岩嵜修平さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

岩嵜修平

岩嵜修平

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ゆとりですがなにか インターナショナル(2023年製作の映画)

3.7

これは映画向きでは無いと思うけど、ドラマファンとしては大満足!良くも悪くも愛すべき同世代が、三者三様に時代の変化に合わせて何とか日常を生き抜こうとする姿勢にはグッと来さえした。外国籍の方々の描写は、や>>続きを読む

キリエのうた(2023年製作の映画)

4.0

個人的に映画の原体験が岩井俊二なもので、偏愛があることを差し置いても素晴らしかった…!過去作を参照しつつ、東日本大震災の後、前作の後ろ向きな姿勢に比べると、岩井さんが一歩前に進んだ感があって嬉しかった>>続きを読む

アンダーカレント(2023年製作の映画)

3.6

キャスティング的に是枝裕和を意識してるのか、今までの今泉力哉作品とは違う方向性で、ちょっと社会性(『his』『ちひろさん』とも違う)を意識している感じがしつつ、テーマと撮影としては今泉節という何ともチ>>続きを読む

Fair Play/フェアプレー(2023年製作の映画)

3.6

確かに、よりエグい『花束みたいな恋をした』なんだけど、そのエグさが暴力的にすら見えて、流石、訴訟大国であり銃社会であるアメリカの攻撃性は違うなと。映像も演出もバッキバキに凄いんだけど、テーマ的に映画館>>続きを読む

シアター・キャンプ(2023年製作の映画)

3.7

TLで感想を見かけないけど、面白かった!予告編やポスターからは想像できないド・コメディで、最近のコメディドラマシリーズの延長線上にある。サーチライトピクチャー作品で、プロデューサーにウィル・フェレル、>>続きを読む

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

3.8

まさか、イコライザーで泣きかけるとは思わなかった。必殺仕置マシーンと化したマッコールさんの殺人病からの解放が、まさか、あんな形とは。凡ゆるアクションが美しく気持ち良い。ジョン・ウィックとは真逆の正義を>>続きを読む

夏へのトンネル、さよならの出口(2022年製作の映画)

3.3

ジェネリック新海誠(主に「ほしのこえ」)と言われているが、「君の名は」前の新海作品が苦手どころか気持ち悪いとすら思っている人間には、しんどかった。映像はただキレイなだけで新海以降の特色も感じず。声優も>>続きを読む

BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

3.5

原田眞人作品にしては評判が良かったので、前作『ヘルドッグス』ばりのアクションを期待したら、意外とアクション少なくて目指すところは社会派で、拍子抜けしてしまった。この路線(貧困からの犯罪を描く)なら徹底>>続きを読む

ロスト・キング 500年越しの運命(2022年製作の映画)

3.8

実在した「リチャード3世」を偏愛した女性が起こした奇跡。自身が持つ病とリチャードの病を重ね、シェイクスピアによって後世に周知された悪評を払拭すべく奔走する。「推し」には推すだけの理由がある。奇跡は情熱>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

3.6

アクションは最高だけど、話とかルールとか関係性とかどうでも良くなっちゃって、流石に169分は長すぎ。ランス・レディック氏についても、後から編集したなら、もう少し良いラストがあったのでは。真田広之&リナ>>続きを読む

ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!(2023年製作の映画)

3.5

やっぱり、スパイダーバースしかり、アメコミライクな作画が得意でないのか、更にヘタウマ感が増した画にハマれず、キャラにも魅力を感じず、アクションも弱く、期待外れだった。軽妙な割に笑いも少ないし。幼少期に>>続きを読む

バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

3.8

予想と全く違ってメッチャ良かった…。 ケイト・ブランシェット様を経由して、#TAR の先(引退後)の話と言っても良いし、#aftersun と同時代(現地公開は2019年)の映画とも言える。やりたいこ>>続きを読む

グリーンフィッシュ 4K レストア(1997年製作の映画)

3.7

キャリアの最初から濃厚なイ・チャンドン。環境が悪いのは事実だが、自ら下した選択によって、沼にハマっていく。絶望の先に微かに見えた希望があっさりと消え去るのは、それまでに経験して来た絶望があってこそ。『>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

3.8

面白かった!カーレース描写も十分に成功と言って良いのでは。何より、あのニール・ブロムカンプ復活作としてファン(『チャッピー』は年間ベストに入れたくらい好き)的に嬉しいし、彼が撮る意味があるバーチャルリ>>続きを読む

ミステリと言う勿れ(2023年製作の映画)

3.9

ドラマファンなら120点の満足度&原作ファンとしてもキャスティング完璧&広島ロケも活きて&エピソードも2時間にぴったり…と原作→ドラマ化→映画化の最高峰と言って良い出来。ちゃんとヒットして、このパター>>続きを読む

ほつれる(2023年製作の映画)

3.8

思いの外、クラってしまった。演劇 #綿子はもつれる で、一通りの話は知ってるはずなのに全く別物として楽しめたし、古舘寛治さんの父親を含め、映画独自の要素が物語に更に奥行きと深みを増した。前作『わたし達>>続きを読む

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

3.8

小さな輪の中で、誰もが愛し愛されて、カジュアルに不倫も浮気もしちゃう1994年ならではの良く出来た恋愛ドラマというルックだが、そこはエドワード・ヤン。90年代にして女性起業家を主役として、同性愛も含め>>続きを読む

あみこ(2017年製作の映画)

3.6

久々の鑑賞だったものの、いきなり踊り出す映画というイメージが強すぎて内容の記憶が薄く、後半くらいから内容を思い出した。関係ない『こちらあみ子』を経由して、あみこのキャラが更に興味深い。デビュー作だから>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

