はんそく負け

王様戦隊キングオージャーのはんそく負けのレビュー・感想・評価

王様戦隊キングオージャー(2023年製作のドラマ)
2.0
僕は最大の問題点はLEDウォールだと思う。画面が全然つまらないので。たとえば『ゴーオンジャー』のようにいくつかの世界を回っていく中で、その何個かがVFXのみの世界であるならば個性が出て楽しいだろうし、あるいはGAROシリーズのように最終決戦や劇場版等ここぞという場面でのみ用いるのなら素晴らしい効果を産むだろうというポテンシャルは感じる。
しかし本作は画面のほとんどをVFXで構成し、生の画面を減らした結果ロケーションがあまりに限定されて本当に画面が変わり映えしない。シナリオに不十分な箇所があっても画面が良ければ帳消しになる、というのを何度も体感してきた身としては、擁護しようもなく、ただただ剥き出しとなった瑕疵を前にブーたれる一年であった。(無論画面はロケーションが全てではないけどね)
そもそも僕は特撮ヒーローものには特撮ヒーローものにしかできないことを追い求めてほしくて。一から十までVFXでやってしまうと、実写のドラマである必要性が極めて薄くなる。言ってしまえばアニメーションでも2.5次元舞台でも、アメコミヒーロー映画でも代替が可能になってしまうわけで、それはあんまりではないかということ。そして代替可能なものである限り、いずれは淘汰されてしまうのではないかということ。じゃあ特撮ヒーローものにしかできないことってなに?って問われると難しいんだけど、少なくともそういう姿勢や危機感がキングオージャーには見えなかった。それが特撮ファンとして支持できない一番の理由かなと思う。
ひとつだけ良かったのは、このVFXだらけの世界を加藤弘之だけが唯一楽しく乗りこなしていたこと。逆に彼以外の画面は終始窮屈そうに見えていた。