レインウォッチャー

ウマ娘 プリティーダービー Season 3のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

3.0
これまでに比べると、勢いを落とした感のある3期。その要因は様々ありつつ、1シーズン13話を構成する苦心が見て取れる。

今期は真っ直ぐ元気なお祭りガール・キタサンブラックが主人公となり、トーカイテイオーへの憧れが走る動機のほぼ全てだった彼女が、自分なりの目的を見出していく物語となっている。

13話ある中で何度かの挫折と成長を繰り返して進んでいくのだけれど、これがどうしても同じパターンのループに見えてしまう。見せ場であるはずのレースにしても、前期までってこんなに走ってたっけ?と思うくらい頻繁にあるがために、そのぶん興奮も散らされてしまっている。
観る側の「飽き」もあるとは思うけれど、今期はキタサン一人にかける比重がかなり大きく、ライバル枠であるサトノダイヤモンドやシュヴァルグランが薄くなっていることも無視できない。

一応、彼女らにもスポットが当たる回があるにはあるのだけれど、唐突感があってキタサンの添え物にしか機能していない印象が残る。たった4話でそのあたりを巧くカバーできていた『Road to the Top』を観てしまっていることもあって、物足りなさは否めないところだ。

ただ忘れるべきでないのは、このシリーズは史実の競走馬に起こったイベントに沿う、というある種のノルマ(カルマ?)を背負っていること。そのため、通るべきマイルストーンが初めから決まっていて、どう道筋を掻い潜るか、という縛りプレイが製作陣には求められていることになる。
特にキタサンはその引退までを描こうということで、かなり苦労をしたのではなかろうか。そういった意味ではナイスファイトと讃えるべきなのかもしれない。CV矢野妃菜喜さんは、さすがにもう「うぉぉー!」のバリエーションなんて出ねぇよ!とキレて良い。

これまでに比べて、ということで否定的な要素を並べてしまったけれど、一話一話、要所要所を見ればちゃんと考え込まれているし、キメるところはキメてくる。
美少女アニメに見せかけたシンプルスポ根、というマナーは損じておらず、過度な競争を否定する向きの強い今の世の中で、それでも結果を出すことの意味を考えさせてくれる作品は貴重。

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案の定サトノダイヤモンドを好きになるわけだけれど、彼女にはキャラデザ含めて南ことりに似た重さとクラッシャーの素質を感じたりした。スーパーヤンデレスピンオフちょうだい。