3.6

関東大震災後の朝鮮人虐殺は知っていても、各所で朝鮮人に限らない虐殺が行われていた事実は知らなかった。自国が、そして自らが行なってきた差別や虐待への負い目から、復讐されるのではないかという恐怖心による過>>続きを読む

緑のざわめき Saga Saga(2023年製作の映画)

3.6

『21世紀の女の子』組の1人、夏都愛未監督最新作ということで観たが、良い意味で驚かされた。まだ会ったことのない複雑な関係の女性3人が、必然的に能動的につながっていき、過去を明らかにしていく。並行して語>>続きを読む

あしたの少女(2022年製作の映画)

4.0

上映館数は少ないが、今、映画館でかかってる映画で最も観るべき映画。 #福田村事件 も重要だが、本作で扱うのは、2017年に韓国で起きたこと。そして、組織に所属している、もしくは仕事をしている、更に言え>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

3.6

ミツバチのささやき 町山智浩氏 解説映像付き上映会
観た上で内容は理解していたつもりだったが、解説を聴くと、理解できていないことだらけだったので、解説付きはありがたかった。ただ、先入観なく観たいので、
>>続きを読む

私たちの声(2022年製作の映画)

3.3

呉美保監督&杏主演の『私の一週間』の感想のみ。二児の親たるシングルマザーの日常を丁寧にリアルに描いただけの作品を、これだけ面白く見せられる手腕は、8年ぶりの映画制作でも全く衰えていない。30分に満たな>>続きを読む

兎たちの暴走(2020年製作の映画)

3.7

中国はデレク・ツァンやチウ・ションやバイ・シュエだけでなく、まだまだ、こういう才能が居るのだな…!描かれるのはTBS『マイファミリー』ばりの、よくある誘拐事件かと思いきや、裏には複雑な家庭環境が。かつ>>続きを読む

バカ塗りの娘(2023年製作の映画)

3.8

やっぱり鶴岡慧子監督作品、好きだな…。この手のモチーフで、しかも地方ロケ映画となると、いくらでも古臭くなっておかしくないのに、ちゃんと津軽塗や弘前の魅力を伝えながら、今、描くべきテーマを描いている。「>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.7

いつも通りの大好きなウェス・アンダーソン監督作ではあるが、過去一、頭の中に入って来なかった。前作における「雑誌」に続き「演劇」というフォーマットを活用して、1950年代アメリカの暗部を実在の俳優たちを>>続きを読む

ホーンテッドマンション(2023年製作の映画)

3.0

何一つ怖くなかったし、ほぼ全てのコメディ要素が滑っていた。Dランドで体感した興奮の追体験もなく。良かったのはキャスティングとセットだけでは。ラキース・スタンフィールドとロザリオ・ドーソンとオーウェン・>>続きを読む

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)

3.7

これはまさしく『アフターサン』と並べて語るべき、死と隣り合わせの、ひと夏の思い出。バスティアンと同じくゲームやアニメ(ベッドに千と千尋のポスター)が好きだったかもしれないクロエの過去と、これがクロエ視>>続きを読む

#ミトヤマネ(2023年製作の映画)

3.5

観る前にfilmarksの低得点(話題作りの仕込みじゃないよな)を見たので覚悟して行ったら、面白いじゃないか!意味不明という感想も多かったけど、表面的に理解できないことはほぼ無く、むしろ考察(本当の意>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

3.5

ストップモーションアニメとして異次元。まさかのワンカットで、現実と虚構の境界がなく、チリにおけるナチス由来の洗脳コミューンという過酷な状況に置かれた1人の女性の視点と内面がシームレスに描かれる。繰り返>>続きを読む

イ・チャンドン アイロニーの芸術(2022年製作の映画)

3.7

アラン・マザール監督作品でありながら、その影響は感じさせず、終始、イ監督自身とキャストやスタッフや関係者が、小説も含めた過去作全てと小説家以前を語り尽くしたドキュメンタリー。イ監督作入門であり、全作品>>続きを読む

ソウルに帰る(2022年製作の映画)

3.6

予想しない展開の連続なので、全く理解できている気がしないが、面白かった!描かれるのは一人の人生そのもの。数ある選択の中から決定するシーンは省略し、唐突に時間が飛ぶ感じは、佐藤雅彦監督『どちらを』を思い>>続きを読む

クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男(2019年製作の映画)

3.5

ワインスタイン逮捕後、ワンアポ公開前のドキュメンタリー、スタッフやキャストへのインタビューからタラの脚本家としての才能や、監督としての器のデカさ、漢気みたいなものは知れるが、ここに出ない俳優やスタッフ>>続きを読む

夢見るペトロ(2022年製作の映画)

3.6

脚本・監督だけでなく編集まで務めた田中さくら監督の映像作家としての才は疑いようのないもので、2作で撮影監督が変わり、フィルムからデジタルに変わりながら、題材も含めて明確な田中カラーを感じた。省略や転換>>続きを読む

軽い男じゃないのよ(2018年製作の映画)

3.4

#バービー の類似作ということで観たけど、メッセージ性としては類似していても、明確に劣る。現実に即した上で、女性は男性らしさを、男性は女性らしさを身に付けることを是とする社会という思考実験自体は面白>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

4.0

お見事!表面上、映像で楽しませながら、その裏で、これが何のメタファーか観客に思考させ続ける。笑えて泣けて楽しいのに、今を生きる人間である観客にズシンとした重いものを残す。人形では無く、誰かではなく、自>>続きを読む