ノクタンさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

ノクタン

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第七の封印(1956年製作の映画)

4.9

オープニングから陰影のクッキリした美しい映像が決まりまくっててカッコいい。何本も見る前に言うのもアレだけど、これぞベルイマンって感じの映像世界。

語り口がコメディな瞬間も多くて緩急が効いてたので、ズ
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夏の夜は三たび微笑む(1955年製作の映画)

4.0

ウディ・アレンみたいに軽妙なラブコメでしかもちゃんと面白くて驚いた。
悲喜こもごもな男女の機微を通して、男性性、女性性、愛・恋と肉欲を皮肉っぽく滑稽に批評する鋭さがグサグサ来るし笑えもする。

人物造
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アラビアのロレンス(1962年製作の映画)

3.7

イギリスの軍人、T.E.ロレンスが率いたアラブ独立闘争を描く歴史スペクタクル。

何と言ってもこの映像美。去年DUNEが公開された時に本作への言及が多く見られた理由がよくわかった。こっちの方がDUNE
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叫びとささやき(1972年製作の映画)

4.8

真っ赤な美しさの中で、生命力と死の匂いとがごちゃ混ぜになった映像世界がまったく未体験の感覚を味わわせてくれて衝撃的すぎた。

4人の女性それぞれが切実に抱えるもののどす黒さが鮮やかに浮き彫りになり、見
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友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

4.3

友だちにノートを返しに行こうとするだけの話にここまでの味わいを出せるのすげえ。

能天気でいられた子どもの頃に戻りたいと思うことはあるけれど、これは戻りたくなかった子ども時代って感じだ。
子どもだから
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.6

仮想世界の壮大っぽい画よりも、現実パートのロングショットの美しさがキレッキレで最高だった。川辺のシーンとか。
むしろ背景の動きが少ないせいか、仮想世界のスケール感があんまり生かしきれてなかった気がする
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シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

3.7

台詞を全部歌うミュージカル初めて見た。
カトリーヌ・ドヌーヴの美貌や、鮮やかでバキッとした色彩感覚などなど目には非常に楽しい映画だった。
一方で話はそこまでかなと思ってたら最後の第3部は良かった。ボブ
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.2

前作の「トップガン」は、倫理的な問題点は置いといてもなお好きな映画とは言えないので、見る前は正直この大絶賛にも半信半疑だったし、実際個人的にはそこまで熱狂するほどではなかったけど、そうなるのも理解でき>>続きを読む

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)

4.4

多くの子どもが感じる「ああなりたい、こうありたい」をすごく極端な形で映像化したような作品だと思う。デルトロの寓話的な世界観が全開。
怖くて神秘的でありながら勇気に満ちた物語にはストレートに道徳に訴えて
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ブレイブハート(1995年製作の映画)

2.2

オスカー獲ってなきゃたぶん一生見なかった。
スローモーションとクロースアップを多用した映像がクドいし間延び感を強めてたように思う。

ドリーム(2016年製作の映画)

3.9

NASAの宇宙開発に、差別と闘いながら大きく貢献した黒人女性たちのお話。

序盤から理系の専門用語が飛び交ってビビったけど、映像が基本的に軽快なトーンなので単純に見易い。
あえてだろうけど、分かりやす
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彼女が好きなものは(2021年製作の映画)

3.9

同性愛者であることを隠して生きる男子高校生のお話。

まず俳優陣の演技がどこを取っても素晴らしかった。
正直この映画の説得力の大部分は神尾楓珠の演技でもってると思う。ゲイとしての自分を隠す苦悩と、若さ
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.4

ウルトラマンはネクサスとマックスとメビウスを子ども時代に見てた記憶がぼんやりある程度。初代は全く見たことないし正直思い入れもそこまでではないよって状態で見た。

シン・ゴジラは戦後と3.11以降、それ
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シン・ゴジラ(2016年製作の映画)

4.6

見たことなかったので「シン・ウルトラマン」の予習がてらに見てみたら、「シン・ウルトラマン」のハードルが上がって不安になるぐらい面白い。

古き良き日本映画の色んな要素を、冷淡に、と同時に熱く、骨太なエ
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ライトハウス(2019年製作の映画)

4.5

相性の悪い2人の男が灯台守として灯台のある孤島へ。そしてギクシャクしたまま嵐がやって来て孤島に2人きり取り残されてしまい...

久しぶりに「すげえもん見た...」ってなった映像美。フレーミングも陰影
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茜色に焼かれる(2021年製作の映画)

3.7

石井監督は「町田くん」と「生きちゃった」だけ見てるけど、割と衝動的に映画作りする人なのかな。たまたま「生きちゃった」からそれが続いただけなのかな。

序盤からフルスロットルで荒削りなまでに数々の理不尽
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映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

2.7

このレビューはネタバレを含みます

映画オタクのジーンくんが敏腕映画Pのポンポさんに抜擢されて初監督映画を作り上げるお話。原作は未読。

軽妙で独特な語り口は見ていて気持ち良かったものの、その気持ち良さと引き換えに失ったものが多すぎるよ
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グラディエーター(2000年製作の映画)

3.4

Netflix配信終了前に滑り込み。
謀略によって権力闘争に敗れた男が、腕っぷしの強さだけで這い上がっていく話。

清々しいまでにマッチョな物語。そんな話に根っから文化系の僕が共感できるはずもないわけ
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ジュラシック・パーク(1993年製作の映画)

