真田ピロシキ

ゾンビランドサガ リベンジの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

ゾンビランドサガ リベンジ(2021年製作のアニメ)
3.9
お前ら、佐賀なんてど田舎のゾンビィの癖に妙に泣かせようとしてるんじゃないんじゃーい!

シーズン1では全然取り上げられず福岡扱いされてるのかと思った鳥栖がようやく登場。しかしそれはサガン鳥栖のホーム駅前スタジアムライブでの無惨な大失敗というものでやはり鳥栖は佐賀ではないと思ってるのか?鳥栖市民が佐賀市の方に行くことあまりなさそうだもんな。30分もかからないで博多に行けるんだぜ。どん底を味わったフランシュシュは抱えた借金をバイトして返しながらアイドル活動を再開する姿が描かれて、この地道な描写がフランシュシュを身近な存在のように思わせ感情移入できる。今時のアイドルは距離の近さが重要だからね。またその中で純子が人形を作ってて地方の伝統を継承しようということも伝えられててこういうところが本当に上手い。借金はギャグのようなご都合展開で済まされるのだが、たえでやるならそれも許せる気がする。

各々が掘り下げられ、リリィに対する野心家で裏表のある天才子役ライトや愛が生前初代センターを務めていたトップアイドル アイアンフリルなど関わりが佐賀の外まで広がりフランシュシュの躍進を感じさせる。ライトは夜神月のような顔で「計画通り」と口にして、まずこのアニメのメインキャストに宮野真守がいるので狙いすぎててウケる。アイアンフリルは「佐賀なんて辺境に埋もれてないでこっちに来なさい」と愛を引き抜こうとする。元々愛は東京の人間で佐賀が辺境なのは全く持ってその通りであるけれど、命を落とし蘇った佐賀こそを自分の居場所として上から目線な東京もんの誘いを突っぱね対等の存在として認めさせる。この態度いいよ。佐賀に限らず地方の田舎県は人が少なくて都会から移ってもらわないと立ち行かないからね。移住者にも佐賀んもんのアイデンティティを抱けると示さんといかんのよ。分かってる。ちなみにこの回で取り上げられた佐賀アリーナは本来は来年2023年オープン。こけら落としはユーミンだそうだ。佐賀でこんな大きな箱の採算取れるのかなと思う。明治期に佐賀に身請けされた伝説の花魁ゆうぎりも愛と同じ存在。佐賀で長く生きてたのに一時期長崎と三潴に分割統治されてたのは初めて聞いて嘘かと思ったら本当だった。三潴がそんな大きなところだったなんて。佐賀県は幕末の鍋島、大隈、江藤、島といった七賢人の功績は喧伝しまくる癖にこんな不名誉な歴史は教えてない。大体私は幕末の佐賀はスゴいアピールは死ぬほど恥ずかしく感じていて、ゆうぎりの過去話でそういう流れになったら嫌だなあと思っていたのだが、失われた佐賀を取り戻そうとする名もなき人々の姿は現状の過疎化した佐賀と通じさせ、偏狭な郷土愛にも行っておらずバランスが良い。

駅スタリベンジを前にして未曾有の大水害が発生するのは今年こそなかったが、近年の佐賀周辺ではお馴染みとなった現実の光景を思い出させる。特に武雄がよく水没してるのよね。それと佐賀の真隣の久留米。そんな被害に見舞われながらも、佐賀は沈みはしないと再起を一度死んだフランシュシュが促すことの意味。フランシュシュの存在は県民ですら小馬鹿にしてる佐賀のみならず、何度だってチャレンジできると世の負け犬に訴えかけててカバーする人が多い。そこまで深く考えてはいないかもしれないが、喋れず奇行ばかりなのに立派なメンバーとして愛されるたえはハンディキャップを持った人へのエールなのかもしれず、そう考えるとこのアニメは見た目と出オチっぼい設定に反してかなり真剣。ご当地アニメの大成功例になってるのはそれだけの理由がある。外には様々なPRを欠かさず、地元の人には卑屈にさせず気づいていなかった良さを発見できる内容。佐賀生まれで佐賀嫌いの自分ですら心に大いに響くものがある。ネタ無罪で地方を侮辱しまくった『翔んで埼玉』のクソは一度死んでから出直してこいや!あんなゴミの1億倍素晴らしい。

この手の美少女アニメにしては上品でいやらしく感じる演出はあまりない。そもそもゾンビだしね。入浴シーンがあってもあの肌だし露出も極めて少なくここは『ゆるキャン』以上かも。1ステージだけメンバーになったマイマイだけは巨乳すぎるのがキモくて減点。ドジっ子で花澤香菜。あざとい。サキの佐賀生まれのスター ホワイト竜(白竜)への想いは『下妻物語』におけるイチゴの尾崎豊信奉と重なる(笑)巽とさくらの物語やゾンビのタイムリミットなどまだまだネタを残して続きへ。あの『インデペンデンスデイ』は一体?映画でやるのかな。佐賀の映画館で見るから期待してるよ。