あんへる

冴えない彼女の育てかたのあんへるのレビュー・感想・評価

冴えない彼女の育てかた(2015年製作のアニメ)
3.8
【2015年冬アニメ作品{全13話}】

先日、最早そうなった経緯すら覚えていないが、いい歳した野郎数名でラブコメアニメをテーマにオタ談義を繰り広げていた。
その時にゴリ推しされた冴えカノFine(映画)を観るため、まずはTVシリーズから観る事に。

とは言っても、一応リアタイ時に観てはいるんですよね、1期の序盤までは…。
別につまんないから切った訳じゃなく、シンプルに当時4話か5話くらいで録画失敗してそのまま放置してたパターン。
劇場版公開のタイミングで観直そうとも思ったが、何だかんだで観ないまま映画も見送り現在に至る。
いつか観よう!と思ってても、タイミングを逃すと意外にズルズルいっちゃうもんですよねーww

と、まあこんなクソどーでもいい言い訳と前置きはこの辺りにしておいて…
つまり何が言いたいか、それは偏に今までこの作品を放置し、軽んじ、蔑ろにしていた分際でのうのうとラブコメについて知ったような口で語っていた自分が恥ずかしくて、許せなくて、今すぐコ○してやりたい気分なのですよ。(●´▽`●)にぱー☆←

ってのは色々言い過ぎにしても、何故もっと早く観なかったのか、と軽く後悔した。
少なくとも、やっぱりFineはリアタイ時に劇場鑑賞するべきだったなぁ。
そのくらいクオリティが高い作品だったと今更ながらに気が付いた。



こっからはレビューっぽいことも書きますね。←

原作はゲームのシナリオライターとしても知られる丸戸史明氏の同名ラノベ。

個人的には丸戸史明っていったら、俺の人生を歪めた作品の一つと言っても過言じゃないホワルバ2がまず真っ先に浮かぶんだけど。。
…まあこれ以上話が脱線すると面倒なんで割愛します。w

究極の同人ゲーム(ギャルゲ)を作るべく、クリエイター(という名のヒロイン達)をかき集めるお話。
そう、お気付きの通り端的に言えばハーレム系ラブコメってやつですな。

もう見るからに、如何にもなオタ向けで非モテ男子共の妄想と怨念を投影したような今更感満載の使い古されたお話ではあるんだけど、この作品の優れている所はその表面的には誰もが倦厭するようなテンプレ要素を逆手に取っている部分にある。


大前提として、まずこの作品というか、もし仮にラブコメアニメにリアリティを求めている人がいるとするなら、恐らくその方が観てもただの時間の無駄だと思う。
基本的に自分は〈ラブコメアニメ〉と〈現実性〉は双極にある言葉だと思ってる。
現実的には決して味わえない、乖離した要素こそラブコメアニメの醍醐味だと思っているんで。

ただ、勿論何でもかんでもぶっ飛んでれば良いってもんでもない。
そりゃあ当然、最低限物語として破綻しない程度には自然じゃないと本末転倒だからね。

まあ本作は、SF要素とか宇宙人なんかが出てくるような手合いの作品じゃないにしろ、ラブコメものとして絶妙なバランスとラインを攻めてると思う。

現実的に考えて設定も展開もんな訳ゃない、只々ご都合主義の連続。
一見するとそんな印象を受けるが、でもそこには確実に計算と伏線が隠されている。
謂わば作中の〈ギャルゲ〉や〈ラブコメ〉といった題材自体が持つメタ的な構造やご都合主義そのものをネタにする高度な描写と手法で構成された作品とでも言ったところだろうか。

ある意味、その多層構造的な部分を正しく認識し理解するのは沼のその先に足を踏み入れた人種の領分ではあるんだろうが、相対的にラブコメとしての作品の敷居は高くなってしまっている気もする。
その点、どのタイミングで誰が観ても無条件で楽しめるような作品とは言い難いのかもしれないが、ある程度の玄人オタならきっとこの秀逸さに気付けると思う。


あとは、なんと言ってもヒロイン達が魅力的。
理屈云々じゃなくて、結局ここがラブコメものに於いての最重要ポイントなんだよね。

仮面お嬢様にして重度の二次オタ、その正体は18禁物の人気同人イラストレーター、『あんたバ○ァ?』系幼馴染&ツンデレ金髪ツインテハーフキャラの“澤村・スペンサー・英梨々”

学園の優等生にして高嶺の花子さん、その正体は新進気鋭の売れっ子ラノベ作家、首傾げ系ドS&ヤンデレ黒髪ロング雪女先輩キャラの“霞ヶ丘 詩羽”

従姉妹にして真の幼馴染、ガールズバンド「icy tail」のギター兼ボーカル(作曲も行う)、都合の良い愛人系サービス回&プロレス要員、非オタだけど空色デイズで天元突破キャラの“氷堂 美智留”

そして、影も印象も薄く感情の起伏も乏しい不確定要素の塊、ゲームのメインヒロイン担当にしてフラグクラッシャーキャラの“加藤 恵”

この時点では一人キャラ付けや物語に於いての役割が明らかに不明瞭な加藤恵。
対象的にキャラが猛烈に立っている他の3人。
何よりこのヒロインズが織り成す構図、コントラストが素晴らしく美しい。
桜の舞い散る坂道で二人が初めて出逢うシーンはテンプレ的であるからこそ痺れるし、演出的にも映える。

キャラデザには変な癖も無く上品な印象。
作画も終始安定してて丁寧、声優陣も実力派で安心感がある。

ED曲の「カラフル。」は何故か当時カラオケで滅茶苦茶歌ってたw
中毒性のある名曲だと思う。


言っても1期はあくまでメンバー集めに終始したパート。
本筋のゲーム制作や倫也とヒロイン達との関係、物語が大きく動き出すのはここから。

ちなみに、個人的に0話は1期の一番最後に観た方がいいかと。(サービス回です)


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[主題歌]

OP
春奈るな「君色シグナル」

ED
沢井美空「カラフル。」

[挿入歌]

加藤恵(安野希世乃)「M♭」

澤村・スペンサー・英梨々(大西沙織)「Blooming Lily」

氷堂美智留(矢作紗友里)「空色デイズ」、「Cherish you」

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