真田ピロシキ

カウボーイビバップの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

カウボーイビバップ(1998年製作のアニメ)
3.9
実写版を見てみようと思い久方ぶりの復習。多分前回から15年以上は間が空いてて4回目くらいになるのかな。最初はリアルタイムで見てたので伝説の打ち切り最終回も見た。そんなに見てる割に特別好きな訳ではなくて確かにカッコいいアニメであるけれど、それが「どうだ。クールでニヒルな大人のハードボイルドだろう」と言わんとして気負いすぎてるように度々感じられてどうにもむず痒い。スパイクやジェットに慢性的な金欠を嘆かれてもそんな俺も渋いオーラがあって、ルパン一味に比べると3枚目描写もどこかいけ好かないのだ。不二子ちゃんキャラに見えて寂しがり屋を隠せないフェイのようにイマイチハードボイルドを通せてないキャラの方が好きかもしれない。話で言うとビシャスやジュリアが出てくるスパイクのエピソードはそんな固すぎるハードボイルドで苦手だった。謎の宇宙生物やヤバいキノコ、アンディといったコメディエピソードの方が好み。子供がいるのも酒、タバコ、訳ありの女と並んでハードボイルドのクリシェかもしれないが、誰にも束縛されず束縛せずに自由に逞しく生き抜くエドはフェイよりも余程喰えない奴で、そんなエドとアインが目立つ話は良くて今でもスピンオフのカウガールエドを作って欲しいくらい。次回予告ではバリエーションに富んで遊んでいて、色々なジャンルを横断する各エピソードの多様さにはどこかしらで刺さる人も多いかと思う。これで完結でなくてシリーズ化されていればルパンが2ndでより広がりを持ったようになっていたかもしれないが、作り手はそういう大衆性を望まなかったのかもしれないね。

ブレードランナーのようなアジアンテイストな世界観で本作の少し前に攻殻機動隊が受けてるのでそこまで珍しいものではないが、今回よく見るとハングルが表記されてたのを発見して1998年にこれは今を先取りしてる。地球が地上には住めない環境なので太陽系の様々な星に植民してて星ごとに生態系など細かい設定をされてるのはSFとして面白く、ガニメデだかエウロパのデカデカと木星が見える景観や金星のテラフォーミング植物など世界観に浸るだけでも楽しい。ちなみに今から50年後の話だ。夢があるね。アクションはメカアクションも多いが、見所はスパイクのジークンドーにおける速く流れるような動きやガンアクションのリアルっぽい泥臭さで、ビシャスを相手に刀対銃という現実的にはあり得なさそうな対決もあるがそれも銃による鍔迫り合いのような嘘を交えつつそれらしく描かれてて面白い。この手の対決では刀が勝つのが相場だがギリギリの所で銃に勝たせてるのは煮え湯を飲まされてきた銃派の溜飲も下がるだろう。ビシャスの声優は若本規夫でもうすっかり若本というキャラクターを演じる人のイメージがついていたのでビシャスもそんな若本演技の声で記憶していたのだが、実際に聞いてみると全然違って今となってはとても新鮮な若本キャラに感じた。実写版の吹き替えはスパイクとフェイはアニメ版と同じようだがビシャスもそうなんですかね?見る楽しみが増えた。