matsukawaさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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ある女流作家の罪と罰(2018年製作の映画)

5.0

主役二人のキャラクター造形がとても良くて、ずっと見ていたくなる。
ごく普通のレベルの不誠実さと怠惰と傲慢と甘え。
面白キャラに仕立てたくなる誘惑を退け、誇張のない言葉と行動で二人の「普通の」人物を生き
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若おかみは小学生!(2018年製作の映画)

4.5

複数のエピソードを詰め込んで、全体的にはダイジェストみたいになっているにも関わらず、消化不良が全然起きていないのがすごい。
消化不良どころか、一つ一つのシーンの充実感、手触りのリアルさ等が手際良く積み
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海獣の子供(2018年製作の映画)

1.0

原作を全く知らずに見たので本当にびっくりした。(イルカやジュゴンと遊ぶほっこりストーリーだと思ってた)

まさかのニューエイジ思想(なぜ今?)全開です。
宇宙-海-生命みたいな、80年代にさんざん見せ
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ミッドサマー ディレクターズカット版(2019年製作の映画)

2.0

アバンタイトルは思わせぶりでケレン味たっぷりで最高だったけど、面白いのはそこまで。
スウェーデンに行ってからは、平板な話を捻りのない描写で塗り固めたつまらないエピソードが散文的に語られるだけで退屈。
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ハンターキラー 潜航せよ(2018年製作の映画)

5.0

全く無駄がなく不足もない、100点の職人仕事の中に「人を信じる」というシンプルで太い芯が貫かれていて揺るがない。
最高の人間ムービー。

人間ドラマを深めるような方向は一顧だにせず、ひたすら信頼と行動
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あの頃ペニー・レインと 特別編集版(2000年製作の映画)

4.5

奇跡的な偶然が重なっただけなのか、全て計算し尽くされているのか、(多分その中間なのだと思うけど)個々の人物がそれぞれ伸び伸びと勝手に動き回りながら、その動線とか目線とかが映像としてハイレベルに面白い。>>続きを読む

愛しのアイリーン(2018年製作の映画)

3.0

新井英樹に正面からぶつかって吉田恵輔に勝ち目は無いのですが、思い切り正面突破して完敗しちゃっている。
ストーリーが持っている胸糞悪さの質や重さに映像が振り回されている印象。
真面目にきちんと色々見せて
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アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

5.0

「犬殺し」からの露骨な「裏窓」モチーフ、50年代の映画のような音楽の使い方、と来て、トドメにデカデカと「HITCHCOCK」の文字で、もう笑うしかない。
ここまでされても、バカにされてる気分にはならな
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シュガー・ラッシュ:オンライン(2018年製作の映画)

4.5

「広い世界へ踏み出す者」と「狭い世界に留まる者」どちらにも優劣はつけず、見下さず、悪者にせず、とてもフェアな態度で気持ちがいい。
この物語の悪役は「執着」と「依存」。
そしてその悪を打ち破るのはそんな
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サヨナラまでの30分(2020年製作の映画)

5.0

北村匠海の正しい活かし方を心得た映画がやっと現れた。感無量。

鬱屈と無邪気を行き来するこの役は、俳優北村匠海の名刺としてこれ以上ないくらい分かりやすく魅力的。
この後のラインナップも期待できそうだし
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シャザム!(2019年製作の映画)

3.0

疑似家族ものは好きですが、さすがにちょっと能天気すぎるというか、面倒さを回避しすぎでは。
雑にやるなら雑にやるで、豪快にデタラメやって締めるとこ締めれば痛快になり得たのに、繊細そうな素振りで肝心なとこ
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

4.5

他者の脚本をランディモスが演出するという、ある意味野心作。
平板な脚本との食い合わせの悪さが、面白くなっている部分もあり、凡庸でつまらない部分もあり。

オリビア・コールマン、レイチェル・ワイズ、エマ
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

5.0

ここまで分かりやすく全てを説明しなくちゃいけないものかと思いそうになるものの、それ故のコメディという選択なのだし、これは全くアリだと思う。
むしろ「メタファー祭り」に乗っかって楽しんじゃった方が正解。
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ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(2018年製作の映画)

5.0

面白くない瞬間が1秒もない。
ずっと面白い。
敗戦処理するだけの地味な話をハードボイルドに描くってだけで既に最高な上に、ベニチオ・デルトロとジョシュ・ブローリンがパーフェクトにマッチする役を演じている
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焼肉ドラゴン(2018年製作の映画)

4.5

自分が生まれた年から始まるこの物語、「自分もこの町の隣で暮らしていた」ような感覚があって、懐かしいやら気まずいやら、妙な気分になる。
小学生の頃、近所の橋の下にあの町そっくりなバラック街があって、いつ
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アクアマン(2018年製作の映画)

5.0

バカバカしすぎて笑いが止まらない。
シシリアの戦闘なんて爆笑に継ぐ爆笑。「突然の爆発」天丼もめちゃくちゃ笑った。あと2回くらいやって欲しかった。
こんな映画で真面目に演技してるニコール・キッドマンもウ
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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

2.0

とにかく編集がせわしなくて、全編早送りで見てるみたい。
タメがゼロのダイジェストみたいなものなので、熱いシーンでも悲しいシーンでもこっちの情緒は1ミリも動きません。

