三樹夫

SSSS.GRIDMANの三樹夫のネタバレレビュー・内容・結末

SSSS.GRIDMAN(2018年製作のアニメ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

『電光超人グリッドマン』はウルトラマン+勇者シリーズといった作品であるが、このアニメは過去のウルトラシリーズを思わせる特撮要素に、変形合体ロボ要素が加わり、最後に特撮フォームのグリッドマンに変身し「夢のヒーロー」が流れるにふさわしい、『電光超人グリッドマン』の正当なアニメリブート作品になっている。「夢のヒーロー」が流れ出した瞬間の熱さは爆アゲ。
ツインテールを思わせる怪獣が出てきたり、裕太がハヤタを思わせる設定であるなどのウルトラシリーズ要素や、キャリバーを構えた時が勇者パースだったり、フルパワーグリッドマンに合体する時のアングルが勇者シリーズの合体を思わせたりの勇者シリーズ要素など、特撮&変形合体ロボオマージュが散りばめられている。他にも、ツツジ台が作られた世界だと判明する元ネタは『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』であろう。

主人公は裕太というよりアカネとなっている。最終話一番最後のベッドから目覚める少女はアカネであり、アカネは言わば3次元の人間で、今まで観てきたのはアカネが創造した2次元の世界だったという、『勇者特急マイトガイン』の最終話みたいな終わり方をする。このアニメのグリッドマンて現実世界で戦っているけど、『電光超人グリッドマン』は電脳世界(現実世界とは別の架空の世界)でグリッドマンが戦う話なのにそこのところはアニメは引き継がないのかなと思っていたら、最後の最後で今までグリッドマンは現実世界とは別の架空の世界で戦っていたという構造に納まり、『電光超人グリッドマン』の構造をしっかり引き継いで終わるというオチのつけ方には感心した。
このアニメはアカネが自身と向き合い目覚めるという話であったということが最後で判明する。アカネはちょっとしたことで気に食わない人間を消そうとしたり、アンチへの接し方が酷かったりなど幼稚で孤独な人間で、現実世界でもおそらく碌に友達もおらず、上手く馴染めていないだろうことが想像できる。まあ、そんな人間だから現実逃避的な世界を創造するわけだが。なのでアカネは観ていてあまり好感の持てるキャラではない。しかし9話「夢・想」はアカネの持つ孤独さが描かれた切ない回かつ視聴者をアカネへと感情移入させる回であった。アカネが主人公だったんだと腑に落ちるあたっては六花という存在が大きい。六花マジでいい奴。最後の部屋で、友達となったアカネと六花が話しているシーンは込み上げるものがある。

ブレスレッド型の変身アイテムは昔の特撮を思わせ懐かしい。ただ『電光超人グリッドマン』放送時期近くの戦隊ものは、ダイノバックラーやドロンチェンジャーなど非ブレスレッド型の変身アイテムだったりするが、2000年代より前の変身アイテムといえばブレスレッド型のイメージがある。
このアニメの怪獣は破壊衝動のメタファーとしての怪獣となっている。気に食わねぇ先公とか同級生をぶっ殺したいという気持ちの具現化としての怪獣という、正統派な怪獣を久々に見れた。
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