大麦こむぎ

ももさんと7人のパパゲーノの大麦こむぎのネタバレレビュー・内容・結末

ももさんと7人のパパゲーノ(2022年製作のドラマ)
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このレビューはネタバレを含みます

会社に向かう電車の駅のホームで立ち尽くして、ベンチに座ってやっとのことで休む連絡をする。ももの姿はまさに過去の自分そのもので胸がズキズキした。
自分より頑張っている(ように見える)ひとがいたとしても自分が辛いのであれば辛いのだし、明確に言葉に出来なかったとしても「なんかやだ」って思うならその感覚は自分の中で大事にしてあげなくちゃいけない感情なんだと思う。

「死にたいと思わないで」と多くの作品が語りかけてくる中で、死にたいという感情を抱えながら生活することをこんなに穏やかに描けるなんて。そもそも死にたいと思うことは悪いこと、なんだろうか。そう思う風潮があるから余計にその感情を持ってしまったひとたちが上手く感情をコントロール出来ないでいるのかもしれない。ももが最後に言う「他にも寝られない人がいると思うと安心する」のように辛い時に辛い〜と一緒に言える人がいると、安心するのだろう。ちゃんと言葉に出来たなら。そしてそれをそのままの意味として聞いてくれる人がいるのなら。
死にたいと思う気持ちと、自分以外のひとに死んで欲しくないと思う気持ちが共存するというのは面白いなと思う。

「正常に見えるよう振る舞うしかないよね」の台詞がいちばんグッサリ刺さった。正常に見えるように。たぶん、わたしもそうしている。