あんへる

無職転生Ⅱ ~異世界行ったら本気だす~ 第1クールのあんへるのレビュー・感想・評価

4.1
エリス喪失の絶望からの再起、そして舞台はラノア魔法大学へ。

意味合いとしては、あくまでルーデウス(前世の男)の無職転生という大きなストリーム中の幕間でしかなかったのかもしれないが、心理描写や人物描写、このレベルのディテールを自然と作劇に落とし込めるような異世界転生作品って他にあるのだろうか?
確かに1期と比べると画的な満足度がガクンと下がった感覚はあるが、それでも有象無象、粗製濫造品とは決定的に質が違うだろう。

ルディの失意からの再起と同時に、〈フィッツ先輩〉から〈ブエナ村のシルフィエット〉への再帰を描く物語でもあった。これも1期同様、主人公かそれ以上にヒロイン視点を重視する一貫した作品性が感じ取れる。
なかなかに際どい描写も目立つ作品ではあるんだが、その本質やテーマ性は極めて王道的かつ普遍的なものに感じる。だからこんなにも心が動くんだろうな。
またOPはルーデウス視点、EDはフィッツ(シルフィ)視点のイメージで構成されているのも非常にグッとくるポイント。
個人的にED曲の大原ゆい子さんの「ムスビメ」がすごく好き。

しかしここで思い出してほしい、というか決して忘れてはならないエリスという存在を。
原作のフィットア領帰還後の“例のシーン”のエリス視点を読んで、彼女の心情を胸に刻み込んだ上で改めて今期を観てみたんだが、、
いやぁ…複雑、というか、エリスに感情移入した状態で観るとこんなにも胸が張り裂けそうになるもんなのかよ。
エリスとシルフィ、謂わばドラクエⅤのビアンカ・フローラ論争に通づるものすら感じる。w
いや、正確にはこの場合フローラは存在しないな。言うなれば違う世界線を生きてきたビアンカが2人いるイメージだ。(伝われ)

つまり何が言いたいかって、負けヒロイン救済委員会の会員目線で観てしまうと、「わりぃ、やっぱつれぇわ」ってことですねぇ。←
来年の2クール目を震えて待ちます。
あんへる

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