蜘蛛マンさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

蜘蛛マン

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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.3

素晴らしかったです。
村上春樹の独特の癖をほどほどに緩和しつつ、その深々とした物語力みたいな部分は存分に表現されている。
むしろ回りくどい原作よりもわかりやすく、解釈もしやすく、心に広々と沁み渡る作品
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アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)

4.1

クリント・イーストウッドらしい名作。
作品上では多くを語らないのに、すごく多くのことを語っている映画だと思う。

テキサス生まれのカウボーイ。そんな分かりやすい属性を持つクリス・カイルのシンプルすぎる
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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

4.2

これはむちゃくちゃ面白かった。

自分は作家・三島由紀夫の小説が(特に文章が)大好きだけど、その作品群に表現されているとおりの天才で明晰な三島がそこにいた。
ただ、語り口や肉声は、思っていたよりもずっ
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アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)

3.9

終始続く微エロ感と、次に何が起こるかわからないサスペンス感と、二大スターの画の力と、やたらと耳に残るピアノBGMが印象的で、とても面白く観れた。

語られていること自体は極めてノーマルな性欲の話でしか
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欲望の翼(1990年製作の映画)

3.9

ものすごい雰囲気映画なんだけど、ここまで雰囲気で押し切られると、ぐうの音も出ません。
あらゆる要素が抒情的。なんかよく分かんないけど美しい。そしてレスリー・チャンの圧倒的なカッコよさよ・・。
名作を観
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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

4.2

あらためて思う。
ヤクザ映画って最高。

暴対法以降のヤクザ界の苦境を描いた近年の作品群も良いけど、元気なヤクザの映画もやはり良い。
特に鈴木亮平演じる上林の元気さと言ったらもう。現実世界では生涯お目
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ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

4.1

ひっさしぶりに観るmarvel映画はやっぱり安定の面白さでした。
アベンジャーズのなかでは、ブラック・ウィドウの戦闘シーンはどうしても地味になりがちだと思うけど、本作では、スパイ映画風のアクション&ス
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CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

3.8

ふだんあまりに常識的な世界に生きてるもので、こういう地獄絵図的なものにはすごく惹かれます。自分もその場にいるようなトリップ感というか酩酊感があった。なんならもう一押し二押しあってもよかったくらい。
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ハード・コア(2018年製作の映画)

2.4

うーん・・これっぽっちも面白くなかったなあ・・
おそらく笑いを取りにいっているのであろう場面がことごとくスベっているというか、シュールな笑いが逆に狙いすぎで中途半端で、なかなか辛いものがあった。
社会
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バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

3.1

どこも狂ってないうえに、どこが社会風刺なのかもよく分からない、まあまあ謎の作品。
パッと見は個性的な登場人物たちも、結局たいして個性を発揮せずに終わるし、期待のバイオレンスもさほどのもんでもない。
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プラットフォーム(2019年製作の映画)

4.0

好きですね。
かなり好きです。
単純にシチュエーションスリラーとして良い出来だし、人間の本質的な部分に手が届いているとも思う。そして社会というものはそんな人間の積み重ねだってことがよく分かる。
短いな
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デンジャー・ゾーン(2021年製作の映画)

2.7

これ、ダメなやつ。
人の命を屁とも思わないドローン操縦士が紛争地帯に送り込まれて戦場のリアリティを知る、みたいな話といえば話なんだけど、その戦場の皆様の方が人の命を屁とも思っておらず、殺戮の限りを尽く
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悪魔はいつもそこに(2020年製作の映画)

3.9

なかなか本格的なノワール?ゴシック?映画で、かなり良かった。
善とか悪とか神とか悪魔とか、そんな言葉上のお遊びを全部上塗りしていく、人間の業の深さ、欲、盲信、暴力。巡る因果と連鎖して下される死。すべて
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ティングラー/背すじに潜む恐怖(1959年製作の映画)

2.4

変なロブスターが背中から出てくる。
60年前の人々はこんなチープ映画を本当に怖がったりしたのだろうか。
現実世界の恐怖は昔も今も変わってないのに、虚構世界の恐怖は昔だけやたらとハードルが低いのだとした
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存在のない子供たち(2018年製作の映画)

3.9

世界にあまた存在する極貧家庭の話。

主人公ゼインをはじめ、登場する子供たちはみなとても「かわいそう」で、観ていてとても辛くなる。
こういうジャーナリズム的な精神をベースに作られる映画は、事実報道のニ
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デイアンドナイト(2019年製作の映画)

3.6

主人公がボソボソ喋るのが良い。なんか雰囲気が落ち着く。映像も透明感があって好きだ。
ただ、テーマである肝心の「善と悪」については、あまりに今更だし、あまりに青臭い気がしてしまった。

善も悪も単なる言
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ピエロがお前を嘲笑う(2014年製作の映画)

3.9

これ、かなり好み。
なんというか、暗く澱んだものが底にあるのに、上っ面はスタイリッシュでノリとテンポが良い。お国柄に詳しいわけじゃないけど、ドイツ映画と聞いてなんかすごく納得してしまった。

ストーリ
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ピアッシング(2018年製作の映画)

3.8

なに、この変態映画。
とても面白いじゃないか。
変な音楽、変な色使い、奇妙な二人、無機質な建物の外観、対照的な肉体の痛み。突き刺すってモチーフも、いかにも村上龍って感じで、ゾッとしつつ好きだ。

