デパルマ

石子と羽男―そんなコトで訴えます?―のデパルマのレビュー・感想・評価

4.0
女性パラリーガルと男性弁護士のバディドラマ。主にここ2年以内に話題になった現在進行形の実際の事件を元にしており、ほぼ毎回ラストで実際にその事件が取り上げられた「ひるおび」などの当時の映像が挿入される現実への向き合い方にプロデューサー新井順子の誠実さを実感する。主人公同士で付き合わないで歳下の後輩に告られて付き合うのも良かったし新鮮。第1話のクライマックスでは、中村倫也の後ろにいた有村架純が、発言する時に一歩踏み出し、発言が終わると一歩下がる。ドジっ子中村倫也をサポートするだけのいわゆる「わきまえる女」「女性にケアされる男性」を連想しなくもないシーンだ。しかし、最終回では有村架純が一歩前に出て、そのあと中村倫也が有村架純と足の向きと位置を揃えるシーンがあり、印象的にシーンを呼応させている。実際のパラリーガルと弁護士の力関係をよく知らないが、少なくともこのドラマでは対等な立場のパートナーとして描かれていた。ファスト映画を取り上げた第3話では、有村架純が弁護士に憧れた理由を「被害に遭われた方、罪を犯してしまった方の、再出発のお手伝いができることも素敵だなと感じて」と語るが、彼女がここ2年間で主演したドラマ「姉ちゃんの恋人」「前科者」はいずれも罪を犯した者とその人を支える保護者の物語だった。ちなみに「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」と「そして、生きる」は姉妹作だと思っている。社内パワハラを弁護士に相談するのは情けないと漏らした依頼人に「人間関係を円滑にするためのルール、それが法律なんです。そのルールにのっとり声を上げる行為は情けなくもないし、少しも間違っていません」と有村架純は伝える。そういえば最近、明石市は無料法律相談を週2で設けていると知った。このドラマを観て法律相談のハードルが下がれば良いと思った。石子と羽男は、法律と権利についての物語だった。視聴率も評判も良かったみたいなので2年後くらいに続編期待できるかも。
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