岩嵜修平さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

岩嵜修平

岩嵜修平

映画(933)
ドラマ(21)
アニメ(0)

Renaissance: A Film by Beyoncé(2023年製作の映画)

3.9

圧倒的なライブ体験。テイラーに続いて、世界トップクラスのライブを、画面越しとは言え、素晴らしい音響と映像で体験できるとは。TOHO日比谷の通常上映でも最高でした。ビヨンセほぼ知らなくても楽しめたので、>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

3.8

傑作!エメラルド・フェネル長編2作目でこのキレッキレな映像美は驚愕。若くして数々の傑作を体現して来たバリー・コーガンが演じるからこその多重性。ジェイコブ・エロルディ(「EUPHORIA」)のエロさ。ア>>続きを読む

ティル(2022年製作の映画)

3.7

名前は知っていても起こったこととその後のことをはっきりとは知らなかったエメット・ティル事件を真正面から描いた映画。彼がどんな少年だったか、なぜ都市たるシカゴからミシシッピの田舎に行ったか、当時から都市>>続きを読む

記憶の居所(2023年製作の映画)

3.7

常間地裕監督の新境地ながら確かな作家性。「味の話」「香の話」「音の話」の三編からなるオムニバスで、全く異なる時と場所と人を描いた重ならない作品群であり、演出や撮影方法も大きく異なりながらも、違和感がな>>続きを読む

朝をさがして(2023年製作の映画)

3.6

「いちばんすきな花」に通じる今時の男女の関係性を描いた作品であり、 「愛にイナズマ」に通じるコロナ禍の苛立ちを描いた作品であり、つまりは2023年の今ならではの映画。説明的でなく沈黙や長回しを使って、>>続きを読む

ソルフェリーノの戦い(2013年製作の映画)

3.5

今年のカンヌ・パルムドール『落下の解剖学』のジュスティーヌ・トリエ監督による2013年の作品。フランスにおける婚姻関係や親権の扱いについて学びがあるが、それ以上に、フランスにおける人と人の距離の近さと>>続きを読む

終わらない週末(2023年製作の映画)

3.6

週末に起きた出来事を通じて、まさしくアメリカの「終末」を描いている訳で、原作を出した早川書房の担当者さん(翻訳の高山真由美さん?)素晴らしい。終末への3ステップは、プロデュースにオバマ夫妻が入っている>>続きを読む

ブラックベリー(2023年製作の映画)

3.4

「ザ・プレイリスト」しかり、IT業界内幕モノは低温にするのが流行りなのかな。ちょい前の「テトリス」とかテンション高くて好きだったけど、本作もユーモアは忘れない。iPhoneを作れ(ら)なかった人という>>続きを読む

王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

3.6

冒頭の衝撃的な事実が語られる取調シーンの後は「ホン読み」の繰り返しが独特の撮影と編集で映されるだけなので、途中まで呆気に取られてしまうが、作り手の意図が垣間見えると、ゾクっとさせられる。物語として演じ>>続きを読む

マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

3.7

天才バーンスタインの人間味だけを切り取った映画。しかも主役はキャリー・マリガン演じるフェリシア。才能に惚れ込み、彼自身を愛し、愛されながら、夫の抱える公然たる「秘密」に苦悩する様をドライに、時にじっく>>続きを読む

ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

3.9

号泣。期待を上回って傑作。ハリウッドが改めて作るべきなのは、こういう「夢」を見せてくれる映画だろう。金やドラッグのメタファーでもあるチョコは、それでも夢を見させてくれる。『パディントン』チームが、また>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

3.7

なるほど杉咲花が凄い。杉咲花はいつも凄いけど、これまた凄い。話としては、既視感がある内容ではあるが、市子というキャラクターの設定があまりに具体的で、杉咲花の演技力も相まって、実在感が増している。決して>>続きを読む

ダンジョン飯 Delicious in Dungeon(2023年製作の映画)

3.7

原作ファンとしては満点超えのアニメ化!背景美術は想像を超えて素晴らしいし、キャラは愛らしいし、魔物飯はとにかく美味そう!TVアニメ3本分の編集版だけど、美術と音楽を楽しむために映画館で観る価値あり。

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.5

水木しげる作品で幼少期を過ごした人間としては、最近の水木作品周りの動きにはついて行けず、あの目玉おやじやねずみ男に慣れ切っている者としては、あんなキザなセリフをいうおやじや、利他的なねずみ男は受け入れ>>続きを読む

ポッド・ジェネレーション(2023年製作の映画)

3.6

有り得そうな近未来SF。思考実験として興味深く、だからこそ、もう少し踏み込んだところまで描いて欲しかったような。それでも、スパイク・ジョーンズ好きとしては傑作『her』を意識したという映像は好ましかっ>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

3.5

この手の映画で久々に意識的に寝てしまった。元々、人体損壊描写と爆発音(本作はそこまででも無いけど)が苦手なのもあるけど、何となく話の流れは分かるし、分かったところで真新しいメッセージは無いだろうし、何>>続きを読む

ディス・マジック・モーメント(2023年製作の映画)

3.3

ドキュメンタリー映画としては工夫が無いように見えるが、主役は全国各地のミニシアター。現地に行ったら一度は訪れてみたいと思わせる建物と設備と人の魅力。「小倉昭和館」等の今は無い映画館を思うと、身近な名画>>続きを読む

ゴーストワールド(2001年製作の映画)

3.7

なるほど、映画だけでなく後世の様々な作品に影響を与えたことが分かる若き日のサブカルイキりの痛み。イーニドは2023年の今、観るとあまりに偏ったキャラのように見えるが、アップデートを求められる前の時代の>>続きを読む

