さうすぽー

ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋のさうすぽーのレビュー・感想・評価

4.1
自己満足点 81点

ギレルモ・デル・トロのプロデュースによるオムニバスのホラードラマシリーズ。
ドラマというよりは短編映画集に近いかと思います。それくらい質が高いし完成度があります。

内容はギレルモ・デル・トロ版「世にも奇妙な物語」といった感じですが、1作ずつ観ていくと何となくデル・トロ本人が自身の作品で描いてきた内容や描写が多いので、その部分が面白いです。


第1話「ロット36」
白人至上主義の男性が借金返済のためにとある部屋の資材を金にするために売ろうとする話。こいつの因果応報といった内容で突っ込み所もありますが、ラストに出るクリーチャーはおぞましくて結構好みでした。

第2話「墓場のネズミ」
閉所恐怖症の人はトラウマになりそうな内容ですが、ネズミを追ってたらとんでもない目に合う内容。
正直内容は普通でしたが、こちらもモンスターのデザインは秀逸でした。

第3話「解剖」
内容としては今シリーズの中でも傑作!
とある事件の被害者の遺体を解剖するという、「ジェーン・ドゥの解剖」に近い内容。SFホラー要素が強いですがそのSF要素が面白いし、敵と主人公の心理的な攻防戦が非常に秀逸で最後まで見応えがありました!

第4話「外見」
周囲に馴染めない女性がとある美容クリームを手に入れた事で起こるスリラー。
恐らく多くの女性が共感するような内容で、主人公のように「外見」に囚われて精神的に依存してしまう方は多いだろうし、旦那の言うことは理解出来るけど、もしかすると「美容にはまる自分」を否定されると逆に傷付くのかもしれない。

ちなみに旦那役どこかで見たことある...と思ってたら、今話題の「VIVANT」で堺雅人の同僚のCIAサム役の人でした!

第5話「ピックマンのモデル」
絵画をテーマにしたゴシック調ホラー。
悪魔崇拝の絵画によって主人公の周りが不可解な事象が起こりますが、怖い絵画を観ると恐怖にメンタルが支配される様は自分も何度かあるので、共感しながら観てました。

第6話「魔女の家での夢」
ハリポタでロンを演じてたルパート・グリンドがまさかの主演で、奇しくもハリポタと同じく魔女が出てくるファンタジーという(笑)
正直今作が一番面白くなかったです。
主人公があまりに自分本位の行動を起こし、それによって色々と迷惑を掛けてるので微妙でした。
ですが、木の形をしたモンスターのデザインは良かったです。

第7話「観覧」
とある大富豪が6人を自宅に招待することで起こる密室ホラー。
密室ではありますが、どことなくデヴィッド・クローネンバーグの映画を彷彿とさせ、とある場面は完全に「スキャナーズ」を意識させています。
ただ、クローネンバーグほど独自の哲学性を持ったストーリーでも無いし不穏なホラーとして作られてたためか、若干物足りなさも感じました。

第8話「ざわめき」
今シリーズでは「解剖」を超えて第1位の傑作です!
とある湖の家に引っ越してきた夫婦の話で、妻が家で不可解な事象が起こるホラー。
鳥の音声を録音して、その音声から子供の声が聞こえる。テレビ番組の「お分かり頂けただろうか?」といった流れですがw、自分は聞こえないはずの声が聞こえるといった内容はかなり怖く、今シリーズで唯一"怖くて"視聴をストップするほどでした。
また、夫婦関係の悪化と修復といったヒューマンドラマとしても素晴らしく、ホラーとドラマ要素の両方で魅力された傑作でした!