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桜散る季節の夕刻。執筆に頭を悩ませる、スランプ中の作家・溝呂木舜（北村有起哉）のもとに1本の電話が入る。それは、藤乃朱（前田敦子）がビルから飛び降りて自殺したという知らせ。顔のつぶれた死体となり横たわる朱の姿にショックを隠せない溝呂木。彼の前に、朱と同一人物かと見まごうほどそっくりな顔の女・三木桜（前田敦子）が現われる。彼女はなぜ、溝呂木の前に現われたのか……？

自身の才能の枯渇におびえる作家・溝呂木舜は、三木桜が持つ原稿を手に入れたいあまり、彼女の誘惑に負け、体を重ねてしまう。一方、刑事・海馬芳嗣（武田航平）は藤乃朱の死に疑問を抱き、調査を進める。顔のつぶれた死体だけでは、死んだのが本当に朱かどうか判断できない。朱と桜は同一人物ではないのか……。では、死んだのは一体誰なのか……。朱と桜とつながりのある唯一の人物、溝呂木への疑惑が色濃くなる……。

藤乃朱が書いた「ウツボラ」の原稿を持つ溝呂木の担当編集者・辻真琴（藤原季節）は、溝呂木への憧憬から、盗作の疑念をひとりで抱えていた。しかし、溝呂木の古くからの友人である作家・矢田部理（渡辺いっけい）と女性作家・野宮愛（雛形あきこ）も同様に盗作を疑っていた。一方、朱の死の真相を探る刑事・海馬芳嗣は、三木桜の不穏な動きに目を光らせ、彼女が通う怪しげな闇医者にたどり着くが……。

藤乃朱の死の真相を追う刑事・望月剛（おかやまはじめ）と海馬芳嗣は、三木桜が整形で今の顔になった可能性に至った。海馬は朱が所持していた携帯電話の契約者・秋山富士子の行方を追う。その頃、次回の連載原稿を受け取るために、溝呂木は桜と会っていた。桜は溝呂木に特別な感情を抱き始めており、そんな自分自身に混乱していたが……。

行方不明の大学生・秋山富士子が三木桜であると確信した刑事・望月剛。自殺した藤乃朱と自身の自殺した妹を重ねて暴走しがちな海馬芳嗣を諭すため、原点に戻って調査するが……。桜は刑事の捜査の手が迫っていること、そして、溝呂木に拒否されたことをはかなみ、精神的に追い詰められていた。すべてを公にして溝呂木との関係を終わらせようと、朱を名乗り、溝呂木の担当編集者・辻真琴に接触を図る。

溝呂木舜が素人作家・藤乃朱の作品を盗作したという事実を編集長に告げた辻真琴。しかしながら、編集部の方針として「ウツボラ」は溝呂木の名前で連載続行すると告げられ、失望していた。彼の正義はあらぬ方向へ走り出し……。一方、刑事の望月剛と海馬芳嗣は「浅尾ゆかり」という新たな人物にたどり着く。顔のない死体は浅尾ゆかりであり、行方不明の大学生・秋山富士子＝三木桜を整形させたのも浅尾であるという推理だが……。

憧憬が深すぎるが故に、溝呂木舜に盗作の事実を直接突き付けた編集者の辻真琴。隠蔽の交換条件として溝呂木のめい・コヨミ（平祐奈）を要求するも、いざ彼女を目の前にすると、その真摯な想いと自分の行動の愚かさに泣き崩れてしまう。藤乃朱の死の真相に迫る刑事の望月剛と海馬芳嗣は行方不明の大学生・秋山富士子＝三木桜の住むアパートに富士子の兄・徹（アベラヒデノブ）とともに訪れるが、そこは既にもぬけの殻で……。

「約束ですよ。きっと彼女のことを書いてくださいね……」そう言い残し、溝呂木舜の目の前でビルの屋上から飛び降りた女性。自分の目の前にいた女性は、藤乃朱だったのか……？　それとも三木桜だったのか……？　溝呂木は深い困惑の中にいた。ついに「ウツボラ」の謎が明かされる。