4.1

15年ぐらい前、子ども時代にテレビで見てすげえ怖くてほとんど見れなかった覚えだけはある程度だったので改めて見てみた。

「ジョーズ」における行きすぎた資本主義への問題提起を別のアプローチで行った作品と
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ライフ・イズ・ビューティフル(1997年製作の映画)

3.8

「泣ける映画」の大定番。
ホロコーストを生きる親子をユーモア交じりに描いた作品。
最初の30分ぐらい笑いのセンスが合わなくて戸惑ったけど、そこ乗り越えたら後は好きだった。

ただ、良い映画だし放送で呼
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JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)

4.0

サメ映画の原点にして頂点。
USJのアトラクションは乗ったことあるけど本家は完全初見。

前半でサメに対する漠然とした恐怖を植え付けて、後半のシチュエーションホラーでそれを爆発させる構成が見事だった。
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アンダーグラウンド(1995年製作の映画)

4.1

旧ユーゴスラビアを舞台に、WW2、冷戦期、内戦と激動の50年を描いた作品。
友情、愛、裏切り、戦争、その他諸々のおてんこ盛り盛りな構成要素を、悲哀と乾いた笑いと皮肉を織り混ぜて描き切った力作。

冒頭
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未来のミライ(2018年製作の映画)

4.2

惜しい。だから惜しいのよ。でも個人的に「バケモノの子」よりは断然レベルの高い「惜しい」。
ここでもやっぱり「バケモノの子」みたいな説明過多は好きくない。特にラストのクライマックスの説明全然要らない。ウ
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バケモノの子(2015年製作の映画)

3.0

これは惜しい。惜しいよ。
とにかく登場人物が何でもかんでもしゃべりすぎだし、極めつけにほぼ起こってる物事を説明してくれるだけのキャラとかいるんだもの。
終盤もなんかゴチャゴチャしてるし。

九太と熊徹
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おおかみこどもの雨と雪(2012年製作の映画)

3.9

シングルマザーの奮闘記として見ると色々とガッバガバだけど、姉弟の成長と巣立ちの物語として見ればなかなかに良い。
僕自身が、個々人の素朴な成長のカタルシスに物凄く惹かれるタイプなので、終盤の夜明けのシー
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サマーウォーズ(2009年製作の映画)

3.6

ジブリ映画とハリー・ポッターと並んで金曜ロードショーで擦られてるやつ。とはいえある程度大人になってしっかり腰を据えて見たのは初めてかも。

これはもう色んな観点でいくらでもツッコミ入れられるとは思うん
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時をかける少女(2006年製作の映画)

4.4

混じり気なし純度100%の秀作青春映画!!
過去に戻る力を手に入れたことで浮き上がってくる人生讃歌と青春讃歌!!

なんと言っても高校生の少年少女たちの人間模様のこの眩しさと瑞々しさよ。誰もが羨む超能
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ONE PIECE ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島(2005年製作の映画)

4.0

ワンピースは原作もテレビシリーズも映画も一切触れたこと無い、基本中の基本ぐらいは知ってるという程度ですが、細田守監督作ということで見てみた。

そんなワンピース全然知らない人間ですら、この仲間観と家族
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オレンジカウンティ(2002年製作の映画)

3.6

成績ではなく事務的なミスが原因で大学に落ちた作家志望の高校生が、どうにか大学に入ってやろうと奮闘するドタバタ青春コメディ。

話の前提となる、スタンフォード大学に入れる/入れないの瀬戸際がさすがにガバ
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ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

4.6

「パワー・オブ・ザ・ドッグ」がめっちゃ好きだったのでこっちも見てみた。

単にヌードシーンがあるとか濡れ場があるとかってだけでなしに、「ここに私の居場所は無いのかも...」っていう緊張感や違和感が少し
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スパークス・ブラザーズ(2021年製作の映画)

4.7

スパークスは2020年のアルバムの評判で知って、そこからしばらくは特に掘り下げることはなく、この映画を見る直前に「キモノ」と「No.1 In Heaven」を聴いた程度の初心者。
そんな初心者でも、と
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シカゴ(2002年製作の映画)

3.1

これがミュージカルってことすら最近知った私です。

劇中劇としてのミュージカルとドラマパートを行ったり来たりする演出は今見ても斬新だけれど、あまり好みではなかった。これだとあんまり感情が乗ってこなくて
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ビルとテッドの大冒険(1989年製作の映画)

3.8

タイムスリップで過去/未来の自分達と対面するシーンのアホさ加減でもう勝ちなのよ。

ビルド・ア・ガール(2019年製作の映画)

3.6

冴えない女子高生が持ち前の文才を武器に自分の殻を破り成長していく話。

それこそ「ブックスマート」みたいにもう少し突き抜ける何かが欲しかった感はあれど、アンダードッグの青春ムービーとしてまあ良い作品だ
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チャイナタウン(1974年製作の映画)

4.1

1つの浮気調査をきっかけに、街に蔓延る大きな陰謀に巻き込まれていく私立探偵の話。
淡々と、でも熱を持って救いの無いラストへと転がり進んでいく様は、観客を翻弄する一方で、計算され尽くしたある種の美しさす
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幸せへのまわり道(2019年製作の映画)

3.9

こういう地味な良作映画大好き。
雑誌記者であるロイドの視点を通して、アメリカの国民的テレビ番組の司会者、ミスター・ロジャースの姿を映した作品。

家族との関係や、自分の感情との向き合い方といった身近で
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