ノクタンさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

ノクタン

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17歳の肖像(2009年製作の映画)

4.2

今のままで退屈な将来を送るまいと、ちょっと背伸びして「大人の」世界に触れていく女子高生のお話。

個人的に大好物な、若気の至りを優しく描き出した良質青春映画で大満足。
人生の岐路に立って揺れ動く主人公
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去年マリエンバートで(1961年製作の映画)

3.0

幻惑的でどう考えても唯一無二な映像世界の放つ凄みには圧倒されたけれど、これを面白いと思える高尚な感性は僕は持ち合わせていないようです。
「パプリカ」の支離滅裂なセリフを延々聞かされた気分。

波止場(1954年製作の映画)

3.5

波止場の規範と良心との板挟みで追い詰められていくマーロン・ブランドの演技が白眉。
葛藤を抱えながらも良心に目覚めていく主人公の姿にアメリカ映画的なヒーロー像の原点を見た気持ち。その上このラストシーンな
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.5

ゴダールの映画作家としての独創的な才能と、ジャン=ポール・ベルモンドとアンナ・カリーナの画力(えぢから)だけで突っ走るストロングスタイルな作品。
理解不能な言葉の羅列に最初面食らいつつも、天才的な画面
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マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)(2017年製作の映画)

3.8

割とありがちな家族の危機をノア・バームバック監督らしく軽妙に、時に滑稽に描いた作品。
スケールのごく小さい会話劇をここまで魅力的に紡ぎ出していくのはもう才能でしかないよな。キャラクターの現実味と家族の
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アーティスト(2011年製作の映画)

4.4

2010年代のオスカー作品賞受賞作の中だとやや影薄めな印象だったけど、それも納得っちゃ納得の渋めな傑作。

古き良き映画への憧憬・リスペクトと、前進し続けようとする力強さを兼ね備えたストーリーももちろ
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パリ、テキサス(1984年製作の映画)

3.9

トラヴィスが淡々と過去を語っていくような不思議な温度感が面白かった。
話は正直それで良いのかとは思わなくもなかったけど、カメラワークは実にスリリングで緊張感を高めてくれるし、アメリカの砂漠や街並みを幻
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悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)

3.4

重層的な広がりを持つテーマ性を、生理的嫌悪感を強烈に呼び起こす映像おてんこ盛りで描くので僕の倫理観はもうグチャグチャです。

スーパー!(2010年製作の映画)

3.6

中学生の悪ふざけ(誉め言葉)みたいなエログロ満載で最高ですねぇ。
それなのにメッセージや話自体は至って正統派なヒーロー映画なのがズルい。

グリーンバレット(2022年製作の映画)

4.4

パンキッシュなエネルギーに満ちたラフな映像で疑似ドキュメンタリーに徹した前作に比べると、割とカチッと演出が入ってるのでその分エンタメ成分マシマシで個人的には大満足。

説得力があって魅力たっぷりな人物
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子供はわかってあげない(2020年製作の映画)

3.4

所どころ肌に合わない部分はありながらも、すごくチャーミングな映画だなって感想。
上白石萌歌の瞳の強さと、オドオドした細田佳央太は存分に楽しめたので良かった。

岬のマヨイガ(2021年製作の映画)

3.9

震災後の岩手で、傷を負いながらそれぞれに踏ん張って生きていこうとする人々の、ちょっと不思議な癒しのおとぎ話。

背中を押すというより、手を取って一緒に歩み時には立ち止まってくれる優しさに満ちていて、疲
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サンライズ(1927年製作の映画)

4.6

なんですかこの映像美は。幻想的な映像世界がシンプルな物語に強い神秘性と寓話性を付与していてとても味わい深い作品だった。
倫理観にぶっ刺してくる感じなんかはまさに寓話的。

白と黒のくっきりした映像もそ
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ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

4.8

いい加減な暮らしを肯定してくれるかのようにゆとりのある空気感が最高だ...押し付けがましさが全く無くて見てて非常に心地よい。
話は必ずしも夏って感じが個人的にはしなかったけど、画面の質感や、人物や風景
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エル・トポ(1970年製作の映画)

3.2

訳わかんないし気持ち悪いしでただドン引きしてたけど、見終わって振り返ると前半の方がインパクトが強烈で印象に残るという。後半の方が分かりやすくはあったけど。
後半の内容を踏まえてもう1回見たら前半ももっ
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街の灯(1931年製作の映画)

4.0

ごちゃ混ぜになった哀愁と温かみが感情を揺さぶる作品だった。
強い哲学性を持った物語はまさに不朽の名作だなという感じ。
チャップリンの映画はどれも最初から最後まで徹底して反権威で気持ちいいですよね。

ユー・キャン・カウント・オン・ミー(2000年製作の映画)

3.7

姉弟とはいえ価値観の合わない部分が多くて頻繁に衝突するけれど、姉弟だからこそお互いがお互いを頼れる存在だと思ってるっていう関係性が興味深かった。嘘臭さのない姉弟愛みたいな。
ローラ・リニーとマーク・ラ
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裏窓(1954年製作の映画)

4.3

アパートの人々の生活が、他のストーリーをほぼすっ飛ばして単なる「事実」として淡々と映し出されていく感じが今見ても斬新で面白かった。ヒッチコックの作家性が強く現れてるので入門に良さそう。

そして背景を
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ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還(2003年製作の映画)

