岩嵜修平さんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

岩嵜修平

岩嵜修平

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渇水(2023年製作の映画)

3.6

水道の民営化の話が日本でも表れている現状で、1990年の原作を今、描く意味は十分に感じた。全ての登場人物の表と裏を丁寧に描こうとしているし、だからこそ最後に、安易な展開を用意しなかったのも良かった。子>>続きを読む

ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

3.5

扱うテーマは、それだけで作る意義があると思えたが、映画として作るに当たって、この手法か…。正直、人物の背景を想像するのに手一杯で、会話をしっかり頭に入れることが出来なかった。事件そのものを描く必要が無>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.2

なるほど、これは坂元裕二しか書かない物語で、是枝裕和にしか撮れない映画だ……。でありながら、過去の坂元作品とも是枝作品とも違う。何を書いてもネタバレになるので、何も書けない。本作は、自分自身の視点だけ>>続きを読む

Rodeo ロデオ(2022年製作の映画)

3.6

ホモソーシャルの塊のようなライダーズコミュニティに強引に乗り込む女性という設定からは想像もつかない展開の連続。終始スリリングで、ホラー味すら感じる。でいてバイクで滑走するシーンのカッコ良さよ…!"新た>>続きを読む

波紋(2023年製作の映画)

3.4

介護疲れに家庭不和からの震災ストレスで夫が家出して妻は新興宗教へ…と、問題を詰め込み過ぎな印象。どういう過去が有って夫妻が結婚したのかなど、背景があまり想像出来なかったのも、掘り下げ不足なのでは。各キ>>続きを読む

クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)

3.5

人気作の続編のはずなのに全然、TLで見かけないと思ったら、なるほど…。これは過去2作とは違うものになっちゃったな…。マイケルBジョーダン、日本が好きなのは嬉しいけど、君に映画の才は無いかもしれない…。>>続きを読む

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

3.8

まさにドラマ版の岸辺露伴ワールドを映画に拡張。過去作を観てなくても、本作だけで理解できる親切設計(説明台詞が多過ぎるくらい)。作品のテーマ自体が、ルーブル美術館で撮影する意義にもなってる見事な構成。必>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.9

ミア・ハンセン=ラブの『すべてが許される』『あの夏の子供たち』を先日、続けて観たばかりなので、重ねて観てしまった。子の目線と親の目線の大きな差。親の世代になってから、見え方が変わる過去。記憶の中にしか>>続きを読む

ワイルド・スピード/ファイヤーブースト(2023年製作の映画)

3.6

あまりにご都合主義すぎないか…。先に計算が無く後付けで話を継ぎ足していって、追加したキャラに無理矢理、複雑な背景を加えた感じ。車の使い方はとんでもなかったけど、アクションの新しさは感じなかったし、大笑>>続きを読む

アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

3.6

レーガン政権誕生前夜、ニューヨークのユダヤ系少年から見た世界の変化。ジェームズ・グレイ監督自身の少年時代を忠実に映像化したということで、やらかす悪さのレベルも、その後の展開のシビアさもなかなか。キレイ>>続きを読む

同じ下着を着るふたりの女(2021年製作の映画)

3.7

母と娘、1人の人間としてそれぞれが求めることを突き通すが故の歪み。母はいつまで母で居なければいけないのか。娘はいつまで。相互に多少の愛はありながらも、相手の存在による不自由さによる憎が勝る。ニュースで>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

3.9

全て計算し尽くされた撮影と演技と光と音。各所に忍ばされた要素一つ一つがラストの驚きに向かっていく。現実から逸脱した暴力も露悪も、過剰な音楽も無いのに、緊張が絶えないスリラー映画として、観客の集中を持続>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.2

最っ高…!これ以上の映画を、もうMCUは生み出せないんじゃないか。単独の作品として圧倒的でありながら、続編としても全方位、隅々まで行き届いてて文句なし!でありながら、ちゃんと新しいこともやってて、笑え>>続きを読む

セールス・ガールの考現学/セールス・ガール(2021年製作の映画)

3.6

モンゴル映画自体、見るのが初めてで、ウランバートルがあれだけ都会なのも、ここまでロシア(ソ連)の影響が大きいというのも、女性の立場の日本との違い(大学進学率が男性より高い!)にも驚いたが、それ以上に、>>続きを読む

ピーター・パン&ウェンディ(2023年製作の映画)

3.4

ピーター・パンの現代的な語り直しとしては意義深いかもしれないけど、あまりにディズニー映画過ぎて、鬼才デヴィッド・ロウリー(本人的には、『ピートと秘密の友達』やってるから違和感ないだろうけど)の起用は合>>続きを読む

アダマン号に乗って(2022年製作の映画)

3.6

何も知らず金熊目的で観た人は序盤、困惑したのでは…と思うくらいに自然に理想的なコミュニティが成り立っている凄さ。最後まで観ても、登場人物たちが精神疾患を抱えた人々だとは思わなかった人も居るかもしれない>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.8

原作ゲームの最高のアニメ化!作り手のマリオ愛、任天堂愛が嫌というほど伝わってくるし、イルミネーションが3Dアニメのリアルさと可愛らしさのバランスを極めた先に本作がある。ゲーム音楽の見事な編曲にも何度も>>続きを読む

