乙郎さんさんの映画レビュー・感想・評価 - 70ページ目

琉球バトルロワイアル(2013年製作の映画)

2.5

 これよりクオリティが勝る映画はいっぱいある。ただ、これは原石みたいな作品なんです。CGが幅を利かせるなか、いかに肉体を用いて映画的快楽を出すか。低予算だからこそその試みが光る。日本のアクションと言え>>続きを読む

愛さえあれば(2012年製作の映画)

3.5

 スサンネ・ビアはこれまでシリアスな作品を中心にとってきたが、今回はコメディ風味。とはいえ、主人公たちの家族が明らかにリアリティのある嫌な奴で、このあたりは作家性が出ているかも。主人公の夫が娘の結婚式>>続きを読む

モンスターズ・ユニバーシティ(2013年製作の映画)

3.5

 よくできているとは思う。ただ、実は爽快感があるつくりにはなっていない。とらえようによってはいくら努力しても叶わないことはあるというメッセージにも受け止められかねない。ただ、バディ誕生までを描く映画と>>続きを読む

ワイルド・スピード EURO MISSION(2013年製作の映画)

3.0

前作が好きだったし、主演俳優の一人が亡くなってしまったこともあって感傷的な印象を受ける。相変わらず度を越したアクションをやっているとは思っているけど、今回ハチャメチャやるのはドム達じゃないので、そこが>>続きを読む

アルマジロ アフガン戦争最前線基地(2010年製作の映画)

3.0

 デンマークの兵士を描いたドキュメンタリー映画。決して爽快を与えてくれるものではないが、軍隊内という閉じた空間でのみ通用する倫理が作られていく過程を画面に映し出しており、それは確かに普遍性を持っている>>続きを読む

リトル・ミス・サンシャイン(2006年製作の映画)

4.5

個人的課題にそっと回答を寄せてくれたように思えた映画。要は、この映画の冒頭で父親が勝ち組/負け組にこだわっている、その価値観を転換させるまでの話で、『桐島、部活やめるってよ』にも近いテーマだ。そして、>>続きを読む

君に届け(2010年製作の映画)

4.5

やはりよくできていると思う。多くの少女漫画がクリスマスをメインイベントに持ってくるところ、これは初詣をメインに持ってきている、その感じがいい!この感じ、絶対原作ファンなら分かってくれると思うんですよ。>>続きを読む

天使のはらわた 赤い教室(1979年製作の映画)

4.0

天使のはらわたシリーズの初期作。ここですでに石井隆特有のネオンや、名美という女の業などがよく出ている。正直言えば、中盤のセックスシーンが若干たるい気がする。しかしながら、打ちのめされるような感触はやは>>続きを読む

赫い髪の女(1979年製作の映画)

5.0

全然まとまらないのだけれども、とにかくすごいのを見たという印象。何というか、ねちっこくて、でもそれが肉愛なんだよと打ちつけてくる。こういった経験に乏しい私にはよく理解できない世界ではあるが、それでも強>>続きを読む

幸せへのキセキ(2011年製作の映画)

3.5

「20秒の勇気を持とう。そうすればきっとすばらしいことが起きる」は去年の映画の中で最高の名セリフ。お話としては目新しいことは特に起きないけれど、前述のセリフをはじめとするいくつかのセリフの使い方が本当>>続きを読む

マダガスカル3(2012年製作の映画)

4.5

最初はノレなかったが後半が最高!泣きました。『長ぐつをはいたネコ』の評価も併せて上がるくらいに。当初はキャラクターたちになじみがなかったのがあるけれども、世界観に入りこめなかった。だが、後半すべてのパ>>続きを読む

情婦(1957年製作の映画)

4.5

まだ『情婦』を観ていない人がいたら早く見るように勧めたい。どんでん返しがあるとは聞いていた。本来ならこれだけで相当ハードルは上がるんだけど、そのハードルさえも倍にして超えてきた。あと、最後まで見て、ワ>>続きを読む

高地戦(2011年製作の映画)

2.0

朝鮮戦争最後の12時間を、プライベート・ライアン以降の戦争表現で描く。壮絶で面白かった。ただ、本来なら一番盛り上がるはずの12時間が、それまでに盛り上げ過ぎてしまって若干こちら側が疲れていたのが残念。

わが母の記(2011年製作の映画)

3.0

原田監督のエキセントリックな映像センスは控えめで、原作を丁寧に映像化している印象。ただ、監督本人としての熱意はあまり感じなかった。だが、この映画には特筆すべきポイントがいくつもある。やはり樹木希林と役>>続きを読む

LOOPER/ルーパー(2012年製作の映画)

3.0

町山智浩の昨年ベストということだったが、少々期待外れでした。おそらくは、過去のSF作品の意匠が多く含まれているのだろうが、まだ浅学の自分にはその全てが受け止められなかったのかも。ただ、どうしても看破で>>続きを読む

贖罪(2012年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

相変わらず黒沢清の肌に来る演出は冴えわたっているし、役者陣は好演しているものの、おそらく原作から偶然に頼りすぎている感があって、最初は乗り切れなかった。それに、最終話に行く時に「これじゃ他の3人のエピ>>続きを読む

ニーチェの馬(2011年製作の映画)

4.5

純映画を観た。初めのシーンで馬を舐めるように映すが、ここが本当に観ていて気持ちいい。ストーリーの起伏は乏しく、正直、退屈する個所もあったが、確かにすべての瞬間が映画的瞬きに満ちていた。画に込められた情>>続きを読む

ストライクウィッチーズ 劇場版(2012年製作の映画)

