あんへる

NieR:Automata Ver1.1aのあんへるのレビュー・感想・評価

NieR:Automata Ver1.1a(2023年製作のアニメ)
3.9
正直、嫌な予感しかしないアニメ化だったんだが、想像以上にちゃんと作り込まれていて安心した。
プロモーションもそれなりにしっかりやって、それなりのコストやリソースの注がれたアニプレの作品はやはり信用できるってことなのか。

とはいえ、色々ハードル高めなアニメには違いない。
原作既プレイ勢やヨコオ信者の方々ならこの意味を理解していただけると思うが、これを「独立したアニメ作品」として観るのは結構厳しい。
まぁアニメ化するって時点である程度わかってはいたことなんだが、劇中の情報量として、本作の構造上仕方がないとはいえ原作ゲームや過去作に依存している部分が相当に多いなと。
コアなファンにとっては最大の見所でも、同時に一定数の初見勢は置いてけぼりになってしまう。ゲームとアニメの情報の描かれ方の違いに加え、この手の映像化作品にとっての最も難しい所というか永遠の課題みたいな部分ではある。
特にヨコオ作品みたいな、たかだか2クールそこらの尺でどうにかなるような生易しい情報量のコンテンツじゃないなら尚更だよな。

詰まる所、ざっくりとした世界観やキャラクターの魅力を楽しむだけでも十分価値のある作品だとは思うが、それ以上の楽しみ方を求めるなら最低限原作全ルートプレイ済って前提条件付のアニメって印象。
ただ、完全な既プレイ向けってほど理解不能で敷居の高いストーリーラインとは思わないし、画作りにも確かな拘りと見応えが担保されていて、諸々のクオリティ自体は普通に高い。
ある程度「万人に受け入れてもらえる映像作品」に調整されてるのは流石だと思う。バランスって大事よね。

あとは、ED曲のamazarashi「アンチノミー」がとにかく素晴らしい。
まさに“2Bに捧げる名曲”といったニュアンスの凄まじく秀逸な楽曲だと思う。
何より「命にふさわしい」と歌詞面で対になっている部分があるように感じるのが堪らなく沁みる。

2クール目に関してはおそらく原作のCルート以降をベースに描かれるんだろうけど、できるだけ制作陣には体制とスケジュール管理に余裕を持って満足のいくクオリティに仕上げてほしいと願うのみです。
あとは再び花江夏樹の喉の心配をしなくてはなるまいて。
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