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THE DAYSのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

THE DAYS(2023年製作のドラマ)
4.7
2011年3月11日。東日本大震災が発生し、東電・福島第一原発のスタッフはパニックになる。
所長・吉田(役所広司)は職員たちに避難指示を出し、1号機と2号機の当直長・前島(竹野内豊)に状況を確認させた。
原発は無事に運転停止したかと思われた。
しかし押し寄せた津波が施設の電源設備を破壊。原子炉を冷却することができないどころか、状況さえつかめない。
吉田は前島と連絡を取りながら決死の決断を下すが…。
いっぽう、内閣総理大臣・東(小日向文世)は福島第一原発からの情報が乏しいことにフラストレーションをつのさせていた。
だが、それは悪夢の始まりに過ぎなかった。冷却機能を失った原発が暴走を始め、制御不能の状態に陥ったのだ…。
全8話からなる本作は、入念なリサーチを行い、3つの異なる視点から事故を克明にとらえた重層的なドラマ。「あの日、あの場所で何があったのか」を、政府、会社組織、そして原発所内で事故に対峙する者たち、それぞれの視点から描いた実話に基づく物語。
企画・脚本・プロデュースは、「
コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-」シリーズなど大ヒット作を手掛ける一方、「白い巨塔」「はだしのゲン」といった骨太な社会派ドラマを世に送り出してきた増本淳。「コード・ブルー」シリーズの監督として増本氏と長年タッグを組んできた西浦正記と、『リング』シリーズや『スマホを落としただけなのに』の中田秀夫がダブル監督を務める。
原案:門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊) 。

3.11の福島第1原発事故の終息に向けて、福島第1原発の吉田所長たち現場の人々、菅いや東首相など官邸、村上副社長ら東京電力、福島第1原発の作業員と家族と、多視点から重層的に余計な誇張を入れず、ドキュメンタリータッチで描きつつ、様々な想定外のアクシデントに知恵を出し合い原子炉の暴走を防ぐべく作業員たちが愚直に奮闘する姿、原子力安全保安院など責任逃れや曖昧な報告に苛立ちながら現場を自分の目で確かめ米軍の支援など各国間の連携した「オトモダチ作戦」を実行して原子炉の暴走を防ぐために粗削りながら奮闘する東首相の姿は、自民党よりと非難された映画「FUKUSIMA 50」よりはより公平な視点で描かれていた。
映画で事実無根と非難された「菅首相が福島第1原発に来たからベントが遅れた」と印象操作するパートは事実に即して描かれていたけど、「菅首相が「撤退などあり得ない」と吉田所長に檄を飛ばす」くだりは相変わらずそのまんま描かれていたのが、残念だった。
ラストで吉田所長が言う長台詞のくだりは、希望の光と原子力発電を過信した人の愚かさの負の遺産を、改めて見つめ直さなければならないと、再認識させる重い問題提起を込められ、役所広司たち演技派俳優のアンサンブルが見応えあるた社会派ヒューマンパニックサスペンスドラマ。
「俺たちはここで負の清算をし続けている」
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