2.0

TVシリーズは観ていたけれど、あまり評価してはいなかったわけね。ただ、今回観て気付いたことがある。まず、ウィッチの面々は実は類型的でキャラ立ちには乏しい。ので、ストライクウィッチーズというお話は関係性>>続きを読む

サンセット大通り(1950年製作の映画)

4.0

ワイルダーに関して健全な作家という認識があったため、少し面喰った。リンチが『マルホランドドライブ』を作るにあたり参考にしたというだけあって、ノーマの狂気は笑いにも恐怖にも転じる。かなり残酷な撮り方だと>>続きを読む

希望の国(2012年製作の映画)

3.0

またしても簡単には飲む下せないものが投下された。前半は園監督にしては比較的テーマも明瞭だし、一般受けするような撮り方をしていると感じた。だが、どんどん園監督の作家性が出てくる。それは確かにノイズである>>続きを読む

十三人の刺客(2010年製作の映画)

3.5

一回目観た時は「確かに面白いけど後に何も残らない」感触だったのだが、改めて観ると、それがいかに難しいことが思い知らされた。とにかく、時代劇口調により時代劇グルーヴを上げていく前半、それがカタルシスに転>>続きを読む

BRICK ブリック/消された暗号 BRICK ブリック(2005年製作の映画)

3.0

後半失速した感があったものの中々楽しめた。おそらく、ライアン・ジョンソンの資質としてはこれくらいの規模の話が似合っているのでは?学園ものとノワールという一見食い合わせの悪そうな2者が思ったよりうまく溶>>続きを読む

ゲキ×シネ「髑髏城の七人」(2012年製作の映画)

4.5

3時間があっという間で、俺は本当は映画より演劇のほうが好きなんじゃないかと思いかけた。演劇の魅力というのは役者さんが身体能力を限界まで駆使するところで、主演の3者はもちろん、小池栄子や仲里依沙も好演。>>続きを読む

VANISHING POINT(2013年製作の映画)

2.5

劇場にて。13年前のラストツアーに参戦した自分としては見に行くしかなかった。しかし、そこにあったのは、かつて憧れたヒーロー達も苦悩していたという姿だった。本当はこんなブランキー観たくなかったかも。解散>>続きを読む

テッド(2012年製作の映画)

3.0

面白かったよ。ギャグは若干アメリカ向けではありつつも笑えたし、テッドが主人公ジョンの幼稚さを象徴しているところは個人的にも耳が痛いところがありつつ、さらに彼女がミラ・クニスということもあって「この娘は>>続きを読む

さよならドビュッシー(2013年製作の映画)

2.0

低予算で、かつ映像化には不向きなミステリー映画ということで辛く評点するのも忍びないのだけれども、それでも画面がチープで映画的興奮する箇所が少ないのが気にかかった。あ、でも本作の肝となるトリックには全然>>続きを読む

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日(2012年製作の映画)

2.0

ネタバレは目にしないで見に行ってほしい。最初は正直リアリズムの点では劣ると感じた。主人公が髭伸びないし、死体の行方も気になった。けれども、これは象徴性のお話だ。真実を隠す象徴性がまず、ある。さらにそれ>>続きを読む

DOCUMENTARY of AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN 少女たちは涙の後に何を見る?(2013年製作の映画)

2.0

前作のような未体験の衝撃はなかった。これは受け手の側が慣れすぎたからなのかもしれない。ただ、前作の西武ドーム舞台裏に見られたようなフィジカルな試練よりも、メンタル寄りになっている印象。思ったのが、AK>>続きを読む

エスター(2009年製作の映画)

4.0

かなりよかったなあ。ネタバレはできるだけ避けて観てほしい映画。とはいえ、ある重大な部分のネタバレを事前に食らっていた自分でも楽しめた。やはりエンターテイメントとしての見せ方がうまい。それと、優れたホラ>>続きを読む

DISTANCE/ディスタンス(2001年製作の映画)

2.0

是枝監督の映画は好みなのだけれども、これはちょっと作家性のほうが先に立ちすぎて、劇映画としての訴求力に乏しい印象を受けた。もちろん、一筋縄ではいかない作品だということもわかるし、解釈の余地が残されてい>>続きを読む

恋のロンドン狂騒曲(2010年製作の映画)

4.0

意地悪だなー。観ていて幾度となく、自分の中の倫理観をゆるやかに超えていくシーンが出てきて、それこそ映画の中の俳優と同じような表情をしていた。たださ、恋愛にしろそれをはじめとする幻想にしろ、行き過ぎた様>>続きを読む

エンド・オブ・ザ・ワールド(2012年製作の映画)

4.0

例えば、世界の終わりを迎えるとして、完全に捨て鉢な態度をとるか、あるいは破滅を乗り越えるべくブルース・ウィリス的な態度をとるか。それが今までの映画で描かれてきた道だったと思う。ただ、この映画においては>>続きを読む

キャリー(1976年製作の映画)

4.5

キャリーで描かれる惨劇は今の技術ならもっと容赦ないものが描けるだろう。ただ、この時代の技術でできる最高のことをやろうとしていることが、今の時代にも強く響いた。そのはみだそうという意気こそが迫力を生んで>>続きを読む

ブレーキ・ダウン(1997年製作の映画)

4.0

ほほー『激突!』のリメイクか、と思いきやまさかの村落ホラー。全編を通してハラハラしっぱなしで、おそらくはアメリカの暗部を切り取っているのではないかと感じた。特にオチで暗示されるある事実には驚愕。『激突>>続きを読む