ぼっちザうぉっちゃー

D.Gray-manのぼっちザうぉっちゃーのレビュー・感想・評価

D.Gray-man(2006年製作のアニメ)
4.0
まさに王道ダークファンタジーというような風体と、程よく作りこまれた世界観が魅力的だった。

まずAKUMAの誕生には機械、魂、悲劇、が必要といういかにも宗教的な設定が面白くって、禍々しく痛々しい身体表現と機械的な肉体の対比、そして製造時のプラモの原型みたいな表現などどこかメランコリックな感じがインパクトあった。
そして全体のヨーロッパ的雰囲気のなか、衣装にしろAKUMAにしろ彩度低めのゴシックで統一されていて、特にエクソシストのフード付き外套等のパンクなビジュアルには、クロムハーツ的なイケを感じた。

主人公が熱血じゃなく慈悲と情けを持った人物なのが良くて、勢いで何でも解決とはいかない世界のトーンを形作っていた。
そしてなによりかによりリナリーがかわええ。cv伊藤静は言うまでもなく、ハイツインテールに凝縮されたガーリーさと脚に宿るイノセンスの優美さが好きすぎる。もう少し産まれるのが早くて放送当時リアルタイムに出会ってたりしたら確実にガチ恋候補だったと思う。

またシリアスな内容とは裏腹に、コミカルな表現も多くて楽しめた。
『バットマンリターンズ』のペンギンみたいな千年伯爵だったり、ポンコツアクマやピュアでいたずらっぽいロードキャメロットが喜劇的な演出をもたらしていたし、黒の教団たちの茶番をはじめとするサブや裏方のお茶目で砕けた空気は「ハガレン」的でもあって親しみやすかった。
そのなかでキャラを大切にし、序盤で登場したミランダや吸血鬼クロウリーがエクソシストとして終盤まで活躍するアツさも感じることができた。
ちなみに、たまのゲスト声優が豪華なのも嬉しいポイント。
しかし切ない音楽が良いだけに、バトル時の盛り上がるやつとしてももう少し強いのが欲しかったところ。

終盤はひたすら主人公イジメと敵のインフレが加速し結局おれたたで終わってしまったけれど、対伯爵と救済の大筋の他にも、能力バトルや同じ一日を繰り返す町など、イノセンスの性質が生む奇怪現象を扱う小回りの効いたエピソードがあったりで、それなりの長編ながら飽きずに観られた。