ノクタンさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

ノクタン

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ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)

3.7

「人を殺さない」ことで戦争に立ち向かった男の姿を通して浮かんでくるメッセージの明快さが良い。分かりやすくてかつ誰でも共感しやすい。
ゴア描写大好きなメル・ギブソンの悪趣味さもここでは効果的だったと思う
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勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

4.7

ゴダール映画初体験、ヌーヴェルヴァーグ映画初体験。

破天荒な編集はもはや説明不要のカッコよさ。この編集によって独特なリズムやスピード感が生まれていて、下手なアクション映画よりよっぽどエキサイティング
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エクソシスト(1973年製作の映画)

4.1

視覚効果やら音楽やらそもそものテーマやら、どこまでも不気味だった。古びることがない怖さには当時の製作チームの職人魂を感じる。
個人的には最近「普通の人々」を見たばっかりなのもあって、これも親子間の問題
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マイ・フェア・レディ(1964年製作の映画)

2.9

貧しく暮らしていた1人の女性が、セクシストでミソジニストの金持ち教授の道楽で、社交界デビューさせられるために軟禁→調教→洗脳されるホラー映画。
そういう捉え方なら今の感覚でも割と楽しめた。むしろそう捉
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エルヴィス(2022年製作の映画)

3.8

バズ・ラーマンらしい享楽的な映像世界と、エルヴィスの波乱万丈なキャリアとその裏にある苦悩が見事にマッチ!めちゃ楽しい映画だった!
華やかな映像から浮かび上がる「エルヴィス」の空虚さ...

エルヴィス
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近松物語(1954年製作の映画)

4.5

「雨月物語」と続けて見たけどとにかく映像がカッコよすぎるでしょ溝口健二。カメラの動きも空間設計も何もかもカッコいいよすげえよ。
物語もとても濃密で多面的な楽しみ方ができて面白かった。男性と女性の権力関
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雨月物語(1953年製作の映画)

4.6

溝口映画初体験。
幽玄的な映像美によって浮き彫りにされる生々しすぎる人間の業。
こういう視点を持った映画が50年代の男性監督によってしかも日本で作られてたのに素直にびっくり。
欲のまま好き勝手する男性
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EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

5.0

バスジャック事件で心に傷を負った1人の男性と2人の兄妹。

傷ついた人々を温かい眼差しで見つめることで、じっくりじっくりと真摯に人間という生き物に向き合った作品。
静かで落ち着いたトーンなんだけど物語
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MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)

3.5

不公正に毅然と立ち向かった人々の闘い。そんな中でジャーナリズムにできること。

ジャーナリズムの役割として、今起きているあれこれをリアルタイムで社会に伝えることっていうのがあるのはまあ分かってたけど、
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キネマの神様(2021年製作の映画)

2.5

とにかく古臭い映画だったなという感想しか。
演出が古臭いのは、見てて恥ずかしい部分もあるとはいえ、古き良き日本映画へのオマージュと捉えればまあ理解できる。

ただこの男女観の古さはやっぱり受け入れられ
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.8

1973年、LAでもしかしたらあったかもしれないエヴァーグリーンな恋模様。

爽やかで心地よくもスリリング、疾走感のある映画の進み方が最高すぎる...
話自体は2人の男女が付かず離れずをひたすら繰り返
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リアリティ・バイツ(1994年製作の映画)

4.0

大学卒業直後、理想と現実のギャップに悩む若者たち。
現在大学4年生の僕にこの映画は鋭すぎた。トロイとマイケルの対比には切なさも怖さも感じる。

普通の人々(1980年製作の映画)

4.3

長男の事故死をきっかけに壊れていく「普通の」家族の話。

タイトルからは予想できない程シビアな映画だった。「普通」という言葉が一般的に持つ幻想を打ち砕くような。
トラウマティックな経験によって断絶が生
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ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2017年製作の映画)

3.0

そりゃゲイリー・オールドマンはすごいし、信念を貫いてモヤが晴れていくような終盤の展開は熱いものがあったけど、それにしても堅苦しくてちょっとキツかった。

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014年製作の映画)

3.8

良い意味で思ってたんとだいぶ違った。なんとなく堅苦しい伝記映画のひとつかと思ってたら、こんな爽快感たっぷりの映画だったとは。
いっちばん最後のシーンがまさに「青春」って感じで好き。その後の運命を悟る複
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.5

撮影は文句なく素晴らしい一方で、ワンカット(風)であるがゆえに微妙にテンポの悪さを感じてしまう瞬間も。
でもリアルタイムの形でこれをやる正しさも頭ではわかるから難しい。
ただやっぱりゲームみたいな画面
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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画)

3.7

スクープ記事を出す/出さないという決断を通して、メディアと権力の緊張関係を端的に描き出した見応えのある1作だった。
政治的な正しさを貫くか、声を上げなければ得られる生暖かい安心感を取るか。

何もかも
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ミッチェル家とマシンの反乱(2020年製作の映画)

4.8

家族を「修理」するために、父親のアイデアで娘の入学する大学へとロードトリップに出た一家。そんな中でAIの反乱が起こって...

