ピロシキ

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマーのピロシキのレビュー・感想・評価

4.0
うる星やつら劇場版2作目がなにやら日本映画史に残る名作であるとの情報をどこかで聞きつけてしまい、試しに観てみたらこれはたしかに凄かった。発想も作画も音楽も何もかもがやばい。「あんまりソワソワしないで」などと歌っておきながらこんなの劇場で流されたらそりゃもう「するっちゅうねん!」ってなもんである。

ただしこれは、昼間のテレビの再放送で大昔にうっすら観て記憶の片隅にすら残っていなかったアニメ版とは、どうやら全く別物だ。これは、高橋留美子が創り上げたうる星やつらの世界を下地にした押井守が、でっけえ亀に皆を乗せて宇宙で大暴れした成れの果てであり、おそらく押井守が一度やってみたかった「夢」そのものである。そんな夢がここまで高次元なアートとして爆誕したという事実には、まことに畏れ入る。

そしてその一作だけを切り取って「すげえなあー」と唸っている自分がいるのもまた事実。だからと言って劇場版を全部観たとしても、この2作目がいちばん いちばん いちばん好ーきよ、となる可能性は十分にある。インセプション、オールユーニードイズキル、そのほか後続の作品たちへ強烈な轍を残した1984年の怪作。楽しい。
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