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TOKYO VICEのragaのレビュー・感想・評価

TOKYO VICE(2022年製作のドラマ)
3.0
外国人記者から見た日本という閉鎖社会を捉える主題は良い。それが前半のガイジン差別であったり、警察広報の域を出ない新聞社デスクの指針が、主人公ジェイク(アンセル・エルゴート)の憤る日々を通して、日本という島国に提言している。しかし後半に進むにつれてヤクザが暗躍する裏社会のノワールサスペンスというカテゴリーに収まってしまい物足りなさを感じる。ならば、関西から乗り込んでくる戸澤組組長をもっと複雑なキャラにすべきであり、ジェイクと微妙な距離感を保つ千原組組員の佐藤(笠松将)と白人ホステス・サマンサ(レイチェル・ケラー)の恋愛模様は不要に思える。端的にいうと、SEXシーンが面白く描けていない。もっと人間の滑稽さを描いてこそ、日常に潜む暴力・犯罪の怖さが浮かび上がってくるのではないか。社会に対する沈黙は、世間(周囲)の目を気にするこの国特有のアイデンティティーであり、そこにメスを入れる調査報道の大切さを主軸に持ってくるべきであろう。なんたって次シーズンありきの最終話はいただけない。
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