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

3.7

多分、この映画が無ければ一生、気にすることなく生きていた(生きられた)米の元ポルノ男優の生活。家族を置いて都会に一旗あげに行き、金が無くなって帰ってきたと思ったら、ティーンのドーナッツ店員に一目惚れし>>続きを読む

あの夏の子供たち(2009年製作の映画)

3.7

前作で、仕事をしないクソ父親を描いた後に仕事をし過ぎるダメ父親を描くとは、ミア監督、どんな10代を…と思ったら前作のPになる予定だった人がモデルの1人なのか。終始リアルでありながら、あまりにドラマチッ>>続きを読む

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

3.5

前作同様、アクションは凄いが、その他は好みではなく。アクションも、撮影というよりは伊澤彩織さんと丞威さんの動きの素晴らしさが際立った。集団バトルが減った分、見所も少なく。もう終わり?の割に、エンドロー>>続きを読む

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

3.8

倫理観の前提を揺らがせる映画。恐ろしいのは娼婦の方へのフェミサイドに至った男だけでなく、彼を生み出した地域、いや、社会そのもの。「殺人は悪」という大前提が失われた社会。宗教観も含まれるため、安易に外か>>続きを読む

すべてが許される(2006年製作の映画)

3.7

これが弱冠26歳の長編デビュー作というミア監督、恐るべし。どんな人生を歩めばこんな話が生まれるのか…。酒タバコ浮気にドラッグとクズ役満の父に振り回される妻子。互いに愛はあるが、一緒に暮らすと上手くいか>>続きを読む

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

4.0

これは日本のみならず世界に届けるべき映画なのでは。今の日本のリアルを丁寧に描きながら、ぬいサーの彼女たちのような人は世界中に確かにいると思う。そして、彼らは映画でもドラマでも描かれて来なかった。ぬいぐ>>続きを読む

ガール・ピクチャー(2022年製作の映画)

3.8

青春映画ながら、当たり前にフィギュアスケート選手が主人公の1人で、当たり前にスムージー屋さんが出て来て、当たり前にレズビアンやバイセクシュアルが主人公の1人で、当たり前にセクシュアリティの揺らぎを描く>>続きを読む

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

3.8

D&D全く知らないけど、普通に楽しめたというか、どこがテーブルゲームの要素なのか分からないくらい、ドラクエなどを通じて日本人の脳に染み付いてる世界観。折角なら、邦題をガラッと変えても良かったくらいかも>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.9

何が琴線に触れたのか言語化できないが、ラスト、嗚咽してしまった。主人公には共感できないどころか、登場人物の誰しも、あまり好きにはなれないのだけれど、だからこそ、それぞれが垣間見せる優しさや愛に胸を打た>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

3.6

年齢的に、流石に身につまされる作品にはならなかったものの、公務員や大企業の社員の方々には観て欲しい。既に語られ尽くしたテーマではあるものの、自分の仕事の無意味さを実感した時には違う道を考えることも必要>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

3.7

正直、シューズそのものに興味を持ったことがなく(ナイキも2〜3足、履いたレベル)、マイケル・ジョーダンにも思い入れが無い中で観た割には、楽しめた。序盤は、よくある成功譚に思えてノれなかったが、ジョーダ>>続きを読む

グリッドマン ユニバース(2023年製作の映画)

3.8

アニメシリーズの続編としての新作映画あるあるなのかもしれないけど、あまりに上手く、2つのシリーズをまとめたその先を描いていて、驚いた。他の人も多く言及しているが、庵野秀明作品と同時期公開は象徴的。庵野>>続きを読む

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

3.6

表面的には、相変わらず独自のセカイ系を突っ走るシャマラン作品!とは言えるものの、本作は同性愛カップルにアジア系の養子、宗教、環境問題など様々な現実のテーマが横たわっているので、ただ、笑ってばかりはいら>>続きを読む

テトリス(2023年製作の映画)

3.7

面白い!まさに事実は小説より奇なり。任天堂もバリバリ関わってくるし、主人公の家族と社長を務める会社(現テトリス社)の社員は日本人なので、日本人はお見逃しなく!マシューヴォーン、プロデューサーとして良い>>続きを読む

長ぐつをはいたネコと9つの命(2022年製作の映画)

3.5

猫もアクションも新しいアニメ表現も好きなのに、ここまでハマれないのはドリームワークスが合わないんだろうか…。ストーリーも落ち着くところに落ち着いちゃってるし、かつてのスターが落ちぶれたて一矢報いる話は>>続きを読む

わたしの見ている世界が全て(2022年製作の映画)

3.7

同じTokyo New Cinemaの中川龍太郎作品に似たテーマと思ったら、原案か。個人主義の流れは止められず、銭湯など昔ながらの共同体(ときに人)は失われていくが、それでも残したいものを映す。中川監>>続きを読む

トリとロキタ(2022年製作の映画)

3.8

ベルギーを訪れたアフリカ出身の10代後半の少女と更に年下の少年が、偽姉弟として養護施設で暮らしながら、故郷の家族に送金するために犯罪行為で日銭を稼ぎ、安全な形での更なる稼ぎのために入国ビザを得るべく依>>続きを読む

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

3.5

ボウイ弱者としては、折角の公認ドキュメンタリーなんだから、もう少し説明して欲しいと思ってしまう、非常に感覚的なミュージックライブ映画。知らない曲が多く、歌詞を眺めていて、船を漕ぐこと多数。でも、語るボ>>続きを読む