これは凄い。謝罪、子育てなど人生の重要な瞬間をリハーサルするドキュメンタリーシリーズだけど、思わぬ方向に話が進んでいく。第1話は学歴詐称を友達に告白したいおっさんのためにわざわざ行き付けのバーのセットを作り俳優を雇い、連続殺人事件系ドキュメンタリーばりのシリアスな音楽と表情で深刻そうに監督が見守るバカバカしさに腹抱えて笑う。第2話以降、少しずつステラ・アドラー（メソッド演技のアメリカにおける第一人者）を知らないネイサンがスタニスラフスキーに師事することなく概念としてのメソッド演技にたどり着いてLAの演劇学校生に接触する展開は胸熱。最終的には「親になるとは」まで行き着くアクロバティックな脚本が凄まじい。テレビドキュメンタリーとして放送したものなのに何の説明や口上もなく企画が始まったり、依頼人がこの理解しがたい企画を当たり前に飲み込んでいたり、気になる点もある。日本だといずれも竹村武司が手掛けた「山田孝之の東京都北区赤羽」「Aマッソのがんばれ奥様っソ！（性加害やグルーミングを示唆させる下品で幼稚なモキュメンタリー）」程度のものしか作れないんだトホホ…。ともかく次回作も観たい。