雑魚どもよ、大志を抱け!(2023年製作の映画)

3.3

最初からハマれなかった。悪事を働いた輩が、その悪事について大して罰されもせず、ちょっと良さげなことをして感動させようとする映画が苦手なので、足立紳さんのオリジナル作品が合わないのかも。撮影も演出も素人>>続きを読む

The Night Before(2023年製作の映画)

3.2

堀井綾香監督作品の良さが分からなかった。映像的に取り立てて美しい訳でもなく、敢えて抽象表現をして深い裏側を想像させたいのかと思ったらそうでもなく、観てても何も感じないし観終わっても残るものがない。NE>>続きを読む

ミマン(2023年製作の映画)

3.8

ついでで観たら思いがけず良かった。歩きながら、移動しながらのほば3編の会話だけで、語られない関係性や表情を含めて登場人物たちの人生を想像させられる。ホン・サンス的であり『エドワード・ヤンの恋愛時代』の>>続きを読む

広島を上演する(2023年製作の映画)

3.5

マレビトの会の「上演する」シリーズの「福島を上演する」「長崎を上演する」に続いての3作目。今回は映画で。4本の短編のオムニバスで、ロケ地は広島に限らず東京での撮影も含め様々な切り口から広島を描く。制作>>続きを読む

石とシャーデンフロイデ(2023年製作の映画)

3.5

映像のクオリティは5作品で1番。現代の、誰もがしんどい状況を定型的でなく、一人一人、丁寧に描いているのは好感が持てた。見下しの連鎖からの逃れ方も、多少の無理矢理感はあったが希望は持てる話で良かった。た>>続きを読む

ペットボトルロケットが飛んだら終わり(2023年製作の映画)

3.4

登場人物2名&42分というコンパクトさながら、しっかりと作家性を感じるのは撮り方や編集、照明、音楽へのこだわりあってこそ。序盤は良くあるイケてない男の妄想みたいな話かと思いきや良い驚きが。回想シーンで>>続きを読む

平坦な戦場で(2023年製作の映画)

3.7

まさに「平坦」な日常を何度も繰り返した先で、一つの事件や異物の介入によってジワジワと壊れていく描写が見事。錦糸町や門前仲町周辺の江東区な感じがヤケにリアルで、だからこそ、性的に見られたくないけど見られ>>続きを読む

お祭りの日(2022年製作の映画)

3.7

とにかく会話が上手い。笑い続けている内に、いつの間にか登場人物に感情移入しホロっとさせられる面も。リアルな脚本もさることながら構成も見事で演技も自然。今泉力哉路線で行けば、かなり成功されるのでは。ぬい>>続きを読む

モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン(2022年製作の映画)

3.4

『バーニング』『バレリーナ』のチョン・ジョンソ目的で観たが、不思議な映画。ずっと予想を裏切られ続けて、プロローグだけで終わった感。観終わってからアナ・リリ・アミリプール監督がイラン系アメリカ人と知り、>>続きを読む

クレイジークルーズ(2023年製作の映画)

3.1

坂元裕二の5年間が、この手の既視感の作品に費やされるなら勿体ないかな…。ミステリーにしても、回想シーンで犯人まるわかり(撮影のボカし方が…)だし、ロマコメとしてもドキッとせず笑えない。下手な三谷幸喜っ>>続きを読む

ブルー・ウインド・ブローズ(2018年製作の映画)

3.6

東京国際映画祭での「わたくしどもは。」が素晴らしかった富名哲也監督の前作であり長編デビュー作。これまた素晴らしかった…!個人的には、こちらの方が好き。ファンタジー性が無い分、作られていない佐渡島の景色>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

3.5

ネタバレ注意の触れ込みがあった割には特に衝撃を受けることもなく。世代にもよるのだろうが、朝井リョウ氏と同じく30代以下だと受け取りやすい話だと思う。誰しも他の人には言えない秘密があり、それを分かち合え>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.6

グッと来るシーンはあるけど、残念さが勝るかな…。シン・ゴジラの方が断然、面白かった。予告編でも流れる戦後間も無く、復興しつつある東京を蹂躙する光景自体は凄まじかったけど、要所要所で余計なセリフが入って>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.5

フィンチャー作品はハマったことが無い(強いて言えば『ソーシャルネットワーク』と『ゴーンガール』)中で、今作も今ひとつ。余計な要素を取り除いて、一つ一つのシーンを丁寧に描くのは良いが、ヒッチコックも通っ>>続きを読む

愛にイナズマ(2023年製作の映画)

3.8

最近の石井裕也監督作品にはハマれていなかったが、完全オリジナルの本作は良かった…!松岡茉優×窪田正孝の圧倒的な迫力に、老いた佐藤浩市が絶妙な味わいを加え、無感情な池松壮亮×若葉竜也が見せる感情に泣かさ>>続きを読む

こいびとのみつけかた(2023年製作の映画)

3.7

良かった…!社会規範からは少し外れたように思える、でも他人に迷惑はかけない優しい人々の話。『まともじゃないのは君も一緒』と同じような世界の、違う男女の物語。前半のファンタジー感をしっかり後半で回収する>>続きを読む

北極百貨店のコンシェルジュさん(2023年製作の映画)

3.7

世界観としては『ズートピア』や『BEASTARS』などと同様に、動物が動物らしさを保ったまま人間のような暮らしを送る世界の話ながら、百貨店のみを描くことによって、場所そのものが多重な意味を持つ作りが素>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.7

正直、スコセッシ作品は得意なのと苦手なので大きく分かれるので、3時間半あっという間という評は嘘だろと思ったけど、本当だった。かなり省略してるのに、この長さが必要で、更に、エンドロールで語られる部分も描>>続きを読む