たかしんぐ

作りたい女と食べたい女 シーズン2のたかしんぐのレビュー・感想・評価

4.5
シーズン2になって初めて本番といった形。

シーズン1で野本さんが春日さんに対して恋心を抱いたというところで終わり、シーズン2ではその続きが描かれる。

新しい登場人物としては南雲さんと矢子さん。
この2人が野本さんと春日さんと交わることで物語がどう展開されていくのか。

いわゆる原作に忠実かというと、一部オリジナルストーリーもあったり、ドラマ版だけでしか出てこない人物もいる。それを踏まえて感じたのはとても丁寧に作られているということ。
前シーズン同様に15分という枠で展開される話が実にちょうど良い。これが1時間や30分の枠だと良くなかったと思う。

この15分の回を追うごとに少しずつ変わっていく関係性が本当に丁寧に作られている。漫画とは違うスピードで、ゆっくりとじっくりと描かれていると思った。

シーズン2の一番の見どころは原作でもあるが、春日さんが家族と絶縁する話。
そして、野本さんが春日さんに告白するシーン。
いずれも2人の気持ちが痛いほど伝わってきた。

また、世の中の生きにくさや普通と違う生き方(いわゆる一般的な価値観)に対して、それに向き合った上で自分の生き方を決めるということ。この難しさやそれを否定せずにきちんと大事に、真摯に向き合っていくところを描いていてとても良かった。

このドラマに出てくる人たちは特別ではなく、あくまで普通なのだ。
その普通の人たちの何気ない生活をのぞき見るドラマだ。
何か言い出せなくて、もやもやしたり、ちゃんと思ったことを言おうというだけの話もあるが、それが良いのだ。日常系とは違うかもしれないが、その日常がとても恋しく思える。ひいては、視聴者が過ごす日常すらも愛しく思えてしまうようだ。

このドラマは問題提起の側面もあるが、料理を通じて生活することの愛おしさを描いた素敵なドラマだった。

唯一残念に思えたのが、このシーズン2で終わってしまうのではないかと思うような終わり方だったこと。原作の進行もあるが、シーズン3も大いに期待している。
もっと野本さんと春日さんの新居での新生活を見たい。
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