方眼さんの映画レビュー・感想・評価 - 49ページ目

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陽のあたる場所(1951年製作の映画)

4.8

1951年”A Place in the Sun”。映画という表現形式の持つ罪。観る事が罪。スティーブ・エリクソン「ゼロヴィル」内での分析はさすが。編集でリズムを支配する。初めて屋敷に呼ばれて面接を受>>続きを読む

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.6

ステファン・ツヴァイクの著作からインスパイヤされて、監督が構築した、ポップで楽しく色彩豊かな世界。カメラはパンして、人物は奥と手前を行き来する。画面一つ一つが絵画のように作り込まれ、手元においておきた>>続きを読む

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

4.5

MGMミュージカル、「カサブランカ」、「理由なき反抗」などクラシックに敬意を表し、なおかつ現在にミュージカル映画を撮る意味。技術的には、夕暮れのロザンゼルスの空の発色。ミュージカルシーンと普通の芝居の>>続きを読む

紙の月(2014年製作の映画)

4.1

宮沢りえ、小林聡美、大島優子。冷静で常識人に見える主人公が、一線をひとつづつ越えていく。犯罪の具体的な手口も見せてくれるので、観客は共犯者として一緒にドライブしていく。田村くんの夫も、押し出さず、非の>>続きを読む

パーマネント野ばら(2010年製作の映画)

4.2

菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴。吉田監督作品、これはラストに向けてどういう風にリアリティラインが壊されて、主人公がそれを超えるのか、楽しみに見ていたが、期待を超えた構成。最後まで観て振り返れば、ミステリ>>続きを読む

スケアクロウ(1973年製作の映画)

4.0

1973年。ジーン・ハックマン、アル・パチーノ。贅沢な二人ありきの脚本。シーン重視の演出で、会話も良い。とんでるシーン間での出来事も、次のカット初めや会話でわかる。いくつかのフリが後半効いている。重ね>>続きを読む

M★A★S★H マッシュ(1970年製作の映画)

4.2

1970年。MASHとは、移動米軍外科病院(Mobile Army Surgical Hospital)。朝鮮戦争ものは珍しい。明確なギャグもあれば、シリアスに見える手術シーンもあり、それらごった煮で>>続きを読む

ゴッドファーザーPART III(1990年製作の映画)

4.0

1990年、マイケルの甥にあたる、ソニーの息子をアンディ・ガルシアが演じる。前半、NYでの撮影は、機材のせいか照明なのかゴッドファーザーっぽくなく、90年代初期の画像。最初の襲撃と反撃もなんか迫力不足>>続きを読む

五福星(1984年製作の映画)

4.0

筋に関係ない透明人間ギャグがすごく印象に残る。この頃のジャッキーの少年漫画キャラ感!ジャッキーとサモハンの二人が画面に映ったときの充実した感じは他にない。

ロンゲスト・ヤード(1974年製作の映画)

4.3

囚人がフットボールで看守と戦う。チーム団結、メンバーの個性、リーダの八百長、犠牲。どう終わるのか、どう終わったら登場人物の気持ちに整理がつくのか、この終わり方しかない。所長を殴って30年刑期のおじいさ>>続きを読む

アンタッチャブル(1987年製作の映画)

4.0

モリコーネの音楽が結構押し出し強い。キャッチーともいえる。ケビン・コスナーはここからぐっと売れたのもわかる。デ・ニーロ、ギャングスターとして、ある形を作りきった。ショーン・コネリー、顔力が強すぎて、ち>>続きを読む

キングコング:髑髏島の巨神(2017年製作の映画)

4.0

「地獄の黙示録」でキングコングをポップにやる、というアイデア。他にもオープニングの対決は、黒澤か、レオーネか。宮崎駿、エヴァ、ジュラシックパーク、AKIRA、そしてオリジナルコングなどなど。30歳代ハ>>続きを読む

ゴースト・イン・ザ・シェル(2017年製作の映画)

4.0

オリジナル漫画と押井版にそれほど強い思い入れがあるわけでもないので、吹き替えで見たこのハリウッド実写版、予想よりは良く出来ていると感心した。各場面も丁寧に作り込んで撮られているし、演技もよい。肉感的に>>続きを読む

郵便配達は二度ベルを鳴らす(1946年製作の映画)

4.0

1946年”The Postman Always Rings Twice”。フィルム・ノアール、中盤から後半にツイストしすぎとも思うが、ラナ・ターナーの魅力で引っ張り続ける。この弁護士は、おそらく映画>>続きを読む

わが命つきるとも(1966年製作の映画)

4.0

1966年”A Man for All Seasons”。映画というより劇場中継のような。ロバート・ボルトの舞台脚本がしっかりしているので、主人公トーマス・モアの、頑固な不器用な生き様が伝わる。考証が>>続きを読む

スタア誕生(1954年製作の映画)

3.9

1954年”A Star Is Born”。83年再編集の176分版で鑑賞。途中、公開時にカットされた約30分は、セリフと音楽は進行するが画面が写真のまま。ジュディ・ガーランドのヴィッキーが生い立ちを>>続きを読む

麦秋(1951年製作の映画)

4.5

1951年。別格「東京物語」を除けば、嫁に行くとか行かないとか話のなかでは、一番の小津作品。このあとのバリエーションが全て入っている。「晩春」はエッジが効きすぎているし、英語看板も目立って、原節子もエ>>続きを読む

ワイルド・アパッチ(1972年製作の映画)

4.5

1972年”Ulzana's Raid”。アルドリッチ監督、硬派。何観ても面白い。これ、ド名作じゃないですか。あんまり評価されてないようだが。スキのない脚本、目線や表情で豊かに語る演出、画面端々に気を>>続きを読む

