デパルマ

それでも、生きてゆくのデパルマのレビュー・感想・評価

それでも、生きてゆく(2011年製作のドラマ)
4.5
もう会えなくなった大事な人を思い出して最終回は泣き崩れた。心は癒えたはずだのに胸が潰れるように痛かった。死ぬかと思った。殺人犯の被害者家族と加害者家族が出会い、時間をかけて互いを理解し合いケアしていく傑作ドラマではあるけど、生きる意味を見失った人達が生きる希望=自分にとって大切な誰かを見つけるという普遍的なテーマに着地するのが凄い。このテーマは「いつ恋」「初恋の悪魔」まで貫かれる。痩せっぽっち猫背の満島ひかりと朴訥な瑛太の演技やヨレヨレのTシャツを着古してる綺麗綺麗じゃない演出が坂元裕二独自の口語文体と合わさって本当にいる人みたいだった。特に満島ひかりが本当にそういう人生を歩んできた人にしか見えない。元アイドルだのに。獣のような、あるいはある種超人のような犯人を演じた風間俊介も助演男優賞ものの匂い立つような演技。その点8話の大竹しのぶの演技は演劇然としたスーパリアリズム演技で大女優の限界点を見た気がする。風間俊介がレストランで見かけた小さな女の子も、電車から後を着けた女性も、相手がみな女性なのは性加害のメタファーに思える。盗撮や痴漢で捕まった人ははしばしば再犯しないためにカウンセリングを受けたり自分の衝動を抑えるために工夫をするものだが、彼にはそれが用意されていなかった。坂元裕二は「何よりわからなかったのは加害者の気持ち。本当に何を読んでも書いていないことで、最後までわからなかった」と回想していたが、思えば「初恋の悪魔」のシリアルキラーも完全な他者として描かれる感情移入を想定しない人物造形だった。なぜだか配信がほぼされないので、是非ともどなたかイメージビデオかと見紛うほどのえちちな佐藤江梨子のノースリーブおぱいを見て下さい。じゃなかった、配信されないけど是非ともどこかで全話見て下さい。
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