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8代・吉宗公の薨去(こうきょ)よりおよそ20年の年月が流れ―平賀源内(鈴木杏)は、長崎・出島で蘭学の習得者探しに奔走していた。それは亡き吉宗公より「赤面疱瘡」の撲滅を託された田沼意次(松下奈緒)からの内命であった。源内はそこで蘭方医・吾作(村雨辰剛)と出会い、赤面疱瘡の解明に挑むため大奥入りを誘う。大奥入りを果たした吾作は名を青沼と改め、黒木(玉置玲央)の補佐のもと蘭学の講義を始めていくが…
青沼(村雨辰剛)の蘭学講義は、伊兵衛(岡本圭人)や家治の御台・五十宮も加わり賑(にぎ)わいを見せる。ある日、意次(松下奈緒)が源内(鈴木杏)を連れ立って講義部屋を訪れ、その真の目的は「赤面疱瘡の解明」と伝えられる。蘭学の習得にいっそう励む講義部屋の男たちであったが、ある偶然からその糸口を発見することに。その裏で、一橋治済(仲間由紀恵)は田安定信(安達祐実)に近づいていき…
源内(鈴木杏)は赤面疱瘡の治療法を「人痘接種」と名付け、青沼たちは大奥内で接種を望む者を募る。実績を増やし、徐々に大奥内での評判を広めようと試みるが、得体(えたい)の知れない治療への理解は思うように得られず…青沼(村雨辰剛)への反発も膨らむ一方であった。そして、意次(松下奈緒)も源内や青沼を引き入れた責任を擦(なす)り付けられ…懸命に歩んできた者たちを理不尽な暴力が襲う。
3代・家光以来の男将軍として就任した家斉(中村蒼)。しかし実権は母・治済(仲間由紀恵)に握られ、政治に口を出すことは許されなかった。が、秘密裏に赤面疱瘡の研究を再開させ、男子が活躍できる世を復活させようと考え始め、過去の人痘開発に尽力した者たちを探し始める。一方で、家斉の正室の御台(蓮佛美沙子)は大奥でうまく渡り歩くが、子供たちの不審死が立て続くようになり、周囲に不信感を募らせていくのであった。
黒木(玉置玲央)は、再び人痘の開発に尽力して欲しいと訪ねてきた家斉(中村蒼)に納得がいかず、追い返してしまうも、伊兵衛や家族の説得により家斉と手を取り合う覚悟を持つ。不穏な動きを怪しむ治済(仲間由紀恵)の厳しい目を避けながら、家斉と黒木は翻訳局を新たに立ち上げる。再び青沼や源内、意次と夢見た「赤面疱瘡撲滅」に挑んでいくが、ついには治済の耳に入ってしまうのであった…
熊痘により赤面疱瘡(ほうそう)が撲滅。男子による家督相続が広まった世へと様変わりを果たす。しかし12代将軍・家慶は娘の家定(愛希れいか)を寵愛し、次の将軍に指名する。老中となった阿部正弘(瀧内公美)は、事あるごとに家定に呼びつけられ、やがて彼女が置かれる境遇を知ることに。何か手立ては無いかと方々に救いを求めるうちに、芳町で出会った瀧山(古川雄大)を大奥にあげることで家定を守る砦を作ろうと奔走する。
家定の正室としてやってきた胤篤。薩摩が内部から幕政を操るために送り込んできた者として彼を警戒していた瀧山と家定だが、その美しい容姿に圧倒される。どこか掴めない胤篤に、油断はできないと心配する瀧山の一方で、家定は徐々に距離を縮めていくことに。家定の様子に安心した正弘は、意見がまとまらない井伊や堀田ら老中に挟まれながらも、家定から託された役目を果たそうと奔走する。
通商条約の調印を進めていた堀田の失態に加え、腹心の正弘の死が重なった家定の心痛は尽きない。ついには床に臥(ふ)せてしまったという知らせを聞き、家定を心配する胤篤のもとに瀧山から思いもよらぬ知らせが舞い込む。開国派と攘夷派の思惑がひしめきあう中、大老に就任した井伊は、反発を強める薩摩らを尻目に、徐々に立場を強めていく。条約の締結を推し進める井伊を懸念する瀧山と胤篤の気掛かりはやがて…
家定亡き後、14代将軍となった家茂は、徳川に向けられた諸侯たちの反感を抑えるため、井伊が推し進めていた公武合体で和宮を迎え入れた。しかし、朝廷から降嫁してきた和宮は偽物で、しかも女性だったことが発覚。観行院や土御門から事情を聞き憤慨する瀧山だが、当の家茂は冷静に受け止め、思いも寄らぬ決断を下す。事情を知ってもなお、和宮にあたたかく接する家茂に、心配を募らせる天璋院と瀧山だが…
弟の身代わりとして降嫁した成り行きを家茂に打ち明けた和宮。予想に反して好意的に受け止め感嘆する家茂に拍子抜けした和宮だったが、人の心に寄り添える家茂の思慮深さに触れ、次第に心が解きほぐれていく。慶喜から上洛を頼まれた家茂は、勝の助言を元に帝に直接、開国の意図を伝え説得しようと試みる。やがて和宮が総触れに現れるようになり、大奥内が落ち着きを取り戻してきた頃、京に残した息子を心配する観行院が取り乱し…
国の行く末のため、自らの身も省みずに心血を注いだ家茂が志半ばで亡くなったという知らせが入る。己の信念で私利私欲に動く慶喜の振る舞いが新たな争いの火種を生んでしまう。家茂の身を案じ、あれこれ手を打って引き留めようとしていた和宮の願いは届かず、暗い空気が流れる一方で瀧山や天璋院は、時代の移り変わりとともにかつてないほどの変化を強いられる。代々受け継がれてきた大奥はやがて…
(C)NHK