SING/シング(2016年製作の映画)

4.7

ものすごく良く出来た日本語吹き替え版(いしわたり淳治/蔦谷好位置)で鑑賞。主人公バスター・ムーン含め、主要6人の登場人物それぞれのドラマが並行で語られ、ラストの唄うシーンでカタルシスをうむ。ブタのロジ>>続きを読む

わが青春に悔なし(1946年製作の映画)

4.0

1946年。GHQ奨励の民主主義映画。前半から中盤の都会編では、演出と演技と編集が噛み合っているのかどうなのか、というシーンも垣間見える。でもカットバック・モンタージュで判りやすい。セリフと違った感情>>続きを読む

七人の侍(1954年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

初見の記憶では戦略的な映画と思っていたが、再見しての認識は戦術的な映画。組織論、リーダ論。勘兵衛の参戦動機は、自分たちが食っている米を作っている農民に対する侍の義務。なので女房役の七郎次は参加を即答す>>続きを読む

クリムゾン・タイド(1995年製作の映画)

4.5

1995年。よくこんなアホみたいな映画を作った(ほめてます)。構想初期は”潜水艦 meets 2001年宇宙の旅”とのこと。コンピュータと人間の対立で、ミサイル発射、核戦争連鎖の危機感。これを、老艦長>>続きを読む

ときめきサイエンス(1985年製作の映画)

4.0

1985年”Weird Science”。アンソニー・マイケル・ホールは16から17歳、「すてきな片想い」の次、若者はちょっとの間に成長が早いね。クローゼットのおばあさんが面白すぎて、皆が笑いをこらえ>>続きを読む

夜明け告げるルーのうた(2017年製作の映画)

4.1

ルーが皆の前に現れ、騒動が始まってからクライマックス手前までが、登場人物たちの対立・葛藤とドラマ進行の話運びがもたつく。特に主人公・海がいない場面でのキャラクターの行動原理がわかりにくい。このあたりを>>続きを読む

超高層プロフェッショナル(1979年製作の映画)

4.0

1979年”Steel”。主役のリー・メジャースが製作もつとめ、これはスタントマンとして作りたい一作。さすがに超高層ではスタント出来る範囲も限られるだろうが、CGのない時代に、工夫だけで良くこれだけ撮>>続きを読む

美女と野獣(2017年製作の映画)

4.0

2017年”Beauty and the Beast”。エマ・ワトソン主演の実写版。1991年アニメ版に敬意をはらった踏襲で、ほぼストーリーと音楽シーンの絵までそのままだが、アニメを実写にする際の細か>>続きを読む

美女と野獣(1991年製作の映画)

4.0

1991年ディズニーアニメーション作品。90年代のディズニー・ルネサンスはこの作品から。もとのフランス民話ではベルは3人姉妹の末っ子で、ほぼシンデレラの変奏的。それに王子が野獣に変えられた異種婚姻譚。>>続きを読む

シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年製作の映画)

4.6

2014年”Chef”。アイアンマンやアベンジャーズでは、MARVELに監視されながらやりたいことも出来ず、”カーボーイ&エイリアン”で批評家に酷評され、などと前半はあきらかにゲスト俳優の配置も含めて>>続きを読む

バニシングIN60”(1974年製作の映画)

4.0

1974年”Gone in 60 Seconds”。”Steel”と同様に、作り手が作りたい一作。製作・監督・ストーリー・主演・カースタントのハリッキーが、まあ車を壊す壊す。前半のストーリーはあってな>>続きを読む

オブリビオン(2013年製作の映画)

4.1

トム・クルーズ主演のSF。コミック原作で作者が監督も務めている。空中基地や透明ガラスの探索機、ドローンなどデザインと実物セットはカッコいいが、デジタル・ドメイン社のVFXはちょっと安っぽい。設定とSF>>続きを読む

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)

4.6

壮年期を過ぎ老年期に差し掛かった主人公が、若かったころの勢いも夢も理想も無くしかけ、力の衰えを嫌がおうにも自覚せざるを得ない日々。それでも見逃せない許せない理不尽に対して、なけなしの自尊心を搾り出して>>続きを読む

続・激突!/カージャック(1974年製作の映画)

4.5

1974年”The Sugarland Express”。実話を元にアメリカンニューシネマテイストでしっかり演出。一つの画面に入れるべきものを可能な限り大きく写りこませる工夫。ヒッチコックの法則を遵守>>続きを読む

ゲームの規則(1939年製作の映画)

4.1

1939年フランス。モノクロ。ルノアールの類まれなる才能が見える。別荘での奥行きと横移動を使ったドタバタ、入り乱れる登場人物の混沌。貴族の退廃、バロック。小動物も動きを丁寧に撮っているので、仕掛けが大>>続きを読む

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)

4.3

太平洋戦争、沖縄の前田高地戦を舞台に、良心的兵役忌避者ドスの、前線での行動を描く。信心、信念とは簡単に言うが、激戦の最前線でそれを行動にうつしたところが、常人とは違う。「ヨーク軍曹」の最新版といえる。>>続きを読む

コラテラル(2004年製作の映画)

4.0

トム・クルーズがわりとはっきりした悪役を演じる。身体のこなしはキビキビしており、アクシデント後のリカバリもすばやく的確。そもそもの準備や、セキュリティ対策は、どこかの国で軍人経験があったようなわりには>>続きを読む

ブレードランナー ファイナル・カット(2007年製作の映画)

4.5

このファイナル版は、映像もクリアだが、音響にびっくりした。わかもとの広告船は有名な映像だが、その効果音も演出と一体化して使われている。ヴァンゲリスの劇伴とクロスしてレイチェルのピアノが被さるが、不協和>>続きを読む