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DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機のragaのレビュー・感想・評価

4.8
利権に走る製薬会社は、本来の理念とは程遠い "人びとの尊厳" を軽視する横暴へと突き進む。鎮痛剤オキシコンチンの悪用や乱用が、過剰摂取による中毒や死に至る不幸をもたらしてしまう。より過剰に摂取するよう扇動する製薬会社の売上と中毒者数は共に増加していく。権力を確固たるものにする企業相手に検察は真っ向から訴訟に挑む。時系列を交錯させながら、各人を苛む薬物依存からの脱却が出来そうで挫折してしまう過程に人間の心の弱さと怖さを描く、この構成が卓越している。そして拝金主義がもたらす非人道の所業に私たちは立ち止まって考えよう。資本主義は本当に豊かな生活へと導いているのか、消費者が過信する利便性や心地良さの代償は企業によって意図的に隠されている。この社会問題でもある "自国の恥部" をさらけ出すこのドラマの姿勢に驚嘆する。その点、日本はまだまだ後進国である。
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