オキシジェン(2021年製作の映画)

3.3

この手の空間なり五感なりを限定されたシチュエーション・スリラーで大事なのは、飽きさせない工夫と、主人公の賢さだと思う。

本作は、飽きさせないよう頑張って工夫してる感は伝わってくるものの、記憶の断片以
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ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)

3.9

骨太なウエスタンムービー。
演じる4人の男たちの、なんとも渋いカッコ良さよ。

影裏(2020年製作の映画)

3.5

最近邦画を観るたびにそこに綾野剛がいる気がする・・。
この作品、なにげに原作が大好きなんだけど、再現性は高いものの、やっぱり映画は小説ほどじゃないなあというのが素直な感想。

圧倒的に文章が豊かな原作
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ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-(2020年製作の映画)

4.1

じんわり沁みる良い映画。
ヒルビリーとはアパラチア山脈周辺に住む白人貧困層の蔑称。そんな出自を抱えつつ、今まさに法曹エリートの世界に足を踏み入れようとしている主人公の回想として物語は進む。

中身のバ
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ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ(2021年製作の映画)

3.6

隣家の殺人は真実か、自分の妄想か。
精神を病んだ女性の裏窓的サスペンス。

キャストがなかなかに豪華で、ゲイリー・オールドマンっているだけでなんか雰囲気あるよなあとか、ジュリアン・ムーア歳取ったなあと
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アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

3.8

作画のセンスと独特の世界観と謎の音楽に魅せられる雰囲気映画。
アニメ詳しくないけど、80年代製作でこのクオリティとなると、拝みたくなる気持ちも分かる気がする。

ただストーリーとか設定は、まったくもっ
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インサイド・マン(2006年製作の映画)

3.4

よく練られた犯罪映画。
銀行強盗と警察の頭脳戦はなかなか面白いんだけど、ただ、なんか総じて地味である。
画的な見せ場があんまりないのと、オチがどうにも腑に落ちず、分かりやすいカタルシスを感じられないの
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ホムンクルス(2021年製作の映画)

3.0

大昔に原作を読んだ記憶があるけど、それぞれのホムンクルスの姿は未だに明確に覚えていたから、当時かなり印象に残った作品だったんだろう。
主人公の社会的立ち位置とか、トラウマの視覚化とか、織り込まれたテー
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オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

2.4

いやあ・・。
タコはタコであってタコ以上でもタコ以下でもないでしょ。
海が綺麗。

隔たる世界の2人(2020年製作の映画)

3.9

タイムループを使って終わりの見えない黒人差別を表現するっていう発想が秀逸。
短編映画ということもあり、明確なメッセージが直球で観た人に伝わるのが良い。

小説でもそうだけど、短編は切れ味で勝負だから、
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凪待ち(2019年製作の映画)

3.5

この映画で一番印象に残るのは、やっぱり主人公のギャンブル依存症。
ブレーキをかけるべきところでむしろ加速してしまうその心理は、脳医学的には分かるけど、心象的には全く理解も共感もできない。とはいえ病気の
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

3.8

そもそもエヴァンゲリオン詳しくなく序破Qが記憶の彼方な自分には、何が行われているのかほとんど理解できなかった。
でも作画と世界観だけで十分お釣りがくるレベルだったとは思う。

シンジというか監督の、落
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ザ・ライダー(2017年製作の映画)

3.7

無添加・無着色。
さらに主要キャストは全員本人出演という自然派素材。採れたてのジャガイモみたいな味がする。

事故の後遺症で生活の全てだったロデオを諦めざるを得ない状況に追い込まれたカウボーイ。
夢を
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ペイチェック 消された記憶(2003年製作の映画)

3.0

なにかが、ダサい。
この愛すべきダサさの正体は、きっとジョン・ウーの演出。

原作未読だから分からないけど、ディックの小説はもっと緻密なんじゃないかな。SFのアイディア自体は面白いのに、なんか色々無理
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シカゴ7裁判(2020年製作の映画)

3.9

とにかくなにより判事役の嫌らしい演技が秀逸。傲慢な公権力のダークサイドを一身に体現しており、演じ切ったフランク・ランジェラに自分だったらアカデミー賞をあげたい。(ノミネートされてないけど)

内容的に
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Mank/マンク(2020年製作の映画)

3.4

アカデミー賞ノミネートを記念して。
これを観て面白いと言い切れるような映画偏差値は自分にはないなあ。
ほとんど内輪ネタなのにその内輪の説明が不足しているもんだから、あらゆるシーンを推測や想像で埋めなく
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2人のローマ教皇(2019年製作の映画)

4.1

言うなれば二人のお爺ちゃんの単なる会話劇でしかないのに、とても見応えがあったし、惹きつけられた。
神に祈りを捧げ続けてきた二人の、時に軽く時に重いやり取りが素晴らしいし、ローマ教皇を演じた二人の名演も
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羊飼いと屠殺者(2016年製作の映画)

3.4

死刑囚房の看守が引き起こした殺人事件の裁判。内容は終始、法廷劇。争点は日常的に死刑執行に立ち会っていた看守のメンタル状態。

序盤で当たり前のようにリアルな死刑執行シーンが差し込まれ、かなりの衝撃度。
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