結末は順当だと思うけど、でも結局
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バトル・オブ・ザ・セクシーズ(2017年製作の映画)

4.5

ストーリー上はメインであるはずの「男性至上主義者vsウーマンリブ」は背景になり、更に大きく広い「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」が立ち上がるラストで、エマ・ストーンとアラン・カミングがほのかに輝いている>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

3.0

現代社会に切り捨てられる弱者の要素を全て備えているかのような、「社会的弱者の見本市」みたいなキャラクターとして設定されているアーサー。
世界中でトランプ的なものが支持される理由を示すキャラクターとして
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ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)

5.0

トム・フォードの映画が生理的に好きすぎることを差し引いても、とんでもなく傑作。
小説の主人公がエドワード(ギレンホール)なのも、「REVENGE」に意味を見出すのも、全てスーザンの解釈であり、完全な一
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モリのいる場所(2018年製作の映画)

3.5

全編スベり倒してるのですが、宇宙を俯瞰するような素晴らしいラストで全部帳消しになってお釣りがきますね。初老に近づきつつある者には特に滲みる絵です。
終わり良ければ全て良し。

リズと青い鳥(2018年製作の映画)

5.0

名前の付けられない感情、言葉では説明しきれない感情を、映像と音で見事に表現しています。台詞よりも映像と音の方が遥かに雄弁という、映画のお手本のような理想的な映画だと思います。

とにかく一つ一つのカッ
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宮本から君へ(2019年製作の映画)

5.0

この顛末、当たり前の感覚からしたら完全にアウト。
レイプシーンがとにかく徹底的に胸糞悪くて、観ている誰もが拓馬に殺意を抱くはずなのに、(ひどい目に遭うとは言え)最終的に笑える結末に回収されてしまうのだ
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エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE(2019年製作の映画)

5.0

待ちに待たれたブレイキング・バッド後日譚でこんなに地味な話を2時間かけてやってしまうところが、このシリーズの贅沢なところで、ファンが待ち望んだのはまさにこういうものだと思います。
意外な展開も劇的なエ
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WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)

5.0

人が出会って交わって、反応し、影響を与え、お互いが自分でも気付かぬうちに、出会う前とは少し違う人間になっている。
突き詰めれば、全ての(まともな)映画はそれを描いてきたし、今まで何億回繰り返されたか分
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マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

2.5

撮影がとにかくスタイリッシュで、ちょっとキメすぎじゃないかと思うくらいに美しい。
リアリティ重視の演技と美しい画面のミックスが心地よく、中盤まで楽しく観ていたのですが、段々とリアリティ追求の演出が鬱陶
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ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)

5.0

凝りまくった映像は全て意識の流れにきっちりシンクロしていて凄い。
ホアキンの演技に見えないハイパー名演と相まって、自分の事のようにするすると身体に入って来てしまう。
そして最後の救済でこちらも救われた
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先に愛した人(2018年製作の映画)

3.5

画面内の色という色が全部美しくて、眼福。

不機嫌そうな息子がとても良い。

アメリカのインディーズ映画によくありそうな構成に、東アジアの曖昧さがブレンドされて、いい湯加減です。

デトロイト(2017年製作の映画)

3.0

この全然盛り上がらない感じ、ビグローの作家性なのかもしれない。
嫌いじゃない。
最後、ラリーの人生に集約させたのはとても良かった。

6年愛(2015年製作の映画)

3.5

なんか凄い。
ラスト10秒で心臓が凍りつく。

惡の華(2019年製作の映画)

4.5

メインキャスト4人の顔がものすごくいい。この4人のこんな眼とこんな表情を引き出せただけで、もう大成功。
思春期映画って、本当に何よりもキャストの魅力が一番大切で、俳優の持っているもののさらに向こう側か
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アド・アストラ(2019年製作の映画)

1.0

月面カーチェイスや猿バトルなどの盛り上げシーンがどれもストーリーに関係ない事にまず驚く。
意味ありげなシーンのほとんどには特に意味もなく、重要そうな脇役は小出しのネタバレだけしてすぐ消える。
ちぐはぐ
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アス(2019年製作の映画)

4.5

プロットは完全にコメディで、演出がホラー8割/コメディ2割のさじ加減で、その妙なバランスによる独特のフワフワ感が、観る者を不安にさせる。
ホラーに振り切ってもコメディに振り切っても、観客にとっては見慣
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

5.0

声に出して「ああ…よかった」と言いそうになるラストシーン。慈愛に満ち満ちた結末に、嬉し涙が止まりません。
なんて優しい映画なのだろう。
タランティーノにありがとうって直接伝えたい。

中学生の時にこの
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希望のかなた(2017年製作の映画)

5.0

相変わらず、どの一瞬を切り取っても見間違えようのないカウリスマキ。安定の面白さ。

乏しい表情、言葉足らずな台詞、単刀直入な行動。カウリスマキ作品のこれらの特徴は「人の本質は、言葉や表情ではなく行動に
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否定と肯定(2016年製作の映画)

4.0

歴史修正主義との戦い方をわかりやすく例示してくれます。

ユダヤ人歴史学者がホロコースト否定論者から名誉毀損で訴えられる。しかも被告側に立証責任がある英国で。

弁護チームの戦略は明快で、相手の信頼性
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