ポップカルチャーへのリスペクトとスパイス程度に皮肉も詰まったアグレッシブ
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花嫁のパパ(1991年製作の映画)

3.3

我が子の結婚式でボロ泣きする親の気持ちが初めてちょっとだけ分かった。
家父長制やそういった意識の発露に反発するアニーが結婚式にはノリノリとか、ジョージが少しずつ娘の結婚を受け入れていくとか、それ自体は
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大災難P.T.A.(1987年製作の映画)

3.8

プロットがほぼ「デューデート」だった。
笑えてほっこりして軽~く見れる良作コメディ。ドタバタだし下品なギャグもあるけれど、作りは至極丁寧。

レインマン(1988年製作の映画)

4.4

見てなかった定番名作映画。
単に良い話で終わってなくてよかった。経済的な成功を至上のものと考える人々へのアンチテーゼが意外となかなか痛烈。
そこでお金という概念の無い人物としてのレイモンドの存在が有機
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スターダスト(2020年製作の映画)

2.6

「世界を売った男」のプロモーションのためにアメリカを旅するデヴィッド・ボウイ。

全然好きじゃないけど大酷評されてる割にはまあ見れた。全然好きじゃないけど。
さすがに音楽が使えないミュージシャンの伝記
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ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル(2016年製作の映画)

3.9

監督自身のルーツも盛り込んだハートフルなコメディ。
リッキーもへクターもチャーミングで奥行きのあるキャラクターだし、話のドタバタ感はなかなかに楽しかった。

リッキーは全然悪ガキには思えないけど、福祉
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.4

舞台は韓国でもらしさ全開。
ことばの丁寧な積み重ねによって関係性やそれぞれの想いが変化し、大きなエモーションを生み出す是枝節が炸裂している。
押し付けがましくなく、多様な価値観の人物像を説得力を持って
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PLAN 75(2022年製作の映画)

4.7

完全にホラー映画な冒頭数分間で一気に掴まれた。
人間に生産性を求めて、貧しさや失敗etc.を「自己責任」と切り捨てる社会の末路。さながらディストピアの切迫した現実感に胸を突き刺される。
そんな社会の中
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君は永遠にそいつらより若い(2021年製作の映画)

3.3

優しさの映画。
あれもこれも詰め込みすぎて脚本に無理を感じる部分が多々あったけど最終的にはまあ好きだった。
佐久間由衣による軽重のバランスの効いた演技が非常によい。映画のトーンを1人で作り上げてると言
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RUN/ラン(2020年製作の映画)

4.1

もちろん「ミザリー」みたいな、「いちばん怖いのは人間」といった趣のサイコスリラーでもあるけど、一方で「コーダ」みたいな青春映画としての爽やかさも感じたのは僕だけでしょうか。

90分の短い中にエンタメ
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カリスマ(1999年製作の映画)

4.0

価値観と視点と想像力の旅。
黒沢清にしてはテーマも分かりやすくてスッと映画に入れた。
普通、正しさ、法をシニカルな語り口で揺さぶる怪作。ちょうどたまたま選挙前だから余計に色々考えちゃうよね。

英国王のスピーチ(2010年製作の映画)

3.7

バーティとライオネルの掛け合いや友情が生まれていく過程はとても魅力的だし普通に良いお話。

映画の山場になるスピーチが戦意高揚のために行われたことを考えると複雑な気持ちではあるけど、そこを強調しないよ
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100日間生きたワニ(2021年製作の映画)

3.6

不覚にもウルっときた。
色んな意味でバズりまくってあまりに有名になった「ワニの死」を通して、すべての遺された人々にフォーカスしてその「生」を優しく描いた作品。それでも続く日常の中でじっくりと喪失を受け
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17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

3.9

中絶するためにペンシルベニアからニューヨークへ向かう17歳のオータム。

社会の中で女性が置かれている状況を極めて切実に描き出した作品だと思う。
著しく制限された自己決定や、男から注がれる性的な目線。
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トロピック・サンダー/史上最低の作戦(2008年製作の映画)

3.9

リアルな演技を引き出すためにジャングルに放り出されて、ガチの戦場に巻き込まれる戦争映画の出演者。

ブラックフェイスで黒人英語を話すロバートダウニーJr.が、今からしてもたぶん当時としても激ヤバすぎて
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

3.0

基本設定や話の構造上しょうがないっちゃしょうがないし、言いたいことはすごーくよく分かるんだけど、正直面白くはなかった。
「階層」の違いの表現は細やかだったけど、それをイマイチ話の面白さに転化できてない
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ファニーとアレクサンデル(1982年製作の映画)

4.5

一気に見れるってゆーても5時間だもんなぁと思ってたらマジだった。
各エピソードで兄妹が置かれた状況やその心情に合わせて、映像のトーンや語り口が少しずつ変わり、撮影や編集もメリハリがしっかり効いてるので
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処女の泉(1960年製作の映画)

3.8

森の中で動物や強くて「優しい」男たちに囲まれる無垢な少女、っていう画面の構図とその後の展開が、なんとなくディズニーなんかの伝統的なプリンセスものが見せる幻想への痛烈すぎる批評に思えちゃった。

そのシ
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野いちご(1957年製作の映画)

4.3

話の構造は直近に見た「第七の封印」とほぼ同じく、人生の喜怒哀楽を詰め込んだロードムービー。
主人公が老い先短いおじいさんになった分、その切実さにより深い味わいと説得力があった。
特に孤独死に対する恐怖
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