あんへる

色づく世界の明日からのあんへるのレビュー・感想・評価

色づく世界の明日から(2018年製作のアニメ)
3.7
【2018年秋アニメ作品{全13話}】

放送当時は途中切りした、なんとなく。
なんだろうな、最初に監督の名前を見て、凪あすファンだった身としてはなーんか無駄にハードル上げちゃった感があったのかなぁ…?

今期放送中のPAの新作「白い砂のアクアトープ」は視聴継続中。
見たら監督(篠原俊哉)、シリーズ構成(柿原優子)、キャラデザ(秋山有希)と制作陣が同じだったので、興味が湧きこのタイミングでまたなんとなーく再視聴してみた。(改めて観るとアイキャッチのデザインとか結構似通ってるよねw)
で、今度は無事に完走できましたよっと。


幼い頃に色覚を失い心を閉ざした女の子が、魔法の力で60年前の時代にタイムスリップし…という流れから始まる物語。
現実的でありながらも当たり前に魔法の存在が周知されている少し不思議な世界観。
基本ファンタジーなんだけど、随所にリアリティのある青春ドラマが描かれている。

細かい事を言えば気になる点も多々あるが、全体的にはロマンチックで美しく纏まったストーリーだった。
途中若干の中弛みがあって退屈に感じる部分もあるにはあったが、構成を考えれば決して出来は悪くないと思う。
特にラストが素晴しかった。
程よい余韻と含みを持たせながら、きっちりとタイトル回収も忘れない。
美しくも切なさを孕んだ見事な着地だった。

色彩を意識した演出と構図も見事だった。
瞳美が見るモノクロ視点からの色付く世界の描写、エフェクトを効果的に用いて映像と物語を彩っている。まさに芸術的。
物語の舞台となる長崎の風景描写、圧倒的な背景美術の存在感。
言うなれば〈動〉ではなく〈静〉の世界。
一枚絵のような止め絵のカットにここまでストーリー性と説得力を持たせることができているのは流石としか言いようがない。

やたら作画作画と言われているが、どちらかといえば着目すべきは作画より背景美術の方だと思うのだけど…。

主題歌の良さもPA作品群では御馴染みの要素の一つではあるが、御多分に漏れず本作も素晴らしい。
特にOPが良いね。楽曲と作風の親和性とかわざわざ言うまでもないが、曲のエモさが無条件で作品を格上げしてくれている感覚。
OP映像も美麗で拘りを感じるし、作中で味わい深いシークエンスになっている。


ただ良い作品ではあるんだけど、あまり長期的な印象には残らない感覚が何処かある。
おかしな言い方にはなるが、絶妙に“薄い”というか、低カロリーで消化が良いというか。
重量感が無い分背負わされるようなものもなく、正直若干の物足りなさが否めないところでもある。
まあこれもある意味、近年のPA作品らしいと言えばそうなのかもね…(不本意ながら)


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[主題歌]

OP
 ハルカトミユキ「17才」

ED
 やなぎなぎ「未明の君と薄明の魔法」


[挿入歌]

 やなぎなぎ「color capsule」

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