はんそく負け

ウルトラマンダイナのはんそく負けのレビュー・感想・評価

ウルトラマンダイナ(1997年製作のドラマ)
3.8
再見。アクションが見応えのある作品だった。序盤から怪獣へのローキック連打が目に留まって、「足元から崩すの、ダイナミックか…?」とは思いつつ、4話のダイゲルン戦でのジャイアントスイングをフルショットで捉えた技術の高さに、ダイナはアクション!という印象を決定付けられた。怪獣も二人入るタイプのスーツ(ケンタウロス的な)だったり操演だったり、いろんなバリエーションがあって、そういう意味でもいろんなアクションが見られる。
ベストバウトは18話の対ビシュメル戦。吹雪舞う特撮も凄いんだけど、コウダ隊員が呆気にとられるように、素晴らしい超能力合戦。ビシュメルが電柱?を魔力で引っこ抜いてダーツの如く投げれば、ダイナ(ミラクルタイプ)はバリアで応戦してみせる。セブン対アイロス星人を想起するような達人同士の戦いだよなぁ。
他方縦軸の物語は「みんなが光になれる」というティガのラストの対照というべき内容になっている。まず29話で「誰もが光になれるわけではない」という話をやっていて、やっぱりヒーローになるのは簡単じゃないという側面を提示する。アスカはなんで自分がウルトラマンになれたのか最後まで悩むんだけど、それは父親を追いかけるとか、誰か一人を守りたいとか、結構個人的な動機で動けるからなんだと思う。だから一見破滅的なラストを迎えもするんだけど、本人はたぶん後悔してない。周りは悲しむけど。でもヒーローってそれくらい独善的じゃないとなれないのかもしれない。そういう話なんだと解釈。しかしそれって井上敏樹に近い感性な気がする。
あとはティガから7年後を舞台にしているので、もう人類が宇宙に進出している。だから半分くらいスペースオペラな回が頻出するんだけど、そういう画面作りがめちゃくちゃ上手くいってて大変素晴らしい。というわけでベストはそこから、41話「ぼくたちの地球が見たい」。宇宙船から宇宙船へ、聞こえないけどガラス越しに交わされるメッセージ。コックピットに座したアスカの顔を照らすランプの明滅。会議室で顎を撫でるヒビキ。どうしようもないくらい全てのショットがキマってる。演出は川崎郷太。
あとベストバウトも出したので、今回はシナリオ賞も出したくて、28話「猿人の森」。開発によって排除されつつある大猿ギガンテスの話から男女の惚れた腫れたの話にシフトするのがマジでスゲー。脚本は武上純希。無論アクションも変化球の回で超おもろい。