するものは「希望」。戦場という人が正気を保てなくなるような場面でも、それに触れたら否応なしに行動を>>続きを読む

マネーボール(2011年製作の映画)

3.5

原作を読んだのち再鑑賞。二度目だと主人公のGMビーンが理論派でありつつも実は孤独を抱えた人間だということを知っているから、誰もいない球場で携帯ラジオを聴くシーンで泣けて仕方なかった。この映画は野球にマ>>続きを読む