4.0

前作もそうだけどやっぱりフロドとサムの関係性がいちばん興味深く見れた。もちろんそこに狡猾に割って入っていくスメアゴルの存在も含めて。なんといっても滅びの山は壮絶。
あと「力の使い方」が大きなテーマのこ
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最強殺し屋伝説国岡 完全版(2021年製作の映画)

3.9

「ベイビーわるきゅーれ」の製作にあたって行われたとある殺し屋の方への取材ドキュメント。
「ベビわる」はもう最高に楽しくて大大大好きな映画ですが、これも非常に楽しいアクションコメディ。

「ベビわる」に
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女子高生に殺されたい(2022年製作の映画)

3.8

奇抜すぎるタイトルと設定に反して、とても堅実にヒッチコック風のミステリー・サスペンスをやっていてめちゃくちゃ面白かった。モノローグによる説明が少し過剰な気はしたものの、疑問の積み重ねが丁寧なので集中力>>続きを読む

ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔(2002年製作の映画)

4.0

1作目に比べるとファシズム(サウロンとそれに屈したサルマン)との戦いがより前に出てきた印象。そこを単なるスペクタクルにするのではなく、犠牲になる名もなき人々にもじっくり目を向けているのはさすがだし、内>>続きを読む

突然炎のごとく(1961年製作の映画)

4.5

恋愛観が破綻した女性とそれに戸惑いつつも不思議と惹かれていく2人の男性を生き生きと描き出した傑作。3人の複雑すぎる関係性を追ってくだけでも楽しい。しかもそれを昼ドラみたくドロドロするのではなく、青春映>>続きを読む

ロード・オブ・ザ・リング(2001年製作の映画)

4.2

説明不要の人気シリーズ第1作。

大いなる力を前にした登場人物たちの葛藤と成長が丁寧に描かれていて、そんな「力の使い方」というテーマを通して道徳的に訴えかける物語の強さと冷静さにいちばん惹かれた。
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獅子座(1959年製作の映画)

3.6

遺産相続で大金ゲット!...かと思ったら...
人間なんてこの程度、だがそれが良い、っていうある種の慈愛に近いような目線が良かった。
一気に転がり落ちるんでなく、パリを彷徨いながらじわりじわりと色んな
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ニュースの天才(2003年製作の映画)

4.0

あるスクープ記事を別の雑誌社が改めてリサーチしたら会社名も人物名もヒットしない。もしかしてこれ捏造じゃね...?って話。

ヘイデン・クリステンセンの演技が、主人公の静かで不気味な野心と、憎めない人間
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死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)

4.4

愛する人を探し求めて夜のパリをさまようジャンヌ・モローの映像だけでも2時間見れそう。しかもそこにマイルス・デイヴィスの音楽が乗ってきちゃったりするんだから。
そしてドライブしたら百発百中で画になるパリ
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キャプテン・フィリップス(2013年製作の映画)

3.9

アメリカの貨物船を襲撃した海賊と、その貨物船の船長の話。

ほぼ全編にわたって緊張の糸が切れないドキュメンタリー風な撮影が秀逸で非常に見ごたえのある映像だった。救命艇とかほんと息が詰まっちゃう。

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いとこ同志(1959年製作の映画)

3.9

毎夜パーティーに夢中なポールと、そのいとこでガリ勉のシャルル。そんなシャルル視点でポールらが遊び呆ける様をひたすら「ぐぬぬ」と見続ける映画だった。

限りなくシャルル寄りな学生生活を送ってきた身として
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ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)

3.7

「人を殺さない」ことで戦争に立ち向かった男の姿を通して浮かんでくるメッセージの明快さが良い。分かりやすくてかつ誰でも共感しやすい。
ゴア描写大好きなメル・ギブソンの悪趣味さもここでは効果的だったと思う
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勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

4.7

ゴダール映画初体験、ヌーヴェルヴァーグ映画初体験。

破天荒な編集はもはや説明不要のカッコよさ。この編集によって独特なリズムやスピード感が生まれていて、下手なアクション映画よりよっぽどエキサイティング
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エクソシスト(1973年製作の映画)

4.1

視覚効果やら音楽やらそもそものテーマやら、どこまでも不気味だった。古びることがない怖さには当時の製作チームの職人魂を感じる。
個人的には最近「普通の人々」を見たばっかりなのもあって、これも親子間の問題
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マイ・フェア・レディ(1964年製作の映画)

2.9

貧しく暮らしていた1人の女性が、セクシストでミソジニストの金持ち教授の道楽で、社交界デビューさせられるために軟禁→調教→洗脳されるホラー映画。
そういう捉え方なら今の感覚でも割と楽しめた。むしろそう捉
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エルヴィス(2022年製作の映画)

3.8

バズ・ラーマンらしい享楽的な映像世界と、エルヴィスの波乱万丈なキャリアとその裏にある苦悩が見事にマッチ!めちゃ楽しい映画だった!
華やかな映像から浮かび上がる「エルヴィス」の空虚さ...

エルヴィス
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近松物語(1954年製作の映画)

4.5

「雨月物語」と続けて見たけどとにかく映像がカッコよすぎるでしょ溝口健二。カメラの動きも空間設計も何もかもカッコいいよすげえよ。
物語もとても濃密で多面的な楽しみ方ができて面白かった。男性と女性の権力関
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雨月物語(1953年製作の映画)

4.6

溝口映画初体験。
幽玄的な映像美によって浮き彫りにされる生々しすぎる人間の業。
こういう視点を持った映画が50年代の男性監督によってしかも日本で作られてたのに素直にびっくり。
欲のまま好き勝手する男性
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